イスラム国2
出典: Jinkawiki
イスラム国
2014年6月29日、ISIS(ISIL)の最高指導者アブ・バクル・バグダディが樹立を宣言した国。ISIS(イラク・シリア・イスラム国)が制圧したシリア北部のアレッポからイラク中部のディヤラまでを領土とし、シャリア(イスラム法)に基づく、スンニ派のカリフ(イスラム教開祖・ムハンマドの正統な後継者)制イスラム国家とうたう。バグダディは新しいカリフを自称し、世界中のスンニ派イスラム教徒に忠誠を求めている。しかし、国際社会は独立国家として認めず、近隣イスラム諸国も地域の安全を揺るがす脅威と危険視している。 ISISの母体は、イラク戦争(03年)後に結成されたアルカイダ系過激派組織とみられる。反欧米・ジハードを掲げ、11年に拡大したシリア内戦に加わると、シリアや周辺国から流れてきたスンニ派武装グループを吸収し、急速に勢力を拡大した。同時にイラク・シリアにまたがるイスラム国家樹立を前面に出すようになり、アルカイダとも対立、袂(たもと)を別った。14年に入ると、シリア北東部をほぼ制圧し、イラク北部に侵攻。6月上旬にはイラク第2の都市モスルを陥落し、イスラム国家樹立の拠点とした。なお、ISISはより広範な地中海東部沿岸地域(レバント)での国家樹立を目指していることから、ISIL(イラク・レバントのイスラム国)とも呼ばれる。実動部隊は1万人余りと見られるが、短期間でシリア~イラクの広範な地域を支配下に入れた背景には、スンニ派住民のマリキ政権(シーア派)に対する強い不満がある。フセイン政権崩壊後、シーア派主導で国家再建が進められ、スンニ派は蚊帳の外に置かれた。イラクの人口構成はシーア派6割、スンニ派2割、クルド人2割だが、北西部はスンニ派が多数を占めている。反シーア派を鮮明にしているISIS(ISIL)は、残虐なテロ集団という報道がある一方、支配下に置かれたイラク北西部のスンニ派住民や、カリフ制再興を望んでいた国内外のイスラム教徒からは、一定の支持を得ているとも伝えられる。
イスラム国への対処法
有名な国際政治学者・ハンティントン氏は、「欧米とイスラム圏の仲裁役は日本である」と断言しました。日本は独立した文明だから欧米とイスラム圏の調停ができるといいます。日本は他の国が持っていない中東圏に対するカードを持っています。それは、日本が中東圏にとても信頼され、尊敬されていることです。特に歴史に対する尊敬を非常に集めていています。植民地支配をされそうになりながらも、明治維新で平和的に改革した点、中東各国がロシアの南下に悩まされていた、そのロシアに日露戦争で勝利した点、さらにアメリカに対して4年間粘って戦いぬいた点など、そうした歴史に対して尊敬を集めているのです。大東亜戦争があって植民地が解放されたという歴史を彼らは知っています。戦いに強い者を尊敬するカルチャーがイスラムにはあるので、日本はイスラムにとってヒーロー的存在なのだそうです。
現在「イスラム国」やイスラム過激派が、日本が幕末に欧州各国に対してやっていた攘夷運動と似たことをやっているとするならば、今後イスラム圏で考えていくべきは、日本がたどった道をそのままたどる可能性があります。日本が経験した近代化です。近代産業を起こして国民を豊かにし、テロではなく正当な軍備をきちんと整える形で国を治めて、「考え方の面でも国民の豊かさの面でも欧米に対抗していく」というのがひとつのモデルになるでしょう。日本の近代化モデルを中東圏やイスラム圏にも実践してもらうことが大切です。
100年、200年の非常に長いスパンの話になりますが、以下のことも言えます。今、キリスト教圏とイスラム教圏の間で憎悪の連鎖が続いているわけですが、この2つの宗教はもともと同じ神を信仰していることを踏まえ、多くの宗教学者が「この2つの宗教が信じている神様はそのような裁きの強い神なのか」と問題提起しています。今後、イスラム教にもキリスト教にも宗教改革が必要になってくることが予想されます。ただ、イスラム圏の人々は、スンニ派シーア派の対立なども言われていますが、基本的には平和な人々です。なかには露骨にお互いを嫌う発言をする人もいますが、実際イラクでもシリアでも混ざりあって暮らしているなど、基本的には共存してやっています。基本的には日本とも欧米とも分かり合える人が大半であるという事実は知っておくべきです。
日本は有色人種として初めて、白人国家に負けずに近代化を成し遂げて民主化をし、更に戦争で負けても繁栄を築いてきました。日本の長い歴史を考えると、さまざまな宗教を融和させつつ発展してきましたので、中東で果たすべき日本の役割は大きいといえます。日本の伝統的な”和”の精神を中東やキリスト教の人にも知ってもらうこと、そして新しい宗教思想が日本で広がっていますので、そういったことを知ってもらうのが大事なのではないでしょうか。
今回いろいろ視点から今回の「イスラム国」日本人人質事件を検証してまいりました。私たちに求められることは、決して、世界の他の国と関わらないという鎖国の時代に戻るようなことでも、武器を持って相手を叩きのめすことでもありません。実は日本という国が、今泥沼化しているかに見えるこの中東の地域に、平和と繁栄をもたらすためにできることがあることを知るべきでしょう。