ガストアルバイター

出典: Jinkawiki

ドイツ人がドイツ国内のトルコ人移民のことをガストアルバイターと呼ぶ。ガストアルバイターとは外国人労働者(ガスト=客人、アルバイター=労働者)のことをさすが、彼らがいつかは本国に帰るべきだということも意味している。トルコ政府もいずれ国に帰ることを期待している。だが、これをめぐり現在のドイツ国内では、ドイツ人とトルコ人のあいだで亀裂が生じている。

1、 移民としてやってきた理由・経緯
 1960年代、西ヨーロッパ諸国において低開発国から労働者を覚悟しようとする動きが見られた。この動きのなかで多くのトルコ人がドイツに向かったが、特にドイツにおいてはトルコ人の動きが顕著であった。なぜなら、当時ドイツはヨーロッパ屈指の先進国であり、ドイツに自国民を送ることで、数年後には技術を身につけた労働者が戻ってくるだろうというトルコのもくろみがあったからだ。移民自身も、経済の不安定なトルコよりもドイツで働くことでより良い生活ができると考えた。

2、 結果
初期にドイツに移民してきたトルコ人は都市生活者だったため商店をもったりしたが、のちに田舎からも移民を募るようになったため、多くは未熟労働者となってしまった。したがってドイツでは移民のほとんどが大規模工場で働き、肉体的にも精神的にもきつく危険な仕事に従事していたため、トルコ側が期待した、技術を持った人材はうまれなかった。また、トルコ政府が彼らの帰国を期待していたのにかかわらず、帰ってこず、ドイツに定住した。この理由にはドイツの社会保障制度や医療技術や教育が挙げられる。これに対しドイツ、トルコ政府は帰国を促すさまざまなプロジェクトを実施したが成功せず、1971年の時点でドイツに定住するトルコ人は平均年間10万を越えた。

3、 移民増加の影響
 第一次オイルショックの影響で西ヨーロッパに不況が陥って、雇用協定が破棄されたにも関わらずドイツ国内におけるトルコ人の人口は増加した。これは労働者がドイツに家族を呼びよせたためである。よって、第一次オイルショック後からドイツにおけるトルコ人の人口は増加しているが、就労者の数は停滞していて、就労者数の比率は減少傾向にある。
またこのような状況のなかでドイツ人たちはガストアルバイターによって自分たちの生活が脅かされるのではないかと不安を抱く者もでてきた。失業という点では、外国人労働者であるトルコ人が先に解雇されたが、そのかわりにやめるトルコ人に対する社会保障費が財政を圧迫したためドイツ人は自分たちの社会福祉の質が下がると心配した。そして一部のドイツ人により移民排斥運動が起きた。ドイツはドイツの血統によって決定されるという血統主義型の考えに基づいての、トルコ人に対しての動きは、トルコ人にイスラムであることを自覚させ、彼の結束・組織化を促した。そしてトルコ人は様々な場面で差別をされてきた。
ドイツ政府は、トルコ人をなかなか追放できるものではないとわかると、ドイツ国民のトルコ人に対する敵意を和らげる政策を考えた。いいかえると、かれらの独自な文化を奪い、ドイツに同化させていくということである。だが、ドイツに完全に同化するのは不可能であり、ガストアルバイターはドイツが出生国という世代が多くいるため、トルコに帰国することを望まない。よっていまだ、この問題は解決にむかわない。


移民問題をあつかうと、かならず文化のぶつかり合いがある。文化の違いは問題を引き起こす、というべきであろうか。文化の違いとは一言でいうと宗教観の違いである。宗教観のない日本人には理解しがたいが、多様な文化を受け入れるということが、多様な宗教を認めることと考えると簡単なことではないことがわかる。移民問題はこれからも各地域で生じるだろう。


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