クリストファー・ジョンソン・マッカンドレス(アレグザンダー・スーパートランプ)
出典: Jinkawiki
2011年2月3日 (木) 23:55の版 Daijiten2009 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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ついにクリスは旅の最終地点のアラスカの山岳地帯に到着した。わずかな食糧と狩猟用のライフルを背負い、まだ雪の降り積もった険しい大地を踏みしめながら、山を越え、川を渡り、ひたすら奥地へ進んでいく。やがてクリスは風雨にさらされ、ぽつんと放置されたおんぼろのバスを発見する。それは2年間にわたる旅の目的を成し遂げるには、格好の“家”だった。そして静寂と野生動物によって支配されたその広大な空間は、まさにクリスが夢見ていた絶対的な孤独の荒野だった。しかし見るもの、触れるものすべてが新鮮で驚きに満ちたその大自然には、クリスの想像に及ばない“罠”が潜んでいた・・・。彼はこの地で最期の時を迎えることになる。アラスカ、デナリ国立公園北部のスタンピード・トレイルにて・・・ | ついにクリスは旅の最終地点のアラスカの山岳地帯に到着した。わずかな食糧と狩猟用のライフルを背負い、まだ雪の降り積もった険しい大地を踏みしめながら、山を越え、川を渡り、ひたすら奥地へ進んでいく。やがてクリスは風雨にさらされ、ぽつんと放置されたおんぼろのバスを発見する。それは2年間にわたる旅の目的を成し遂げるには、格好の“家”だった。そして静寂と野生動物によって支配されたその広大な空間は、まさにクリスが夢見ていた絶対的な孤独の荒野だった。しかし見るもの、触れるものすべてが新鮮で驚きに満ちたその大自然には、クリスの想像に及ばない“罠”が潜んでいた・・・。彼はこの地で最期の時を迎えることになる。アラスカ、デナリ国立公園北部のスタンピード・トレイルにて・・・ | ||
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+ | == 彼の言葉 彼が好んだ言葉 == | ||
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+ | 「北へ行くんだ ひたすら北へ向かう 僕一人の力で 時計も地図もオノもなし 何にも頼りたくない 真っ只中で生きるんだ そびえる山 川 空 猟獣 荒野のど真ん中で」 | ||
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+ | 「極限の生き方 美を追求する旅人 その住みかは この大地だ」 | ||
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+ | 「自由気ままな旅は気分を高揚させる どこか“逃避”を思わせるからだ 過去 抑圧 法律 面倒な義務からの----- 絶対的自由」 | ||
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+ | 「人生において必要なのは----- 実際の強さより強いと感じる心だ 一度は自分を試すこと 一度は太古の人間のような環境に身を置くこと 自分の頭と手しか頼れない----- 過酷な状況に一人で立ち向かうこと」 | ||
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+ | 「ぼくの一生は幸せだった。 ありがとう。 さようなら。 皆さんに神の御加護がありますように!」 | ||
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+ | (1992年8月18日ルイス・ラムーアの回顧録「放浪男の教育」の最後のページに記されたメモより) | ||
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+ | 幸福が現実となるのは | ||
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+ | それを誰かと分かち合った時だ | ||
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+ | 「Into The Wild」著 Jon Krakauer 「荒野へ」佐宗 鈴夫 |
最新版
目次 |
人物 (ニューヨーク・タイムズより)
荒野で死んだ徒歩旅行者、恐怖を記録 「アンカレッジ、九月十二日AP」
先週の土曜日、若い徒歩旅行者が怪我をして動きがとれなくなり、アラスカ内陸部の人里離れたテントの中で死亡しているのが発見された。まだ身元は確認されていない。しかし、テントにあった日記と二枚のメモからは、助かろうとする死にものぐるいの努力がしだいに虚しいものになっていく苦悩の顛末が読みとれる。 日記によれば、二十代後半か三十代はじめのアメリカ人と見られる男性は転倒して怪我をし、その後、三か月以上テントで動きがとれなくなっていたらしい。日記には、狩りをしたり、野草を食べて、生きのびようとしていた様子が記されていた。しかし、身体のほうは衰弱していった。二枚のメモのうち一枚は救助をもとめるもので、徒歩旅行者が周辺へ食べものを探しにいっている間に、テントのところへやってくるかもしれない相手にむかって書いたものである。二枚目のメモにあったのは、この世に別れを告げる言葉であった・・・。 今週、フェアバンクスの州検屍局で行われてた解剖によって、男性が七月下旬に餓死したらしいことが判明した。当局は所持品から彼のものと思われる名前を発見した。しかし、いまのところ身元確認までには至っていない。確認されるまで、当局からの名前の発表はない。
<ニューヨーク・タイムズ>一九九二年九月十三日
人物2
ワシントンDC郊外の高級住宅地で育ち、学業のほうも優秀であり、スポーツマンとしてもエリートだったようである。一九九〇年夏にエモリー大学を優等(ハーバード大学のロースクールに入れる程度)で卒業し、その直後に姿を消した。名前を変え、二万四千ドルの預金を全額慈善団体に寄付し、自分の車と持ちもののほとんどを放棄して、財布にあった現金もすべて燃やした。それから、まったくあたらしい人生、社会の末端に身を置き、新鮮なすばらしい経験をもとめて北アメリカを放浪するという生き方に身を投じた。アラスカで遺体が発見されるまで、家族は、彼がどこにいるのかも、どこへ行ったのかも、まるで知らなかった。
足取り
1990年夏
ジョージア州アトランタのエモリー大学を優秀な成績で卒業したクリストファー・マッカンドレスは、将来の成功を約束された22歳の若者だ。ワシントンDC郊外の高級住宅街で育った彼は、NASAの航空宇宙エンジニアだった父ウォルトと母ビリーから卒業祝いとして新車を買ってやると言われるが、「新しい車なんか欲しくない。何も欲しくない」と素っ気なく答える。そしてまもなく2万4000ドルの貯金を慈善団体に寄付し、両親や妹カーリンに何も告げることなく、中古のダッドサンに乗って姿をくらました。これがクリスの壮大な旅の始まりだった。 アリゾナ州のミード湖で鉄砲水に見舞われたクリスは惜しげもなく車を捨て、アレグザンダー・スーパートランプと別名を名乗ることにする。彼がすべてを捨てて旅立ったのは、物質社会から脱出して新たに生まれ変わり、いかなるルールにも束縛されない自由を得るためだった。 北カルフォルニのパシフィック・クレスト・トレイルの大自然をゆくクリスは、気ままに旅をするヒッピーのカップル、レイニーとジャンのトレイラーに乗せてもらう。複雑な過去を引きずるジャンは、ナイーブなクリスに音信不通になってしまった息子の面影を見る。海辺でキャンプした3人は仲むつまじいひとときを過ごすが、ある朝レイニーとジャンが目覚めるとクリスの姿はなかった。砂浜には「ありがとう!」と記されていた。
1990年9月
クリスはサウスダコタ州で大農場を営むウェインのもとで働いていた。ウェインは陽気でおおらかな男でクリスは彼を兄のように慕い、楽しく酒を酌み交わすこともあった。「アラスカへ行くんだ。荒野のど真ん中で生きる。特別な瞬間を、その場所で!」。ウェインはそんなことを意気揚々とまくし立てるクリスの無鉄砲さを諭そうとするが、後日、ある違法行為によって当局に逮捕されてしまう。働き口を失ったクリスは、再びさすらいの旅に出た。 その頃、クリスの実家では両親が警察や私立探偵に我が子の捜索を依頼し、妹のカーリンは彼の胸の内に思い馳せていた。マッカンダレス家には複雑な事情があり、繊細なクリスの気持ちを理解していたカーリンには、彼が姿を消した理由がわかるような気がした。クリスが自分を探さないでほしいと願っていることも。 コロラド川でカヤックによるスリリングな急流下りを体験したクリスは、水路でメキシコへの国境を超えたのち、再びカリフォルニアに舞い戻ってきた。1991年の暮れには社会の規範に囚われないアウトサイダーたちが集まるスラブスのコミュニティで、レイニーとジャンとの喜びの再開を果たした。そこで新たに出会った16歳の少女トレイシーは、クリスに急速に惹かれていく。しかしクリスには、恋よりも何よりも大切な目的があった。
1992年1月
クリスはカリフォルニアのソルトン・シティでロン・フランツという老人とめぐり会う。ロンは仕事もせずに野宿しながら旅をするクリスを不思議がるが、同時に親しみを感じた。ふたりはお互いの身の上話を打ち明け、岩肌が剥き出しの山を登るハイキングに興じ、数週間のうちに世代を超えた友情を育んでいった。やがてクリスとの別れの時が迫った頃、ロンは再び独りぼっちの生活に戻ることが恐ろしくなっていた。「君を養子にしたい。私は君の祖父になろう」。そんなロンの切実な申し出も、クリスのアラスカ行きを止めることはできなかった。
1992年5月
ついにクリスは旅の最終地点のアラスカの山岳地帯に到着した。わずかな食糧と狩猟用のライフルを背負い、まだ雪の降り積もった険しい大地を踏みしめながら、山を越え、川を渡り、ひたすら奥地へ進んでいく。やがてクリスは風雨にさらされ、ぽつんと放置されたおんぼろのバスを発見する。それは2年間にわたる旅の目的を成し遂げるには、格好の“家”だった。そして静寂と野生動物によって支配されたその広大な空間は、まさにクリスが夢見ていた絶対的な孤独の荒野だった。しかし見るもの、触れるものすべてが新鮮で驚きに満ちたその大自然には、クリスの想像に及ばない“罠”が潜んでいた・・・。彼はこの地で最期の時を迎えることになる。アラスカ、デナリ国立公園北部のスタンピード・トレイルにて・・・
彼の言葉 彼が好んだ言葉
「北へ行くんだ ひたすら北へ向かう 僕一人の力で 時計も地図もオノもなし 何にも頼りたくない 真っ只中で生きるんだ そびえる山 川 空 猟獣 荒野のど真ん中で」
「極限の生き方 美を追求する旅人 その住みかは この大地だ」
「自由気ままな旅は気分を高揚させる どこか“逃避”を思わせるからだ 過去 抑圧 法律 面倒な義務からの----- 絶対的自由」
「人生において必要なのは----- 実際の強さより強いと感じる心だ 一度は自分を試すこと 一度は太古の人間のような環境に身を置くこと 自分の頭と手しか頼れない----- 過酷な状況に一人で立ち向かうこと」
「ぼくの一生は幸せだった。 ありがとう。 さようなら。 皆さんに神の御加護がありますように!」
(1992年8月18日ルイス・ラムーアの回顧録「放浪男の教育」の最後のページに記されたメモより)
幸福が現実となるのは
それを誰かと分かち合った時だ
参考文献
「Into The Wild」著 Jon Krakauer 「荒野へ」佐宗 鈴夫