フォルケホイスコーレ16

出典: Jinkawiki

フォルケホイスコーレとは

 フォルケホイスコーレとは、デンマークに150年ほど前から始まった自由な学校。その言葉は『民衆(国民)の大学』を意味する。現在100校を数え、また世界に広がっている。17歳半以上であれば、誰でも学ぶことができ、特色は、試験を拒否し、資格も与えず、全寮制で教師と学生が共同生活をして学び、カリキュラムは自由で、国家の干渉を受けない私立の学校である。近代デンマーク精神の父、N・F・S・グルントヴィによって構想され、今日のデンマークを築く原動力となった。


フォルケホイスコーレは大学か高校か

 フォルケホイスコーレは原則として全寮制の学校で、学校教育に属するもの。しかし、試験というものを拒否し入学の試験や資格(最低年齢を除いて)も問わないし、単位もなく、そして卒業時に資格も与えない。修学機関も一週間から最長八か月と短く、まちまちである。カルチャー・センター、成人教育、生涯教育の施設とはあきらかに異なる。フォルケホイスコーレはこれまでわが国では『国民高等学校』と訳されてきた。戦前の旧制高等学校の時代はちょうどそのレベルにあたるためこの訳語でもよいが、戦後のアメリカ式の高校だと概念に沿わない。デンマークではいわば高校を卒業した17歳半以上の若者が行くのである。ホイスコーレという言葉自体はもともと『大学』を意味した。そのため、過去には『国民大学』という訳し方もある。しかし、フォルケホイスコーレは、その独特の発展の歴史があり、通常のアカデミックな大学に対抗する、非アカデミックな、専門的ではない学校として、しかも民衆の自発的な運動として生じてきたために、きわめて小規模なものが多く、大学とイメージするものとはかけはなれる。フォルケホイスコーレという学校を定義するのは、それに対応するものがない国では、なかなか困難であり、アメリカでもフォルケホイスコーレが取り入れられたとき、『コミュニティ・カレッジ』という名前の、結局は短大にした経緯がある。


参考文献

・「生のための学校 デンマークで生まれたフリースクール『フォルケホイスコーレ』の世界」 清水満 (1993年) 新評論

・「生者の国 デンマークに学ぶ全員参加の社会」 スティーヴン・ボーリシュ (2011年) 新評論

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