リフレッシュ教育

出典: Jinkawiki

目次

リフレッシュ教育 

大学・大学院などの高等教育機関が、職業人に職業上の知識や技術を新たに修得させることを目的として、文部科学省が推進している事業。対象が職業人中心、内容も職業に関する知識や技術が主であり、実施機関が大学などである点でOECDの提唱するリカレント教育に相当する。社会人特別選抜、夜間大学院、昼夜開講制大学院などがある。成人教育(学校教育を終え、成人となった人に対して教育と研究の機会を提供し,その社会人としての向上を図る教育活動。)の一部。

 

リカレント教育とは

第二次世界大戦に参加しなかったスウェーデンは、民衆教育の理念を具体化するために行った教育対策。リカレント教育の概念はスウェーデンの文部大臣だったオロフ・パルメが1969年のヨーロッパ文相会議で発表し、1970年にOECD(経済協力開発機構)が公式採用し、73年に参加国に向けて報告書が公表された。Recurrentとは「回帰」を意味し、「誰もがそのライフステージに応じて労働から学びの場へ回帰、循環できる社会」を目指して進められた。

【制度】

25ー4制度(1965年):25歳以上で4年以上就労している社会人の大学入学を推進するもの。

教育休暇法(1974年):労働者の就学休暇と仕事復帰の権利を保障するもの。同一雇用者の下で勤続6カ月、過去2年間に12カ月以上就労している被雇用者が教育を受けたいと望む場合、雇用を離れて勉強のために必要な休暇を取得する権利を保障している。復職する場合は、雇用主は2週間(休暇が1年以上の場合は1カ月)以内に前職と同等の地位に復職させる義務がある。教育期間中の生活費は政府の教育ローンによって保障される。


社会教育との違い

社会教育では基本的に生活の中から触発された学習関心に基づき、自らの発意で学習が始められ、自主的に続行される。また、ある時は学ぶ側であっても、得意な分野については自ら指導する側に立つというように、指導者が必ずしも固定されない。このように、社会教育には学校教育や家庭教育と比べ、自発性・自主性・生活性・多様性・相互教育性といった特色がある。 リカレント教育は、知識や技術の急速な陳腐化と増大への対応、学校教育の急速な発展に伴い生じた世代間の学歴差の縮小、などが中心的な理念とされている。


現状

日本では、工業関係や看護関係のリフレッシュ教育が代表的なものとなっている。しかしそのほかには、実際にリカレント教育の発祥地スウェーデンの教育休暇法などが整備されているわけではないので、会社内だけの研修という限られた形への参加や、企業からの寄付金がおりないため、自己負担となっていて、広まりはいまいちである。さらに受講する側の経済的、時間的制約があるため参加しないということもある。そのため、リフレッシュ教育の推進を訴えるだけでなく、個人のキャリアをあげ社会が求める教育内容を提供できるシステムを、国が整えていくことが課題となっている。


参考文献

企業アンケート結果:http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1135149320610/files/research2.pdf 

トヨタ工業大学の報告: http://ci.nii.ac.jp/els/110007462100.pdf?id=ART0009283286&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1328683927&cp= 

教育改革の経済学(第8章個人キャリア支援とリカレント教育):日本経済新聞社発行


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