リサイクル1

出典: Jinkawiki

リサイクル ここでは、ドイツ・デンマーク・スウェーデンの3つの国をあげる。

ドイツでは、まず「1988年ペットボトル/デポジット政令」(The PET/Deposit Ordinance in 1988)で、使い捨てのペットボトルに、1本当たり50ペニヒ~2マルクのデポジットが義務づけられた。さらに「1991年包装政令」では、すべての飲料容器について強制デポジットが課された。ただし、全飲料容器の72%以上をリターナブル容器にする場合、全飲料容器に対する強制デポジット義務は免除されるという規定も盛り込まれ、現状では強制デポジットは導入されていない。しかし実際は、72%以上のリターナブル義務があるため、88年以前からあるデポジット制度が維持されている。  ミネラルウォーター用のリターナブル瓶を例に取ると、購入時に消費者は1本当たり30ペニヒのデポジット料金をレジで支払う必要がある(なお、プラスチックケースにも1ケース当たり3マルクのデポジット料金がかかり、1ケース(12本)を購入した場合、合計6マルク60ペニヒを支払う義務がある。)。使用後、消費者は販売店に空き瓶を持ち込み、デポジット料金を返却してもらう(現金の場合と販売店の金券になる場合がある。)。一方、回収された瓶は、工場へと運ばれ、再利用される(ガラス瓶は40~50回、ペットボトルは15~30回再利用。)。なお、使い捨て飲料容器の大部分については、デュアルシステムを通して、回収・リサイクルされている。  このようにドイツでは、広範に飲料容器のリターナブルシステムが普及しているが、その大きな要因として次の2つがある。 • 規格統一された瓶の使用  飲料業界でドイチェ・ブルネンと呼ばれる業界団体を作り、そこで決めた統一規格の瓶を国内のほとんどの企業が1967年から使用している。そのため、生産者が再利用のための余分なコストを削減できることはもちろんのこと、消費者にも分別などで大きな負担がかからない。 • ペットボトルのリターナブル瓶の使用  様々な開発研究の結果、ペットボトルのリターナブルを実施している。その材質は、耐久性を持たせるため大変硬い。


デンマークでは、廃棄物の処理義務については各市町村(コムーネ)が分権的に行っており、その具体的方法は多種多様である。しかし、国レベルにおいて1985年に「廃棄物とリサイクルのためのアクションプログラム」が策定され、現在の第3次プランでは2000年までに発生廃棄物の54%のリサイクルと1997年レベルでの廃棄物総量の安定化を掲げている。そして、この実現手段として同国では、いくつかの経済的手法が採用されている。  そのひとつが、第一次世界大戦以前から導入されているデポジット制度の活用である。同国では、ビールおよび清涼飲料水についてはすべてリターナブル容器と義務づけており、使い捨て容器や金属缶の使用は禁止されている。なお、ガラス瓶は33回、ペットボトルも約20回程度再利用されている。  飲料容器にはさらに、国税としてのプロダクトチャージ(生産時課税)が課されている。この税金は、文字どおり、製品が新しく生産される段階で課税される税で、リターナブル容器については1度の課税ですむことから、企業がリターナブル容器を利用することを促している(なお、プロダクトチャージ対象品には、紙皿や紙コップなどがある。)。  このような経済的理由に加え、飲料容器に関する規制が国内に流通する飲料容器の種類を限定していることから、デンマークの飲料容器は90%以上の割合で再利用されている。そのためか、使い捨て容器を対象にしたドイツのデュアルシステムのような生産者に回収・リサイクルの責任を負わせる制度の創設には至っていない。


スウェーデンのデポジット制度もその歴史は古く、1885年にはガラス瓶について導入され、同時に容器形態も業界主体で統一された。その後、消費スタイルが急激に変化し、廃棄物問題が注目されるようになると、1982年にビールと清涼飲料水のアルミ缶について1本当たり50オーレのデポジットが課された。その後も、政府と飲料業界の協調の下、リターナブル用のペットボトルや使い捨て用のペットボトルにも次々にデポジットが導入された(なお、国内でのスチール缶の生産は原則禁止されている。)。この結果、一部の種類を除き、90%以上のリサイクル率を達成しているが、ここで注目すべきは、デンマークと違い、金属缶の使用を認めていることと使い捨てガラス瓶などの容器包装廃棄物に関し、ドイツのデュアルシステムに類似したシステムを1994年から導入している点である。特に前者のシステムでは、輸入品の缶飲料についてもシステムに組み込み、確実なリサイクルに努めている。  以上紹介してきたように、i.全国的に規格が統一された容器の使用、ii.消費者にインセンティブを与える高いデポジット料金、iii.リターナブル可能なペットボトルの3点が、飲料容器の高いリサイクル率を実現するうえで大きな役割を果たしており、これらは日本でも大いに参考になるのではないだろうか。  最後に廃棄物削減をより効率的・効果的に実施するために奮闘しているドイツ、スウェーデン、デンマークの3カ国での主な共通点は、以下のとおりである。 • ごみ処理費用として税金ではなく、従量制の料金体系を採用 • 収集や処理などの実務面での広域的取組みを幅広く実施 • 処理コストを軽減するため、実務の外部委託など民間活力の導入 • 「消費者の意識」を使い捨て文化に傾かせないための子どもを対象にした環境教育の充実  これらの共通点に加え、各国ともより良いシステムの構築に向け、試行錯誤を繰り返しているのが現実であった。日本でも今後、廃棄物の削減を目指し、地方自治体を中心にデポジット制度など、様々な制度の導入が試行錯誤されながら行われるであろう。そのなかでも特に、廃棄物削減、すなわち、循環型社会の創設のためには、「消費者の意識」を喚起するための環境教育が必要不可欠になるのは明らかである。  最後に今回の調査に当たり、訪問先のアポイントメントなど、様々な点でご協力いただいたJETROデュッセルフドルフ事務所参事室田哲男氏に感謝の意を述べたい。

参照URL http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/tyosa/143/INDEX.HTM


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