生存権
出典: Jinkawiki
生存権
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憲法の記述
日本国憲法第25条〔生存権、国の生存権保障義務〕 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
憲法第25条の持つ意味についての論争
1.プログラム規定説:国政の指針であって、具体的義務事項を規定したものではないという考え。政治の心構え、政府の道徳的義務に宣言、法的効果のない注意規定である。社会保障が充実していなかったことで餓死者が出ても憲法違反にはならない。もちろん社会保障に関する法律が憲法違反だという議論も成り立たない。
2.抽象的権利説:25条は国民の権利を保障しているが、それは抽象的なもので、具体的なことは別に法律で定めるという考え方。社会保障の給付が行われるかどうかは法令に従う。一方で、法律と憲法が一緒になって憲法規範の効力を獲得しているという意見もある。また、例えば生活保護申請を役所が却下した場合、その判断の根拠となっている法律が違憲であるかどうかということをもんだいにできる。25条を理由に訴訟を起こすことはできないが、別の法で訴訟を起こしたとき、法廷で25条が効力を持つという考えもある。25条が裁判規範だといわれるゆえんである。
3.具体的権利説:社会保障の法律が十分にない場合、その状態が憲法違反だという立場。(立法不作為が憲法違反)しかし、実際にはその訴訟は難しいことや、ではどのような解決策を講じて救済すればよいかが不明確であるので、現実的ではない。
生存権で保証される社会保障制度
中学校で学習するのは、社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生の4つ。 社会保険は加入者や事業者が掛け金を積み立てて、病気・老齢・失業などの際に保険金の給付を受け取る。公的扶助は主に生活保護法をもとに公の費用で困窮している人々を助けるもの。積み立てはない。社会福祉は児童・母子家庭・老人・身体障害者など、社会的に立場が弱い人々に対し、秘説の建設や給付金などの社会事業を行うこと。公衆衛生は保健所を通じて病気の予防等を行うほか、上下水道の整備や公害問題への対処も行っている。
特に公的扶助(生活保護)については、朝日訴訟が有名。
引用・参考文献
渋谷秀樹・赤坂正浩著『憲法1 人権』有斐閣 2007/4/1 第3版
『三省堂新六法2007 平成19年度版』三省堂 2006/10/10
小川政亮『権利としての社会保障』勁草書房 1975/2/20 第10刷
小川政亮『社会保障権と福祉行政』ミネルヴァ書房 1975/2/10 第2刷
written by oimo