不随意運動

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2010年2月16日 (火) 14:08の版
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== 律動性不随意運動 == == 律動性不随意運動 ==
-1.振戦tremor+・振戦tremor
 振戦とは、身体の一部分に起こる規則的・律動的な不随意運動です。屈筋と信筋が反復した往復運動が特徴的である。振戦は起こり方によって3つに分類される。  振戦とは、身体の一部分に起こる規則的・律動的な不随意運動です。屈筋と信筋が反復した往復運動が特徴的である。振戦は起こり方によって3つに分類される。
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運動中の起こる振戦の代表は小脳性振戦とされている。運動失調にみられる動揺をいう場合もあるが、これは振戦の定義から外れる。この振戦は時に小脳疾患や脳血管障害などでみられる。 運動中の起こる振戦の代表は小脳性振戦とされている。運動失調にみられる動揺をいう場合もあるが、これは振戦の定義から外れる。この振戦は時に小脳疾患や脳血管障害などでみられる。
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 +== 非律動性不随意運動 ==
 +① 口ジスキネジー
 + 口をもぐもぐさせたり、舌をペチャペチャさせるような不随意運動です。パーキンソン病治療薬や抗精神病薬の副作用で起こることがある。
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 +② バリスムス
 + 上下肢全体を投げ出すような、または振り回すような大きく激しい不随意運動である。バリスムスは、視床下核の脳梗塞や脳出血による障害で反対側の上下肢に起こるものがほとんどである。
 + この場合は、自然に消える場合がほとんどですが、ハロペリドール(セレネース)の投与が比較的有効である。
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 +③ アテトーゼ
 + 手足や頭をゆっくりとくねらせるような動きをする不随意運動です。脳性麻痺(のうせいまひ)や代謝異常などでみられる。アテトーゼ自体は、薬物療法による治療効果は乏しく、強い筋肉の緊張を伴う場合にジアゼパム(セルシン)などで筋肉の緊張を軽くさせる程度である。
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 +④ ジストニア
 + ジストニアとは、筋肉の緊張の異常によって異常な姿勢、肢位をとるものをいう。頸部(けいぶ)の異常姿勢を示す痙性斜頸(けいせいしゃけい)や、字を書く時にだけ手に変に力が入り字を書きにくくなる書痙(しょけい)も、局所の特発性ジストニアである。
 + アテトーゼと同様に代謝異常でみられることもありますが、それ以外に、パーキンソン病治療薬や抗精神病薬の副作用でみられることもある。トリヘキシフェニジル(アーテン)などで効果がある。
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 +⑤ ミオクローヌス
 + ミオクローヌスは、手足、全身のビクッとする素早い動きのことで、健康な人でも入眠時にみられることがあります。代謝異常でみられることが多いのですが、まれな病気で、亜急性硬化性全脳炎(あきゅうせいこうかせいぜんのうえん)やクロイツフェルト・ヤコブ病では、ミオクローヌス自体が主症状でみられる。
 + ミオクローヌスの治療は、代謝異常では原疾患の治療でよくなりますが、クロナゼパム(リボトリール)が有効である。
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 +参考文献:「発達障害児の医療・療育・教育」 松本昭子 土橋圭子 編集 金芳堂
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 +参考URL:http://health.goo.ne.jp/medical/search/10840900.html

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目次

不随意運動とは

 意思とは無関係に生じる不合理な動作・運動のこと。振戦(ふるえ)、ジストニア(筋緊張異常による異常姿勢)、バリスムス(上下肢全体の振回し運動)、アテトーシス(手足、頭などの緩慢な旋回運動)、ミオクローヌス(痙攣的運動)、口ジスキネジー(口周辺部や舌の異常運動)などがあり、発症部位や運動の規則性・強さ・睡眠時の運動有無などによって分類される。身体バランスの調整・運動の円滑化に重要な機能を持つ大脳基底核を中心とした錐体外路が阻害された場合、異常な筋収縮が発生し不随意運動が引き起こされる。脳血管障害やけがなどによる脳機能障害およびその後遺症・パーキンソン病などの疾患・薬物中毒などで現れることが多い。

分類

 不随意運動の診断には不随意運動の①出現部位(全身性か部分か)、②起こり方(律動的か否か)、③持続時間(持続性または間欠性)、④大きさ、強さ、速さ、⑤出現の情況(誘発)などが重要な手掛かりになる。不随意運動は通常、睡眠時を除けばかなり持続的にまた、比較的簡単に誘発できるものだが、中には発作性にのみ出現し、通常の間欠期には神経症状をまったく認めない発作性ジスキネジアというものもある。  まず律動性の有無によって分類できる。

1.律動性  振戦

2.非律動性  舞踏運動、バリズム、アテトーゼ、ジスキジア、チック

3、律動性または非律動性  ミオクローヌス、ヒピルキネジー

小児でよく見られる不随意運動は舞踏運動、アテトーゼ、チック、ミオクローヌス、ジストニアの5つである。その他の振戦、バリズム、ジスキネジアも時に見られる。

律動性不随意運動

・振戦tremor  振戦とは、身体の一部分に起こる規則的・律動的な不随意運動です。屈筋と信筋が反復した往復運動が特徴的である。振戦は起こり方によって3つに分類される。

①安静時振戦

安静時に見られる振戦の典型的なものの代表がParkinson病にみられる振戦である。精神的にも肉体的にも安静にすれば、この振戦は減弱する。したがって睡眠時には振戦は消失する。反対に精神的に興奮したり、不安などがあれば振戦は増強する。  治療は通常、抗コリン薬、ドーパミン作動薬が有効とされている。

②姿勢時振戦

この振戦は一側の上肢に優位にあらわれることが特徴。姿勢時振戦の代表は本態性振戦だが同一ではない。本態性振戦では、暗算負荷などの精神的なストレスでは憎悪がみられないのが特徴である。経過が長期になると、反抗運動や運動過多を伴うといわれている。

③運動時振戦

運動中の起こる振戦の代表は小脳性振戦とされている。運動失調にみられる動揺をいう場合もあるが、これは振戦の定義から外れる。この振戦は時に小脳疾患や脳血管障害などでみられる。


非律動性不随意運動

① 口ジスキネジー  口をもぐもぐさせたり、舌をペチャペチャさせるような不随意運動です。パーキンソン病治療薬や抗精神病薬の副作用で起こることがある。

② バリスムス  上下肢全体を投げ出すような、または振り回すような大きく激しい不随意運動である。バリスムスは、視床下核の脳梗塞や脳出血による障害で反対側の上下肢に起こるものがほとんどである。  この場合は、自然に消える場合がほとんどですが、ハロペリドール(セレネース)の投与が比較的有効である。

③ アテトーゼ  手足や頭をゆっくりとくねらせるような動きをする不随意運動です。脳性麻痺(のうせいまひ)や代謝異常などでみられる。アテトーゼ自体は、薬物療法による治療効果は乏しく、強い筋肉の緊張を伴う場合にジアゼパム(セルシン)などで筋肉の緊張を軽くさせる程度である。

④ ジストニア  ジストニアとは、筋肉の緊張の異常によって異常な姿勢、肢位をとるものをいう。頸部(けいぶ)の異常姿勢を示す痙性斜頸(けいせいしゃけい)や、字を書く時にだけ手に変に力が入り字を書きにくくなる書痙(しょけい)も、局所の特発性ジストニアである。  アテトーゼと同様に代謝異常でみられることもありますが、それ以外に、パーキンソン病治療薬や抗精神病薬の副作用でみられることもある。トリヘキシフェニジル(アーテン)などで効果がある。

⑤ ミオクローヌス  ミオクローヌスは、手足、全身のビクッとする素早い動きのことで、健康な人でも入眠時にみられることがあります。代謝異常でみられることが多いのですが、まれな病気で、亜急性硬化性全脳炎(あきゅうせいこうかせいぜんのうえん)やクロイツフェルト・ヤコブ病では、ミオクローヌス自体が主症状でみられる。  ミオクローヌスの治療は、代謝異常では原疾患の治療でよくなりますが、クロナゼパム(リボトリール)が有効である。


参考文献:「発達障害児の医療・療育・教育」 松本昭子 土橋圭子 編集 金芳堂

参考URL:http://health.goo.ne.jp/medical/search/10840900.html


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