ヘドーヘン(gedogen)

出典: Jinkawiki

「ヘドーヘン(gedogen)」とはオランダ語で寛容政策(黙認政策)のことであり、「制御」思想によるものである。

1.「制御」思想について

1.1 「制御(コントロール)」の文化

オランダは表面積の26パーセントが海面下にあり、堤防がなかったならば国土の65パーセントが水で覆われてしまうという珍しい国なので、水との闘いはオランダの文化にとても影響している。 水の「制御(コントロール)」が土地の「制御」となり、それが社会の「制御」につながり感情の「制御」に及んでいるのがオランダの文化である。そして規則・法律も「制御」する。土地も風景も人間関係も感情も規則も、規則どおりに施行するのではなく、コントロールするという文化が定着していった。

1.2 問題解決手法について(米国との比較)

理念の国米国と治水精神によって培われてきた実際主義の国オランダとの間で最も違う点の一つは、問題解決に対するアプローチの違いである。社会問題の米国的解決手法は、その問題部分を摘出し削除しようとする外科手術的手法である。悪いものは悪い、だからないことにしようというという極めて「原理主義的」アプローチである。それに対しオランダの発想は違う。その問題の影響を極小にするように、いかに管理するかという「制御」手法をとる。 何故かと言えば、オランダにとって「水」は最大の問題だが、それを外科手術的に削除し、なくすことはできない。できるのは、それを如何に管理・制御して影響を極小化するか、あるいはそれと共生するか、という解決方法だけだからである。

2.寛容政策について(日本のイメージとの比較)

日本では「オランダでは麻薬、飾り窓、安楽死は合法化されている」というイメージがあるが、半分間違いで半分正しい。つまり、この国では安楽死も麻薬も売春も法律によって禁じられているという意味で間違いである。しかし、麻薬の中でも中毒性のないソフトドラッグについては、いずれも定められていた条件の下で、一定の厳しい規制・管理に従って行われる限り、不起訴処分にするという行政指導をふまえ、ソフトドラッグは吸うことができるという理解をしているのであれば正しい。 麻薬や売春はいくら取り締まっても決してなくならない犯罪である。従って、こうした犯罪を一定の管理下に置くことによって、表面化させ、それを監視することによって犯罪を最小限に防ぐ(制御する)ことの方が実際的と考えている。こうすることによって、米国のように犯罪が地下に潜ったり、マフィアなどの犯罪組織がはびこり若者たちが犯罪の世界に巻き込まれることを最小限にできると考えているのである。


参考文献  『オランダを知るための60章』 明石書店  著者 長坂寿久


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