教育勅語

出典: Jinkawiki

教育勅語とは、1890年に発布された教育理念を示した勅語である。教育勅語は、明治天皇が国民に語りかける形式をとる。 まず、歴代天皇が国家と道徳を確立したと語り起こし、国民の忠孝心が「国体の精華」であり「教育の淵源」であると規定する。 続いて、父母への孝行や夫婦の調和、兄弟愛などの博愛、学問の大切さ、遵法精神、事あらば国の為に尽くすことなど12の徳目 (道徳)が明記され、これを守るのが国民の伝統であるとしている。以上を歴代天皇の遺した教えと位置づけ、国民とともに 明治天皇自らこれを守るために努力したいと誓って締めくくるという内容である。つまり、忠孝を重んずる儒教的道徳思想に基づき、 天皇への忠誠と封建的家族制の維持を国民教育の方針とし、自由民権運動などにゆれる国民思想の統一をはかった。各学校で奉読され、 その後50余年にわたって国民の精神生活の支柱として神聖視された。原案起草者は、井上毅ら。 これは、西洋の学術・制度が入る中、軽視されがちな道徳教育を重視したものである。もちろん、西洋文明にも宗教(キリスト教)を背景とした道徳教育は存在するが、それを直接日本人に適用するわけにもいかず、かといって伝統的に道徳観の基本として扱われてきた儒教や仏教を使うことも明治新政府以降の理念からすれば不適切であった。このため、伝統的な道徳観を天皇を介する形でまとめたものが教育勅語とも言える。こうした道徳観は、伝統的な儒教とは異なるものであり、江戸時代の水戸学からの影響が指摘されている。

参考文献 百科事典ウィキペディア 日本史小百科 学校 海原徹 著 必携日本史用語集 本郷充


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