ゆとり教育4

出典: Jinkawiki

・ゆとり教育とは

ゆとり教育という言葉はもともと造語、いわゆる通称である。教育課程の本質を表すというより、教室や学校での雰囲気や子供たちの様子を表現した便宜上のキャッチフレーズのようなものである。しかし、そのネーミングの分かりやすさが、「2002年学習指導要領改革」よりも巧みに人々の心に浸透し、結果として教育に関心のない人間でも知らない者がいないぐらいにメジャーな言葉となった。 旧文部省が、これからの学校の目指す教育としては、生きる力の育成を基本とし、知識を一方的に教え込むことになりがちであった教育から、子供たちが、自ら学び、自ら考える教育への転換を目指し実現するため、学校はゆとりのある教育環境でゆとりのある教育活動を展開し、子供たち一人一人が大切にされ、教員や仲間と楽しく学びあい活動する中で、存在感や自己実現の喜びを実感しつつ、生きる力を身に付けていくという名目のもと導入された。


・学習指導要領の変遷

① 大正自由教育改革(1920~1935年) 新教育運動が展開され、日本でも付属小学校や私立学校で生活中心のカリキュラムが実践された。

② 皇国教育改革(太平洋戦争中) 修身、国語、国史などの国粋教科主義中心の教育。

③ 連合国占領下の民主化教育(戦後10年) 修身の廃止・社会科、家庭科の新設。「総合的学習」の原型ともいえる生活単元学習の設立。

④ 教育の現代化(1961~1962年) 一斉教育による効率化。系統学習の強化。結果「詰め込み」「落ちこぼれ」といった現象が現れた。

⑤ 理数科目の現代化(1971~1972年) さらなる教育内容の高度化を目指し、理数科目の「現代化」が進む。その一方で、子供が授業に興味関心を全く示さないという深刻な事態も現出したため、「生きる力と学ぶ力の育成」を目指した「総合学習」が日教組や民間教育団体・教育機関によって提唱された。 (1974~1976年)・・・ゆとり教育草創期

⑥ 第1次ゆとり教育(1980~1981年) 「ゆとり」ある学校生活のために、授業時間の削減が行われた。

⑦ 第2次ゆとり教育(1992~1993年) さらなる「ゆとり教育」。生活科の新設。中学校における選択履修幅が拡大。

⑧ 第3次ゆとり教育(2002年~2008年)


⑨ 脱ゆとり教育(2009~現在)


・ゆとり教育への批判 ゆとり教育はその言葉に踊らされ、2002年の教育改革には必要以上に「甘やかしている」「教師の怠慢を招く」という批判が浴びせかけられるようになった。

・ゆとり教育が生んだ問題 教員の労力の増加、高校での単位未履修問題、能力のある子供の浮きこぼれなど

・ゆとり教育の見直し 2007年、ゆとり教育は1つの大きな転換を求められた。同年、8月30日、31日に文部科学省は30年ぶりに小学校・中学校の主要教科の時間数をそれぞれ1割増やすという素案を提出した。中教審の小学校部会はその素案をおおむね了承した。2002年ゆとり改革の目玉を真っ向から否定するような指導要領の改定案が出された。それは同時に、30年近く続いた「大義におけるゆとり教育」にも終止符を打つことを意味していた。

参考文献・・・ゆとり教育は本当に死んだのか? 著者 根本浩 2007年10月30日発行


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成