地震
出典: Jinkawiki
2010年1月30日 (土) 12:13の版 Daijiten2009 (ノート | 投稿記録) (→日本で地震が多発する原因) ← 前の差分へ |
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== 地震発生のメカニズム == | == 地震発生のメカニズム == | ||
- | 1906年のサンフランシスコ地震のとき、サン・アンドレアス断層が300kmに渡り最大6.4mに及ぶ水平ずれを起こした。この諸現象を分析してH.F.Reid(リード) が「弾性反発説」をたてた。何らかの原因で地殻が弾性的に徐々に歪んでいき、歪みがある限度を超えると、地殻は断層面に沿って破壊し、断層の両側の地殻は歪みを解消する方向に急激にずれ動き地震波を発生するというものである。 | + | 1906年のサンフランシスコ地震のとき、サン・アンドレアス断層が300kmに渡り最大6.4mに及ぶ水平ずれを起こした。この諸現象を分析してH.F.Reid(リード) が「弾性反発説」をたてた。何らかの原因で地殻が弾性的に徐々に歪んでいき、歪みがある限度を超えると、地殻は断層面に沿って破壊し、断層の両側の地殻は歪みを解消する方向に急激にずれ動き地震波を発生するというものである。 |
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この弾性反発説を基本とする断層説が、現在地震発震機構として定着している。断層を動かす力の由来は、プレートテクトニクスと言われる全地球的で大規模な運動によるという考え方が広く受け入れられている。 | この弾性反発説を基本とする断層説が、現在地震発震機構として定着している。断層を動かす力の由来は、プレートテクトニクスと言われる全地球的で大規模な運動によるという考え方が広く受け入れられている。 | ||
- | 地球の一番外側はごく薄い地殻であり、次いでマントルと呼ばれる固体部分、そしてその内側に外核(固体)と内核(液体)とからなる核がある。地殻下のマントルは、固体ながらもちょうど氷河がわずかずつ移動するように、1年に数cmほど移動しながら熱対流を行っている。地球の表面はのように10枚ほどのプレートで構成されており、これらはその下のマントルの動き、対流につれて移動し、マントルが沈むところでは地殻もマントルと共に引きずり込まれる。日本付近はちょうどこの沈み込みの部分にあたっており、この部分は海溝になっている。一方、マントル対流の上り口として代表的ものが、中央大西洋海嶺である。この海嶺はアイスランドを縦断しているため、陸上でマントル対流の上り口を、深い谷として観測できる。 | ||
- | 世界の地震分布図で、プレートとの位置関係を照合すれば明らかなように、プレートの境界線に沿って地震帯が形成されている。すなわち、地球上の地震は、ほとんどがマントルの上り口あるいは沈み込み部分で発生していることがわかる。 | ||
- | 日本付近で発生する地震の多くは、太平洋岸にその震源が集中し、内陸部や日本海側には比較的少ないのは、このプレートテクトニクス理論に基づき説明できる。太平洋を東から移動してくるプレートは、海溝のところで日本の下にもぐり込むが、この時日本の太平洋側のプレートもこれに引きずり込まれる。 このずり込み量が、ある一定限界に達すると岩石はそれ以上耐えられなくなって破壊し、断層を形成して急激に元の状態に戻ろうとする。これが日本の太平洋岸の地震の起こり方である。房総の先端や御前崎、紀伊半島の先端が、大地震の時に1~2mもはね上がり、その後は次の地震まで沈降し続けるという事実は、このプレートテクトニクス理論とよく符合している。 | ||
+ | 地球の一番外側はごく薄い地殻であり、次いでマントルと呼ばれる固体部分、そしてその内側に外核(固体)と内核(液体)とからなる核がある。地殻下のマントルは、固体ながらもちょうど氷河がわずかずつ移動するように、1年に数cmほど移動しながら熱対流を行っている。地球の表面はのように10枚ほどのプレートで構成されており、これらはその下のマントルの動き、対流につれて移動し、マントルが沈むところでは地殻もマントルと共に引きずり込まれる。日本付近はちょうどこの沈み込みの部分にあたっており、この部分は海溝になっている。一方、マントル対流の上り口として代表的ものが、中央大西洋海嶺である。この海嶺はアイスランドを縦断しているため、陸上でマントル対流の上り口を、深い谷として観測できる。 | ||
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+ | 世界の地震分布図で、プレートとの位置関係を照合すれば明らかなように、プレートの境界線に沿って地震帯が形成されている。すなわち、地球上の地震は、ほとんどがマントルの上り口あるいは沈み込み部分で発生していることがわかる。 | ||
+ | 日本付近で発生する地震の多くは、太平洋岸にその震源が集中し、内陸部や日本海側には比較的少ないのは、このプレートテクトニクス理論に基づき説明できる。太平洋を東から移動してくるプレートは、海溝のところで日本の下にもぐり込むが、この時日本の太平洋側のプレートもこれに引きずり込まれる。このずり込み量が、ある一定限界に達すると岩石はそれ以上耐えられなくなって破壊し、断層を形成して急激に元の状態に戻ろうとする。これが日本の太平洋岸の地震の起こり方である。房総の先端や御前崎、紀伊半島の先端が、大地震の時に1~2mもはね上がり、その後は次の地震まで沈降し続けるという事実は、このプレートテクトニクス理論とよく符合している。 | ||
== 地震波の種類と伝播 == | == 地震波の種類と伝播 == | ||
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プレートの位置関係に大きく影響される。日本列島周辺には、「ユーラシアプレート」「北米プレート」「太平洋プレート」「フィリピンプレート」の4つのプレートが接し合い、互いにぶつかりあっている。世界中を見渡しても、これだけプレートが入り組んでいるところはなく、それだけに地震が発生しやすく、地震多発国の宿命を負っていると言える。 | プレートの位置関係に大きく影響される。日本列島周辺には、「ユーラシアプレート」「北米プレート」「太平洋プレート」「フィリピンプレート」の4つのプレートが接し合い、互いにぶつかりあっている。世界中を見渡しても、これだけプレートが入り組んでいるところはなく、それだけに地震が発生しやすく、地震多発国の宿命を負っていると言える。 | ||
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日本列島付近では、太平洋側のプレートが大陸側のプレートを引きずり込みながらもぐり込んでいる。この2つのプレートの境目にひずみがたまり、こらえきれなくなると大陸側のプレートがはね上がり、地震が発生する。 日本周辺では、世界の地震の15 %が発生するといわれている。明治元年(1868年)以来、130年程の間に日本列島を襲った地震の歴史をたどってみると、平均1年半に1回、犠牲者の出た地震が発生している。その内、死者・行方不明者100人以上の巨大地震は計19回発生しており、6年半に1回の割合となっている。 | 日本列島付近では、太平洋側のプレートが大陸側のプレートを引きずり込みながらもぐり込んでいる。この2つのプレートの境目にひずみがたまり、こらえきれなくなると大陸側のプレートがはね上がり、地震が発生する。 日本周辺では、世界の地震の15 %が発生するといわれている。明治元年(1868年)以来、130年程の間に日本列島を襲った地震の歴史をたどってみると、平均1年半に1回、犠牲者の出た地震が発生している。その内、死者・行方不明者100人以上の巨大地震は計19回発生しており、6年半に1回の割合となっている。 | ||
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地震動の大きさを表す指標には一般に広く使われている震度のほか、地震動そのものの最大加速度や最大速度、最大変位が用いられる。建築物や土木構造物の耐震設計の分野では応答スペクトルやSI値という指標も、地震動の大きさを表す方法として広く用いられている。 | 地震動の大きさを表す指標には一般に広く使われている震度のほか、地震動そのものの最大加速度や最大速度、最大変位が用いられる。建築物や土木構造物の耐震設計の分野では応答スペクトルやSI値という指標も、地震動の大きさを表す方法として広く用いられている。 | ||
- | 地震の規模が大きいほど震度は大きくなる傾向にあるが、震源域からの距離や断層のずれの方向、断層の破壊伝播速度、地盤の構造や性質、地震波の特性などによって地上の揺れは大きく異なる。一般的に、堆積平野(沖積平野など)では揺れが増幅される。また、「キラーパルス」とも呼ばれる周期が0.5秒~2秒程度の地震波が大きな振幅で継続すると、一般家屋を含む低層建築物の被害が大きくなる傾向にある。 | + | |
+ | 地震の規模が大きいほど震度は大きくなる傾向にあるが、震源域からの距離や断層のずれの方向、断層の破壊伝播速度、地盤の構造や性質、地震波の特性などによって地上の揺れは大きく異なる。一般的に、堆積平野(沖積平野など)では揺れが増幅される。また、「キラーパルス」とも呼ばれる周期が0.5秒~2秒程度の地震波が大きな振幅で継続すると、一般家屋を含む低層建築物の被害が大きくなる傾向にある。 | ||
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かつて、震度は体感および周囲の状況から推定していたが、平成8年(1996年)4月以降は、計測震度計により自動的に観測し速報している。 | かつて、震度は体感および周囲の状況から推定していたが、平成8年(1996年)4月以降は、計測震度計により自動的に観測し速報している。 | ||
- | 気象庁が発表する震度は、気象庁、地方公共団体及び(独)防災科学技術研究所が全国各地に設置した震度観測点で観測した震度である。気象庁の震度階級は「震度0」「震度1」「震度2」「震度3」「震度4」「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」「震度7」の10階級となっている。 | ||
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+ | 気象庁が発表する震度は、気象庁、地方公共団体及び(独)防災科学技術研究所が全国各地に設置した震度観測点で観測した震度である。気象庁の震度階級は「震度0」「震度1」「震度2」「震度3」「震度4」「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」「震度7」の10階級となっている。 | ||
== マグニチュード == | == マグニチュード == | ||
地震の規模を表す指標の一つにエネルギー量を示すマグニチュードがあり、「M」と表記する。マグニチュードには算定方法によっていくつかの種類がある。日本では、気象庁が独自の定義による気象庁マグニチュードを発表しており、地震学では「Mj」と記される。これに対し、多くの国では表面波マグニチュード(Ms) や実体波マグニチュード (mb) のことを、単にマグニチュードと呼ぶことが多い。Mが1大きくなるとエネルギーは約32倍になる。 | 地震の規模を表す指標の一つにエネルギー量を示すマグニチュードがあり、「M」と表記する。マグニチュードには算定方法によっていくつかの種類がある。日本では、気象庁が独自の定義による気象庁マグニチュードを発表しており、地震学では「Mj」と記される。これに対し、多くの国では表面波マグニチュード(Ms) や実体波マグニチュード (mb) のことを、単にマグニチュードと呼ぶことが多い。Mが1大きくなるとエネルギーは約32倍になる。 | ||
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他にもそれぞれの観測機関によって使用されるマグニチュードのタイプが異なる場合もあるが、その値は概ね同じになるように定められている。これらは最初にマグニチュードを定義したチャールズ・リヒターのものの改良版であり、基本的に地震動の最大振幅を基礎とする。いずれも8.5程度以上の大地震ではその値が頭打ち傾向になることから、地震学では地震モーメントから算出されるモーメント・マグニチュード (Mw) と呼ばれる値が地震の規模を表す指標として用いられることが多い。 | 他にもそれぞれの観測機関によって使用されるマグニチュードのタイプが異なる場合もあるが、その値は概ね同じになるように定められている。これらは最初にマグニチュードを定義したチャールズ・リヒターのものの改良版であり、基本的に地震動の最大振幅を基礎とする。いずれも8.5程度以上の大地震ではその値が頭打ち傾向になることから、地震学では地震モーメントから算出されるモーメント・マグニチュード (Mw) と呼ばれる値が地震の規模を表す指標として用いられることが多い。 | ||
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地震とは、普段は固く密着している地下の地盤や岩盤が、一定の部分を境目にして、急にずれ動くことである。また、それによって引き起こされる地面の振動をいう。地下の岩盤の動いた面積が大きいほど、大地の揺れは激しく、かつ遠くまで伝わり大地震となる。
目次 |
地震発生のメカニズム
1906年のサンフランシスコ地震のとき、サン・アンドレアス断層が300kmに渡り最大6.4mに及ぶ水平ずれを起こした。この諸現象を分析してH.F.Reid(リード) が「弾性反発説」をたてた。何らかの原因で地殻が弾性的に徐々に歪んでいき、歪みがある限度を超えると、地殻は断層面に沿って破壊し、断層の両側の地殻は歪みを解消する方向に急激にずれ動き地震波を発生するというものである。
この弾性反発説を基本とする断層説が、現在地震発震機構として定着している。断層を動かす力の由来は、プレートテクトニクスと言われる全地球的で大規模な運動によるという考え方が広く受け入れられている。
地球の一番外側はごく薄い地殻であり、次いでマントルと呼ばれる固体部分、そしてその内側に外核(固体)と内核(液体)とからなる核がある。地殻下のマントルは、固体ながらもちょうど氷河がわずかずつ移動するように、1年に数cmほど移動しながら熱対流を行っている。地球の表面はのように10枚ほどのプレートで構成されており、これらはその下のマントルの動き、対流につれて移動し、マントルが沈むところでは地殻もマントルと共に引きずり込まれる。日本付近はちょうどこの沈み込みの部分にあたっており、この部分は海溝になっている。一方、マントル対流の上り口として代表的ものが、中央大西洋海嶺である。この海嶺はアイスランドを縦断しているため、陸上でマントル対流の上り口を、深い谷として観測できる。
世界の地震分布図で、プレートとの位置関係を照合すれば明らかなように、プレートの境界線に沿って地震帯が形成されている。すなわち、地球上の地震は、ほとんどがマントルの上り口あるいは沈み込み部分で発生していることがわかる。
日本付近で発生する地震の多くは、太平洋岸にその震源が集中し、内陸部や日本海側には比較的少ないのは、このプレートテクトニクス理論に基づき説明できる。太平洋を東から移動してくるプレートは、海溝のところで日本の下にもぐり込むが、この時日本の太平洋側のプレートもこれに引きずり込まれる。このずり込み量が、ある一定限界に達すると岩石はそれ以上耐えられなくなって破壊し、断層を形成して急激に元の状態に戻ろうとする。これが日本の太平洋岸の地震の起こり方である。房総の先端や御前崎、紀伊半島の先端が、大地震の時に1~2mもはね上がり、その後は次の地震まで沈降し続けるという事実は、このプレートテクトニクス理論とよく符合している。
地震波の種類と伝播
地震がある深さで発生する。その場所を震源という。震源の真上の地表面を震央といい、震央と震源の距離を震源の深さという。そして、破壊された地域全体を震源域という。また、地震が震源で発生した時刻を震源時という。 震源で発生する波には、P波(縦波)とS波(横波)がある。縦波では物質内の粒子は波の進む方向に振動するが、横波では粒子は波の進む方向に直角な面内で振動する。横波では物質の体積に変化は起きない。 震源から出た波は曲線を描いて伝搬する。それは波の伝搬速度が地球内で深くなるほど早いからで、波の進路は地球の中心に向かって凸になるような形になる。このように縦波も横波も地球の中を伝わるので、実体波という。これに対し点線のように地球の表面に沿って伝わる波がある。これは縦波と横波が地表近くの地層の間で反射を繰り返し、互いに干渉し合って起きるもので、表面波と呼ばれる。表面波のエネルギーは地表に集中し、地表に沿って伝わる。
P波
地震の際地表に最初に到達する振幅の小さい波動をP波(Primry波)といい、岩石の体積の反発に伴い生ずる縦波(粗密波)である。P波音波と同様に地表が波の進行方向に振動し粗密の状態変化が伝わる。P波の速度はS波の1.7倍程度で地殻内を伝わる。速度は平均6km/秒である。
S波
地震の際、S波(Secondary波)といい、岩石の変形の反発に伴い生ずる横波(ねじれ波)である。 S波はP波より遅く到達し、光波と同様に地層が波の進行方向と直角方向に振動し、ねじれの状態変化が伝わる。
プレート境界型地震と内陸直下型地震
地震には、プレートのもぐり込みによる「プレート境界型地震」(海溝型)と、活断層による「内陸直下型地震」(内陸型)に大別される。
プレート境界型地震(海溝型・プレート外地震)
地球の表面は、大小10枚程度のプレートと呼ばれる板状の岩盤でおおわれている。そのプレート(岩盤)とプレートがぶつかりあうところでは、伸びや縮みなどのひずみが生じ、このひずみが限界に達するとこらえきれなくなり、プレートが急に元に戻る。このときの衝撃によっておこる地震が、プレート境界型地震である。プレート境界型地震の特徴は、規模が大きく、また大規模な津波による被害も予想される。 関東大震災をはじめ、十勝沖地震、三陸はるか沖地震などが、プレート境界型地震によるもので。近い将来発生すると予測されている「東海地震」もプレート境界型地震である。
内陸直下型地震(内陸型・プレート内地震)
内陸直下型地震は、プレート内において発生する活断層が動いて起こる地震である。プレートを圧縮する力、あるいは引っ張る力などがプレート内においても部分的に解放されておこる地震である。日本の至る所で見られる活断層の多くは、内陸直下型地震の古傷が地表に表れたもので、また将来に渡って地震発生の可能性もある。よって、たとえ何千年に1回動くかどうかと言われていても、活断層の真上には、建物等は建てない方が賢明である。 プレート境界型地震と比べて、規模は小さいものの、人々の住む町の周辺で起こると、震源からの距離が近いだけに大きな被害を出すことになる。震源が住民の生活している都市の真下の活断層で発生した場合、たとえ小型でも被害が深刻になるケースが多い。 濃尾地震、阪神大震災などが、活断層が動いたことによる内陸直下型地震である。阪神大震災の地震の規模を示すマグニチュードは7.2と内陸の直下型地震としてはさほど大きくなかったのにもかかわらず、人口が密集している都市の下で起こったため、その被害の大きさは、地震災害として戦後最悪のものとなった。
日本で地震が多発する原因
プレートの位置関係に大きく影響される。日本列島周辺には、「ユーラシアプレート」「北米プレート」「太平洋プレート」「フィリピンプレート」の4つのプレートが接し合い、互いにぶつかりあっている。世界中を見渡しても、これだけプレートが入り組んでいるところはなく、それだけに地震が発生しやすく、地震多発国の宿命を負っていると言える。
日本列島付近では、太平洋側のプレートが大陸側のプレートを引きずり込みながらもぐり込んでいる。この2つのプレートの境目にひずみがたまり、こらえきれなくなると大陸側のプレートがはね上がり、地震が発生する。 日本周辺では、世界の地震の15 %が発生するといわれている。明治元年(1868年)以来、130年程の間に日本列島を襲った地震の歴史をたどってみると、平均1年半に1回、犠牲者の出た地震が発生している。その内、死者・行方不明者100人以上の巨大地震は計19回発生しており、6年半に1回の割合となっている。
震度
地震動の大きさを表す指標には一般に広く使われている震度のほか、地震動そのものの最大加速度や最大速度、最大変位が用いられる。建築物や土木構造物の耐震設計の分野では応答スペクトルやSI値という指標も、地震動の大きさを表す方法として広く用いられている。
地震の規模が大きいほど震度は大きくなる傾向にあるが、震源域からの距離や断層のずれの方向、断層の破壊伝播速度、地盤の構造や性質、地震波の特性などによって地上の揺れは大きく異なる。一般的に、堆積平野(沖積平野など)では揺れが増幅される。また、「キラーパルス」とも呼ばれる周期が0.5秒~2秒程度の地震波が大きな振幅で継続すると、一般家屋を含む低層建築物の被害が大きくなる傾向にある。
かつて、震度は体感および周囲の状況から推定していたが、平成8年(1996年)4月以降は、計測震度計により自動的に観測し速報している。
気象庁が発表する震度は、気象庁、地方公共団体及び(独)防災科学技術研究所が全国各地に設置した震度観測点で観測した震度である。気象庁の震度階級は「震度0」「震度1」「震度2」「震度3」「震度4」「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」「震度7」の10階級となっている。
マグニチュード
地震の規模を表す指標の一つにエネルギー量を示すマグニチュードがあり、「M」と表記する。マグニチュードには算定方法によっていくつかの種類がある。日本では、気象庁が独自の定義による気象庁マグニチュードを発表しており、地震学では「Mj」と記される。これに対し、多くの国では表面波マグニチュード(Ms) や実体波マグニチュード (mb) のことを、単にマグニチュードと呼ぶことが多い。Mが1大きくなるとエネルギーは約32倍になる。
他にもそれぞれの観測機関によって使用されるマグニチュードのタイプが異なる場合もあるが、その値は概ね同じになるように定められている。これらは最初にマグニチュードを定義したチャールズ・リヒターのものの改良版であり、基本的に地震動の最大振幅を基礎とする。いずれも8.5程度以上の大地震ではその値が頭打ち傾向になることから、地震学では地震モーメントから算出されるモーメント・マグニチュード (Mw) と呼ばれる値が地震の規模を表す指標として用いられることが多い。
参考文献
・「阪神淡路大震災誌」/朝日新聞大阪本社「阪神・淡路大震災誌」編集委員会
・「地震のすべてがわかる本―発生のメカニズムから最先端の予測まで」/成美堂出版/土井 恵治