予防
出典: Jinkawiki
2010年2月16日 (火) 13:30の版 Bunkyo-studen2008 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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カプラン(Caplan,G,1964)は、予防の水準を3つに分けた。 | カプラン(Caplan,G,1964)は、予防の水準を3つに分けた。 | ||
それは第1次予防、第2次予防、第3次予防である。予防のための働きかけを予防的な介入という。つぎに、それぞれの水準について見てゆく。 | それは第1次予防、第2次予防、第3次予防である。予防のための働きかけを予防的な介入という。つぎに、それぞれの水準について見てゆく。 | ||
- | Ⅰ.第1次予防 | + | <br>Ⅰ.第1次予防 |
- | 第1次予防は、健康な児童生徒を健康なままに保つことを目的としている。対象は、心理的な問題の兆候がない児童生徒であり、方法としては児童生徒の学校での生活環境に働きかけて発達を促すか、あるいは対象となる児童生徒が将来出会うであろうさまざまな困難を乗り越えるための能力を高めるかのいずれかの方法をとることになる。 | + | <br> 第1次予防は、健康な児童生徒を健康なままに保つことを目的としている。対象は、心理的な問題の兆候がない児童生徒であり、方法としては児童生徒の学校での生活環境に働きかけて発達を促すか、あるいは対象となる児童生徒が将来出会うであろうさまざまな困難を乗り越えるための能力を高めるかのいずれかの方法をとることになる。 |
第1次予防を成功させるには | 第1次予防を成功させるには | ||
<br>① 予防的な介入が個人よりも集団に対して行われること。 | <br>① 予防的な介入が個人よりも集団に対して行われること。 | ||
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<br>以上の3つの点が必要である。 | <br>以上の3つの点が必要である。 | ||
- | Ⅱ.第2次予防 | + | <br>Ⅱ.第2次予防 |
- | 第2次予防は心理的問題を生じさせる危険性を抱えた児童生徒(このような場合を心理学ではハイリスク状態と呼ぶ)を援助し、心理的問題が生じることを未然に防ぐことを目的とする。この段階では、児童生徒はすでになんらかの心理的問題の兆候を示していることが多い。第2次予防は児童生徒の心理的問題の芽を摘み取ることにより、問題がそれ以上大きくならないようにするために早期に介入を行う。 | + | <br> 第2次予防は心理的問題を生じさせる危険性を抱えた児童生徒(このような場合を心理学ではハイリスク状態と呼ぶ)を援助し、心理的問題が生じることを未然に防ぐことを目的とする。この段階では、児童生徒はすでになんらかの心理的問題の兆候を示していることが多い。第2次予防は児童生徒の心理的問題の芽を摘み取ることにより、問題がそれ以上大きくならないようにするために早期に介入を行う。 |
早期の介入を行うことにより、問題の程度を低め、問題を減らすことを目的として行われる。ただし、児童生徒の問題の程度を正確に把握しなければ、第2次予防を効果的にお行うことは困難である。そのために、スクールカウンセラーなどと協働して、きちんとした心理アセスメントを行い、児童生徒の状態を把握する必要がある。 | 早期の介入を行うことにより、問題の程度を低め、問題を減らすことを目的として行われる。ただし、児童生徒の問題の程度を正確に把握しなければ、第2次予防を効果的にお行うことは困難である。そのために、スクールカウンセラーなどと協働して、きちんとした心理アセスメントを行い、児童生徒の状態を把握する必要がある。 | ||
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+ | <br>Ⅲ.第3次予防 | ||
+ | <br> 第3次予防はすでに長期にわたって生じている心理的な問題の結果としておこる困難を緩和することを目的とする。対象となる児童は、すでに心理的問題が起きており、現在も継続している者である。予防的な介入の目標は心理的問題を持つ児童生徒が、できる限り正常な生活に戻ることを援助することである。児童生徒が学校や集団での生活から遠ざかっている期間が長ければ長いほど、元通りの生活に戻るうえで困難が伴う。 | ||
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+ | == 予防の方法 == | ||
+ | 学校における予防的な介入の方法として、児童生徒個人あるいは集団に対して行う直接的な場合と、教師を対象として予防的な介入の方法を訓練することにより、教師が児童生徒に予防的な介入を行うことを援助する間接的な方法がある。 | ||
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+ | == 参考文献 == | ||
+ | 谷島弘仁著 学校カウンセリング -教師とスクールカウンセラーの接点- ブレーン出版 |
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目次 |
概要
学校では児童生徒の適応の障害をはじめとして、さまざまな問題が生じている。それらの問題は深刻で、解決に時間のかかるものが多い。そのため、教師の目は深刻な問題へ向けられがちとなり、必然的に治療的なカウンセリングが重視されるようになる。 しかし、気をつけなければならないことは、困難な状況は最初から困難だったとは限らないという点である。人間関係においても、最初はちょっとした行き違いだったことが次第に相互不信を生み、最終的にはぶつかり合いに至ることもある。問題が生じても大事に至らないうちに解決することができれば、事なきを得ることができる。 このように、問題が生じることをあらかじめ防止することが予防である。 予防の重要性は児童生徒の適応の障害に対しても同様である。問題が生じる前に予防することができれば、不登校やいじめなどの問題は減少する可能性が高い。
予防的な介入
カプラン(Caplan,G,1964)は、予防の水準を3つに分けた。
それは第1次予防、第2次予防、第3次予防である。予防のための働きかけを予防的な介入という。つぎに、それぞれの水準について見てゆく。
Ⅰ.第1次予防
第1次予防は、健康な児童生徒を健康なままに保つことを目的としている。対象は、心理的な問題の兆候がない児童生徒であり、方法としては児童生徒の学校での生活環境に働きかけて発達を促すか、あるいは対象となる児童生徒が将来出会うであろうさまざまな困難を乗り越えるための能力を高めるかのいずれかの方法をとることになる。
第1次予防を成功させるには
① 予防的な介入が個人よりも集団に対して行われること。
② 集団に不適応の兆候が現れる前に介入すること。
③ 集団内の児童生徒の心理的適応を強めるように意図されていること。
以上の3つの点が必要である。
Ⅱ.第2次予防
第2次予防は心理的問題を生じさせる危険性を抱えた児童生徒(このような場合を心理学ではハイリスク状態と呼ぶ)を援助し、心理的問題が生じることを未然に防ぐことを目的とする。この段階では、児童生徒はすでになんらかの心理的問題の兆候を示していることが多い。第2次予防は児童生徒の心理的問題の芽を摘み取ることにより、問題がそれ以上大きくならないようにするために早期に介入を行う。
早期の介入を行うことにより、問題の程度を低め、問題を減らすことを目的として行われる。ただし、児童生徒の問題の程度を正確に把握しなければ、第2次予防を効果的にお行うことは困難である。そのために、スクールカウンセラーなどと協働して、きちんとした心理アセスメントを行い、児童生徒の状態を把握する必要がある。
Ⅲ.第3次予防
第3次予防はすでに長期にわたって生じている心理的な問題の結果としておこる困難を緩和することを目的とする。対象となる児童は、すでに心理的問題が起きており、現在も継続している者である。予防的な介入の目標は心理的問題を持つ児童生徒が、できる限り正常な生活に戻ることを援助することである。児童生徒が学校や集団での生活から遠ざかっている期間が長ければ長いほど、元通りの生活に戻るうえで困難が伴う。
予防の方法
学校における予防的な介入の方法として、児童生徒個人あるいは集団に対して行う直接的な場合と、教師を対象として予防的な介入の方法を訓練することにより、教師が児童生徒に予防的な介入を行うことを援助する間接的な方法がある。
参考文献
谷島弘仁著 学校カウンセリング -教師とスクールカウンセラーの接点- ブレーン出版