シティズンシップ

出典: Jinkawiki

 シティズンシップ教育とは、めまぐるしく変化する現代社会において、子どもたちが将来、市民としての十分な役割を果たせるように、近年、欧米諸国を中心に学校教育で導入されてきている。日本では、「市民性」と訳される。これまで「市民権」「公民権」などと訳され、国籍や参政権に近い概念であったものが、「市民社会でいかに振る舞うか」といった概念へと広がってきている。

目次

イギリス

これまでのイギリスの学校教育においては、初等・中等学校を通して「地理」や「歴史」という教科はあっても、日本のように学習内容として民主主義を直接扱う「社会(公民)」のような教科はなかった。しかし、イギリスでシティズンシップという教科が始まり、法的拘束力をもつ必修教科になった背景には、めまぐるしく変化し続ける現代社会において、子どもたちが将来、市民としての十分な役割を果たし得るよう、知識、態度、スキルを体得させるための教育として関心を寄せたからである。とりわけ80年代以降、深刻な不況によって若年失業者が増加し、将来への展望を失った若者たちの暴力、社会的無関心が重大な問題として認識されるようになると、将来を担う世代に、社会的責任、法の遵守、地域やより広い社会と関わることの重要性を教えなくては、民主主義社会の将来はない、との危機感が広がったことも背景にある。

クリック報告

2000年版ナショナルカリキュラムにシティズンシップを加えることに決定的な役割を果たした文書に「シティズンシップのための教育と学校におっる民主主義の指導―教科シティズンシップのための諮問委員会最終報告書」諮問委員会の議長の名前をとって通称「クリック報告」と呼ばれている。

①若者の政治的無関心・問題行動

②社会的歴史的な背景の変化

③教科シティズンシップ導入以前のシティズンシップ教育の歴史

④若者の社会や国家への帰属意識の希薄さ

⑤労働党ブレア政権の誕生

これらの背景からシティズンシップ教育は単なる教育課題ではなく政策課題に押し上げられた。 教科シティズンシップを支えるものとして「社会的道徳的責任」「地域社会へのかかわり」「政治的リテラシー」の三つを基本的な柱にしている。特徴はシティズンシップ教育のゴールを「参加型民主主義」の伸長と明確にとらえていること、およびそのためには知識と技能と価値という三つの要素の連結が不可能であるととらえていることにある。

ナショナルカリキュラム

日本の「総合的な学習の時間」に近いが、異なるのは、教えるべき内容があり、他の教科と同様に厳密な試験があり、客観的な評価の対象となるということである。   例:壁の落書きを見て、その原因や、このことがもたらす結果、誰が損失を被るのかといった社会全体の問題解決に対する意識を育む。    肌の色の違う二人の子どもの写真から、差異や多様性について話し合い、共生について考える。   法や制度や社会の仕組みなど、市民が身につけておくべき素養をたんに受動的に学ぶだけではなく、それをもとに考えたり、実際に行動してみて参加のスキルを高める。shuto

参考文献

「教育の3C時代」世界思想社 杉本厚夫 高乗秀明 水山光春

「シティズンシップ教育推進ネットhttp://www.citizenship.jp/citizenshipedu/」


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