米軍基地問題
出典: Jinkawiki
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2012年2月11日 (土) 04:01の版
目次 |
概要
太平洋戦争後、日本とアメリカ合衆国は、国際社会の平和と安全の維持の貢献のために日米安全保障条約を結んだ。日本はこの条約に則り、米軍に施設や区域を提供し、米軍は日本に軍隊を駐留させた。太平洋戦争後の占領軍から駐留が続いている。都内には208箇所の米軍基地があったが、現在は都や区市町村、多年にわたる取組みの歴史を経て、整理・縮小・返還がなされ、8か所になった。この米軍に提供された施設・区域を「在日米軍基地」という。米軍基地と基地内に駐留している米国人には、基本的に日本の法令は適用されない。基地の運営や駐留米国人の法的地位は、日米間で結ばれた地位協定に定められている。地位協定の運用は、日米両国政府間で協議することとされている。また、日本には米軍4万7000人が駐留している。相互防衛援助協定、資金提供協定(思いやり予算)で、日本の安全保障の代わりとして、その駐留費用は日本が負担している。日本側の負担として、基地用地の借上げ費用の1895億円、住宅経費や光熱費などの2756億円の2つがある。米軍再編の一環として、兵力の一部削減・移転が決定している。
問題点
・日本にあるアメリカ軍基地の約75%が沖縄県に置かれている。基地周辺では、飛行機などによる騒音やアメリカ兵による犯罪などの問題があり、県民からは基地返還の声が上がっている。
・沖縄県で航空機関連の事故が6年間で194件起きている。こうした航空機関連にとどまらず、流弾・廃油流出・原野火災など様々な事故がある。地域住民はいつ自分が事故に巻き込まれるか不安を抱えている。
・1日中発生する航空機騒音がある。合計すると一日30分以上にものぼる。環境庁の定める基準値を超える70~110デシベルが、大多数の測定地点で測定されていて、日常生活や安眠、地域住民の健康をおびやかす原因にもなっている。
・多くの実弾演習や、それによって発生する山火事により、自然が失われるなどして、自然環境に対する影響も多い。嘉手納基地では航空機燃料や洗剤の流出により、地下水などから基準値を超える有害物質が発見され、日本政府により撤去されるケースも見られた。
・一部のキャンプ地には、無数の不発弾が存在する。その処理には莫大な費用と長い年月を要する。
・地域振興への影響もある。沖縄県は米軍基地の占有率が大きいため、望ましい都市形成や、交通整備、産業基盤の整備など、振興開発を進める上で、大きな障害になっている。
・沖縄県では、日本人女性にわいせつ行為、平連続放火事件などが起こった。沖縄県が復帰する1972年から2001年の29年間、米軍は5006件もの犯罪を引き起こしている。そのうち、凶悪犯は527件、粗暴犯949件という割合である。
対策
1995年の米軍兵の少女暴行事件を発端に、沖縄の米軍基地問題についての本格的な話し合いが始まり、1996年には普天間基地の全面返還などが合意された。その後、返還は具体化されなかったが、2001年の米国同時多発テロを機会に、世界規模での在外米軍再編計画が進み、自衛隊と在日米軍の在り方や基地再編の見直しが協議されるようになった。
2006年に、
①普天間基地を名護市のキャンプ・シュワブ沿岸へ2014年までに移設
②海兵隊を2014年までにグアムに移転
③沖縄県南部の基地・施設を2014年以降に返還
④神奈川県のキャンプ座間への米陸軍と陸上自衛隊の司令部併設など日米連携の強化
などの在日米軍再編の方向が日米両政府で合意された。①については、民主党は移設先を県外か国外にすることを公約で掲げていたが、2010年5月、計画通りの名護市に移設することが日米間で合意され、地元からは大きな反発の声が上がっている。2012年2月、野田首相は米軍普天間飛行場の国外・県外移設を見送った。普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設と米海兵隊員八千人のグアム移駐とが切り離された。日米両政府が合意した在日米軍再編の行程表見直しによると、普天間移設の進展に関係なく、海兵隊員の一部がグアムに先行して移駐し、嘉手納基地より南の五米軍施設・区域の返還についても協議する。
参考資料
井手重昭 2011 現代用語の基礎知識 自由国民社
[1] 2012/02/10 閲覧
[2] 2012/02/10 閲覧
[3] 2012/02/10閲覧