キャラック船

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羽田正(著) 興亡の世界史第15巻『東インド会社とアジアの海』講談社(2007) 羽田正(著) 興亡の世界史第15巻『東インド会社とアジアの海』講談社(2007)
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『Captain Fleet』「カラック」http://www1.cts.ne.jp/~fleet7/indexj.html (2011.1.26.確認) 『Captain Fleet』「カラック」http://www1.cts.ne.jp/~fleet7/indexj.html (2011.1.26.確認)
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キャラック船

キャラック船(Carrack)とは、主に15世紀から16世紀に用いられた帆船の一種である。

目次

概要

キャラック船は本格的な遠洋航海用の帆船として、1400年ごろ南西ヨーロッパで登場したとされる。北方船の横帆と南方船の平張り船体の双方の流れを受け継ぎ、北ヨーロッパの船と地中海の船の長所がとりいれられている。全長と全幅の比は3:1とずんぐりしており、全長は30~60m、排水量は200トンから1500トンと大小さまざまな大きなが存在している。乗組員も50人程度から、兵士と船員合わせて1000人に達するものまで多岐にわたる通常、3本から4本のマストを備え、丸みを帯びた船体と複層式の船首楼、船尾楼を有する。帆装は以前の帆船と異なり横帆と縦帆が組み合わされており、フォア、メイン、ミズンで構成される3本のマストを持つことで、フォアマストとメインマストには横帆が、ミズンマストには縦帆が用いられていた。後に船体が大型化するに従って4番目のマスト(アフタミズンマスト)が、ミズンマストのさらに後方に追加される。


積載量に優れ、軍用商用の両方に活躍した。また、大砲の舷側に大砲を並べた最初の帆船でもある。


運用

キャラックはその積載力を生かして軍用艦、商船の両方面に活用された。乗員、物資、貨物を運ぶための豊富なスペースを有していたことから、貿易船として都合が良く、貨物と物資の積載能力が高かったため、航行期間を長期化でき、より少ない寄港による効率的な航海ルートを選択することもできた。

ずんぐりとした船体から安定性にも長け、横帆・縦帆を組み合わせた帆装により航行性能にも優れていた。以前の船は、縦帆装の船は向かい風を、横帆装の船は追い風を得意としていたが、キャラック船は複数の帆を組み合わせて使えたため、風に対して適切な角度を選択する柔軟性が高く、船尾と船首に付けた帆は回頭性の向上に寄与し、三角帆は逆風状態での航行を可能にした。この優れた積載量、航行性能により新世界探索にも用いられるなどオールマイティーに任務をこなした。

戦闘用としても、高い安定性、広い甲板から、甲板を安定した砲台として用いることが可能であり、植民都市への威圧射撃にも活用された。これは商船や探検船としても重要な点で、西インド諸島などではしばしば小型船舶からの襲撃が問題となったため、それらに対して高い防御力を誇ったキャラックが商人や冒険家に与えた安心感は大きかった。

しかし、巨大でずんぐりした船体による弊害も少なからず存在した。あまりに大きい船体は風にあおられやすく、突風時は転覆の危険があった。また、回頭性能など小回りの点で若干の弱点を抱えており、冒険家は次第にキャラベル船を好むようになっていった。

また、さらに後の時代になるとキャラック船同様に積載量に優れ、さらに快速のガレオン船が登場したため、次第にガレオン船に置き換えられていった。


有名なガレオン船

1492年、クリストファー・コロンブスが新大陸に到達した際に乗船していたサンタ・マリア号、1519年から1522年にかけ、初の世界一周を果たしたスペインのフェルディナンド・マゼランのビクトリア号も、キャラック船である。


参考文献・URL

羽田正(著) 興亡の世界史第15巻『東インド会社とアジアの海』講談社(2007)

『Captain Fleet』「カラック」http://www1.cts.ne.jp/~fleet7/indexj.html (2011.1.26.確認)

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