スウェーデンの女性労働率
出典: Jinkawiki
スウェーデンの女性の労働率は80%超だと言われている。 2013年のデータでは、労働率(20〜64歳)は日本では男性90.4%、女性69.0%のところ、スウェーデンでは男性88.8%、女性82.9%とスウェーデンでは女性の労働率が男性に迫っていることがわかる。 女性議員の比率も45.0%と日本の衆議院の女性議員の比率11.3%を大きく上回っている。 スウェーデンで働く女性の多い職種は保育、医療、福祉、教育の分野である。女性が家庭でしていたことの延長の仕事が選ばれていることがわかる。これは女性が働くようになり、保育士や介護士の仕事が必要になったということが関係している。決して大企業で仕事をしている人や芸術家が多いわけではない。82.9%いる女性の労働者もフルタイムで働いている人の割合は約60%で、残りの約30%は週に20〜35時間のパートタイムで働いている。 このようにスウェーデンでの女性の労働率が高い理由は、家庭政策にある。その一つの特徴として育児休業制度が挙げられる。育児休業は十分とれ、その間の所得も補償される。また、この育児休業制度が充実しているだけではなく、実際の取得率も極めて高い。全体の四分の三はほぼ一年の休暇をとっており、ほぼ9ヶ月以下の休暇しかとらなかった割合は約15%である。このため、日本の女性の休業者率は極めて低率であるのに対してスウェーデンでは25歳〜34歳で約2割が休業中となっている。この背景にはスウェーデンの育児の考え方として「親は子どもが小さいうちは育児に専念すべきだ」という考えの人が多いことがあげられる。また、児童手当は親の所得制限なしで16歳未満の子どもを持つすべての家庭に支払われ、そのほかに住宅手当や養育支援制度などがあり子育てをしていける制度が十分に整っていることがわかる。1960年の女性の労働率を見ると、スウェーデンでも50%にとどまり、日本と同じような水準であった。さらに、小さな子どもを持つ女性に限ると38%と労働率はとても低かったのである。それを改善しようと社会全体が様々な対策をとった結果がこれらの制度である。現在のスウェーデンのように女性が働きやすい環境を作ることができたのは地道に対策をとってきたからだ。 子どもを育てやすい社会とは、家事と育児、仕事を両立させることができる社会である。女性は育児のみに専念するのではなく仕事をすることで自己の精神のバランスをとれていると言える。 参考文献 スウェーデン社会福祉入門 (2007)晃洋書房 高島昌二
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