活字
出典: Jinkawiki
2010年2月11日 (木) 14:22の版 Daijiten2009 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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- | ここでは活版印刷に用いられる字型のことで、金属製や木製の四角柱に文字が刻まれている。これらを組み合わせて版をつくり、印刷するもののことである。1950年代以降より写真植字、80年ごろよりコンピュータによる文字の製作が盛んとなりあまりみられなくなった。広義では写真植字など広く文字を同一の字形で繰り返し表現するものを含む。 | ||
+ | == 概要 == | ||
+ | ここでは活版印刷に用いられる字型のこと。金属製や木製の四角柱に文字が刻まれている。これらを組み合わせて版をつくり、印刷するもののことである。1950年代以降より写真植字、80年ごろよりコンピュータによる文字の製作が盛んとなりあまりみられなくなった。広義では写真植字など広く文字を同一の字形で繰り返し表現するものを含む。 | ||
- | 歴史 | ||
- | 中国の宋代の慶暦年間に、畢昇が粘土に文字を刻し、焼いて扁平な活字をつくったのが最初の活字であるが、一般には普及しなかった。また朝鮮では、1227年に銅活字がつくられた。その後1592年、朝鮮侵略に際して豊臣秀吉が、朝鮮の王城内で銅活字と活字版の道具をみつけ、日本に持ち帰った。これが天皇に献上され、日本で初めての活版印刷が行われた。その後の出版は木版が主となっている。 | + | == 歴史 == |
- | またヨーロッパでは1445年ごろにドイツでグーテンベルクが、鉛とスズの合金で活字をつくることに成功し、従来の木活字に比べ製造が容易で正確であったので、ヨーロッパ中に急速に広まっていた。 | ||
- | これは16世紀末に、キリスト教の宣教師であるイタリア人バリニャーノによって日本にもたらされたが、キリシタン禁制で消滅する。後の1848年に本木昌造がオランダ船のもってきた活字を買い、邦文活字の基準をつくって活版印刷を行い日本の活字の出発点となった。その後改良が加えられるが、1950年頃からは写真植字機、80年頃からはコンピュータが台頭している。 | ||
+ | 中国の宋代の慶暦年間に、畢昇が粘土に文字を刻し、焼いて扁平な活字をつくったのが最初の活字であるが、一般には普及しなかった。 | ||
- | 種類 | + | また朝鮮では、1227年に銅活字がつくられた。その後1592年、朝鮮侵略に際して豊臣秀吉が、朝鮮の王城内で銅活字と活字版の道具をみつけ、日本に持ち帰った。これが天皇に献上され、日本で初めての活版印刷が行われた。その後の出版は木版が主となっている。 |
+ | 一方ヨーロッパでは1445年ごろにドイツでグーテンベルクが、鉛とスズの合金で活字をつくることに成功し、従来の木活字に比べ製造が容易で正確であったので、ヨーロッパ中に急速に広まっていた。 | ||
- | 彫刻活字 | + | これは16世紀末に、キリスト教の宣教師であるイタリア人バリニャーノによって日本にもたらされたが、キリシタン禁制で消滅する。後の1848年に本木昌造がオランダ船のもってきた活字を買い、邦文活字の基準をつくって活版印刷を行い日本の活字の出発点となった。 |
- | 彫刻活字は、古い活字によくみられる、彫ることによってつくった活字をである。ほとんどが木製だが、さまざまなものがある。ちなみに最も古い活字は陶器製である。そのほか金属のものもなかにはあったが、ほとんど木に彫ったものである。金属活字に比べ、つくりやすいのが特徴だが、同一規格のものがつくりにくい、大量生産できないなどの点で劣る。 | + | その後改良が加えられるが、1950年頃からは写真植字機、80年頃からはコンピュータが台頭している。 |
- | 金属活字(鋳造活字) | ||
- | 活字の金属は一般には鉛73~87%、スズ1~7%、アンチモン12~20%の三元合金である。これを活字合金という。金属活字をつくるには溶融した活字合金を、母型を組み合わせた鋳型に流して鋳造する。金属活字は大小を問わず、その高さはJISでは23.45ミリメートルと定めている。和文活字は普通正方形であるが、欧文活字は幅が文字によって異なる。 | ||
+ | == 種類 == | ||
- | 活字の大きさ | ||
- | 和文活字 | ||
- | 大きさの表示にポイント式、倍式、号式の3種類がある。 | + | '''彫刻活字''' |
- | ポイント式は世界各国で採用しているが、日本はアメリカ式を採用し、JISに制定されている。ポイント式はポイントを単位とし1ポイントは0.3514ミリメートル。 | + | 彫刻活字は、古い活字によくみられる、彫ることによってつくった活字をである。ほとんどが木製だが、さまざまなものがある。ちなみに最も古い活字は陶器製である。そのほか金属のものもなかにはあったが、ほとんど木に彫ったものである。金属活字に比べ、つくりやすいのが特徴だが、同一規格のものがつくりにくい、大量生産できないなどの点で劣る。 |
- | 倍式はかつて日本の新聞活字の大きさを示すのに用いられていた基準で、u単位(0.2794ミリメートル)からなり、8uを1倍としている。 | + | '''金属活字(鋳造活字)''' |
- | 号式活字は明治初年に本木昌造が考案したもので、明治・大正時代にはこの方式によったが、しだいにポイント式にとってかわられた。 | + | 活字の金属は一般には鉛73~87%、スズ1~7%、アンチモン12~20%の三元合金である。これを活字合金という。金属活字をつくるには溶融した活字合金を、母型を組み合わせた鋳型に流して鋳造する。金属活字は大小を問わず、その高さはJISでは23.45ミリメートルと定めている。和文活字は普通正方形であるが、欧文活字は幅が文字によって異なる。 |
- | 欧文活字 | ||
- | 現在ではディドー式とアメリカ式の2通りのポイント活字が使われている。 | ||
- | ディドー式は、1770年ごろパリの活字業者ディドーが提案し、1インチの72分の1を1ポイント(0.3759mm)としたものである。現在ヨーロッパ大陸で使われている。 | ||
- | アメリカ式ポイントは、1886年全米の活字業者が集まり、マッケラー・スミス・ジョルダン会社のパイカの12分の1を1ポイント(0.3514mm)としたもので、米・英・日などで使われている。 | + | == 活字の大きさ == |
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+ | '''和文活字''' | ||
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+ | 大きさの表示にポイント式、倍式、号式の3種類がある。 | ||
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+ | ポイント式は世界各国で採用しているが、日本はアメリカ式を採用し、JISに制定されている。ポイント式はポイントを単位とし1ポイントは0.3514mm。 | ||
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+ | 倍式はかつて日本の新聞活字の大きさを示すのに用いられていた基準で、u単位(1u=0.2794mm)からなり、8uを1倍としている。 | ||
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+ | 号式活字は明治初年に本木昌造が考案したもので、明治・大正時代にはこの方式だったが、しだいにポイント式になっていった。 | ||
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+ | ディドー式は、1770年ごろパリの活字業者ディドーが提案し、1インチの72分の1を1ポイント(0.3759mm)としたものである。現在ヨーロッパ大陸で使われている。 | ||
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+ | アメリカ式ポイントは、1886年全米の活字業者が集まり、マッケラー・スミス・ジョルダン会社のパイカの12分の1を1ポイント(0.3514mm)としたもので、米・英・日などで使われている。 | ||
- | 参考文献 | + | |
+ | == 参考文献 == | ||
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本と活字の歴史事典 印刷紙研究会 柏書房 | 本と活字の歴史事典 印刷紙研究会 柏書房 | ||
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http://www.jagat.or.jp/story_memo_view.asp?StoryID=1476 | http://www.jagat.or.jp/story_memo_view.asp?StoryID=1476 | ||
- | http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%BB%E5%AD%97(Wikipedia) | + | http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%BB%E5%AD%97 |
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目次 |
概要
ここでは活版印刷に用いられる字型のこと。金属製や木製の四角柱に文字が刻まれている。これらを組み合わせて版をつくり、印刷するもののことである。1950年代以降より写真植字、80年ごろよりコンピュータによる文字の製作が盛んとなりあまりみられなくなった。広義では写真植字など広く文字を同一の字形で繰り返し表現するものを含む。
歴史
中国の宋代の慶暦年間に、畢昇が粘土に文字を刻し、焼いて扁平な活字をつくったのが最初の活字であるが、一般には普及しなかった。
また朝鮮では、1227年に銅活字がつくられた。その後1592年、朝鮮侵略に際して豊臣秀吉が、朝鮮の王城内で銅活字と活字版の道具をみつけ、日本に持ち帰った。これが天皇に献上され、日本で初めての活版印刷が行われた。その後の出版は木版が主となっている。
一方ヨーロッパでは1445年ごろにドイツでグーテンベルクが、鉛とスズの合金で活字をつくることに成功し、従来の木活字に比べ製造が容易で正確であったので、ヨーロッパ中に急速に広まっていた。
これは16世紀末に、キリスト教の宣教師であるイタリア人バリニャーノによって日本にもたらされたが、キリシタン禁制で消滅する。後の1848年に本木昌造がオランダ船のもってきた活字を買い、邦文活字の基準をつくって活版印刷を行い日本の活字の出発点となった。
その後改良が加えられるが、1950年頃からは写真植字機、80年頃からはコンピュータが台頭している。
種類
彫刻活字
彫刻活字は、古い活字によくみられる、彫ることによってつくった活字をである。ほとんどが木製だが、さまざまなものがある。ちなみに最も古い活字は陶器製である。そのほか金属のものもなかにはあったが、ほとんど木に彫ったものである。金属活字に比べ、つくりやすいのが特徴だが、同一規格のものがつくりにくい、大量生産できないなどの点で劣る。
金属活字(鋳造活字)
活字の金属は一般には鉛73~87%、スズ1~7%、アンチモン12~20%の三元合金である。これを活字合金という。金属活字をつくるには溶融した活字合金を、母型を組み合わせた鋳型に流して鋳造する。金属活字は大小を問わず、その高さはJISでは23.45ミリメートルと定めている。和文活字は普通正方形であるが、欧文活字は幅が文字によって異なる。
活字の大きさ
和文活字
大きさの表示にポイント式、倍式、号式の3種類がある。
ポイント式は世界各国で採用しているが、日本はアメリカ式を採用し、JISに制定されている。ポイント式はポイントを単位とし1ポイントは0.3514mm。
倍式はかつて日本の新聞活字の大きさを示すのに用いられていた基準で、u単位(1u=0.2794mm)からなり、8uを1倍としている。
号式活字は明治初年に本木昌造が考案したもので、明治・大正時代にはこの方式だったが、しだいにポイント式になっていった。
欧文活字
現在ではディドー式とアメリカ式の2通りのポイント活字が使われている。
ディドー式は、1770年ごろパリの活字業者ディドーが提案し、1インチの72分の1を1ポイント(0.3759mm)としたものである。現在ヨーロッパ大陸で使われている。
アメリカ式ポイントは、1886年全米の活字業者が集まり、マッケラー・スミス・ジョルダン会社のパイカの12分の1を1ポイント(0.3514mm)としたもので、米・英・日などで使われている。
参考文献
本と活字の歴史事典 印刷紙研究会 柏書房
http://www.kazuipress.com/basic/katuji.html
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E6%B4%BB%E5%AD%97/