ジェンダー
出典: Jinkawiki
2012年8月9日 (木) 14:18の版 Bunkyo-studen2008 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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== ジェンダーとは == | == ジェンダーとは == | ||
元々はフランス語、ドイツ語などに見られる名詞や形容詞などの文法的「性」、俗に言う男性名詞、女性名詞などの分類ないし分類クラスのことを指し、ラテン語のgenus(種族)を語源とする言葉である。 | 元々はフランス語、ドイツ語などに見られる名詞や形容詞などの文法的「性」、俗に言う男性名詞、女性名詞などの分類ないし分類クラスのことを指し、ラテン語のgenus(種族)を語源とする言葉である。 | ||
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ジェンダーは、性別についての社会的・文化的に形成されている広い意味での「通念」や「知識」、またそれらに基づく言説実践や社会的実践という意味で使用される。作られた男らしさ、女らしさを示す。例として、女はこう、男はこうというように規範となっている習慣、話し方、態度、服装、役割などである。 | ジェンダーは、性別についての社会的・文化的に形成されている広い意味での「通念」や「知識」、またそれらに基づく言説実践や社会的実践という意味で使用される。作られた男らしさ、女らしさを示す。例として、女はこう、男はこうというように規範となっている習慣、話し方、態度、服装、役割などである。 | ||
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60年代後期の性をめぐるフェミニスト理論や政治運動の中から、社会的な位置づけとしての性を生物学的な身体の性(sex)と区別して示す単語として誕生したとされる。 | 60年代後期の性をめぐるフェミニスト理論や政治運動の中から、社会的な位置づけとしての性を生物学的な身体の性(sex)と区別して示す単語として誕生したとされる。 | ||
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日本にはこれに相当する言葉がないため、論者によって「社会的文化的性」「心理的性」「性別秩序」などとさまざまな呼ばれ方をされ、重点が異なっている。 | 日本にはこれに相当する言葉がないため、論者によって「社会的文化的性」「心理的性」「性別秩序」などとさまざまな呼ばれ方をされ、重点が異なっている。 | ||
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また、ジェンダーの中でも、その社会の理念的ジェンダーと、実態ジェンダーがあり、前者は性差否定にも性差過剰強調にもふれやすいが、後者はより人間の生物学的な基盤に根ざしている。 | また、ジェンダーの中でも、その社会の理念的ジェンダーと、実態ジェンダーがあり、前者は性差否定にも性差過剰強調にもふれやすいが、後者はより人間の生物学的な基盤に根ざしている。 | ||
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近年ジェンダーは、両性のあり方、両性の関係性などの問題を考えるうえで極めて重要な意味をもつ用語として注目されている。 ジェンダーの考えを批判するものとして「ジェンダーフリー」がある。「ジェンダーフリー」とは、男女の違いについての、社会的・文化的に形成される性、こうあるべきだと、役割分担などが、盲目的に押し付けられ、強制されることで生じる不利益や不公平、偏見などをなくそうという運動・思想である。しかし、どのような区別や役割分担が盲目的に押しつけられ、強制されてきたのか、明確にされているわけではないため問題もある。 | 近年ジェンダーは、両性のあり方、両性の関係性などの問題を考えるうえで極めて重要な意味をもつ用語として注目されている。 ジェンダーの考えを批判するものとして「ジェンダーフリー」がある。「ジェンダーフリー」とは、男女の違いについての、社会的・文化的に形成される性、こうあるべきだと、役割分担などが、盲目的に押し付けられ、強制されることで生じる不利益や不公平、偏見などをなくそうという運動・思想である。しかし、どのような区別や役割分担が盲目的に押しつけられ、強制されてきたのか、明確にされているわけではないため問題もある。 | ||
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+ | == ジェンダーと少子高齢化 == | ||
+ | 現在、「少子高齢化」は長期的な対策が必要な国民的課題として論議の的になっている。「少子高齢化」の対策には2つの側面がある。出生率低下に歯止めをかけ、できれば少しでも上昇させようとする出生率対策(原因)と、「少子高齢化」のある程度の進行は所与の条件ととらえ、そうした社会にソフトランディングするための制度改革などを論じる対策(結果)がある。そのどちらの政策においても、焦点となっているのは、性別分業の見直しである。女性が働きやすい条件整備を進めてきた国ほど、出生率が回復してきているという傾向が明らかになっている。このことから共働きをしながら子育てしやすい環境づくりが日本でも政策的焦点になっている。社会の制度改革(結果)に対する対策では、その中心は何と言っても労働力対策である。女性と高齢者の就労を増やすことが最も即効性のある解決策である。 女性が働きやすくするためには、就職、昇進、待遇などにおける女性差別の撤廃、男女とも取得する育児休業の推進、保育所の増設など、直接的な政策ばかりでなく、税制、年金制度から民法まで、あらゆる法制度、社会制度の見直しが必要である。また、女性にばかり家事を押し付けたり、男性にばかり経済的責任を押し付けるような性差別をなくすことも必要である。 | ||
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+ | 参考文献 | ||
+ | 21世紀のジェンダー論 晃洋書房 2004年7月30日発行 池内靖子 二宮周平 姫岡とし子 編 | ||
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+ | ジェンダー入門 朝日新聞社 2006年11月30日発行 著 加藤秀一 | ||
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+ | W.A |
最新版
ジェンダーとは
元々はフランス語、ドイツ語などに見られる名詞や形容詞などの文法的「性」、俗に言う男性名詞、女性名詞などの分類ないし分類クラスのことを指し、ラテン語のgenus(種族)を語源とする言葉である。
ジェンダーは、性別についての社会的・文化的に形成されている広い意味での「通念」や「知識」、またそれらに基づく言説実践や社会的実践という意味で使用される。作られた男らしさ、女らしさを示す。例として、女はこう、男はこうというように規範となっている習慣、話し方、態度、服装、役割などである。
60年代後期の性をめぐるフェミニスト理論や政治運動の中から、社会的な位置づけとしての性を生物学的な身体の性(sex)と区別して示す単語として誕生したとされる。
日本にはこれに相当する言葉がないため、論者によって「社会的文化的性」「心理的性」「性別秩序」などとさまざまな呼ばれ方をされ、重点が異なっている。
また、ジェンダーの中でも、その社会の理念的ジェンダーと、実態ジェンダーがあり、前者は性差否定にも性差過剰強調にもふれやすいが、後者はより人間の生物学的な基盤に根ざしている。
近年ジェンダーは、両性のあり方、両性の関係性などの問題を考えるうえで極めて重要な意味をもつ用語として注目されている。 ジェンダーの考えを批判するものとして「ジェンダーフリー」がある。「ジェンダーフリー」とは、男女の違いについての、社会的・文化的に形成される性、こうあるべきだと、役割分担などが、盲目的に押し付けられ、強制されることで生じる不利益や不公平、偏見などをなくそうという運動・思想である。しかし、どのような区別や役割分担が盲目的に押しつけられ、強制されてきたのか、明確にされているわけではないため問題もある。
参考・引用文献
はてなキーワード http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B8%A5%A7%A5%F3%A5%C0%A1%BC
ジェンダーについて
http://homepage2.nifty.com/wakayamaseikyokyo/jenda.htm
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ジェンダーと少子高齢化
現在、「少子高齢化」は長期的な対策が必要な国民的課題として論議の的になっている。「少子高齢化」の対策には2つの側面がある。出生率低下に歯止めをかけ、できれば少しでも上昇させようとする出生率対策(原因)と、「少子高齢化」のある程度の進行は所与の条件ととらえ、そうした社会にソフトランディングするための制度改革などを論じる対策(結果)がある。そのどちらの政策においても、焦点となっているのは、性別分業の見直しである。女性が働きやすい条件整備を進めてきた国ほど、出生率が回復してきているという傾向が明らかになっている。このことから共働きをしながら子育てしやすい環境づくりが日本でも政策的焦点になっている。社会の制度改革(結果)に対する対策では、その中心は何と言っても労働力対策である。女性と高齢者の就労を増やすことが最も即効性のある解決策である。 女性が働きやすくするためには、就職、昇進、待遇などにおける女性差別の撤廃、男女とも取得する育児休業の推進、保育所の増設など、直接的な政策ばかりでなく、税制、年金制度から民法まで、あらゆる法制度、社会制度の見直しが必要である。また、女性にばかり家事を押し付けたり、男性にばかり経済的責任を押し付けるような性差別をなくすことも必要である。
参考文献 21世紀のジェンダー論 晃洋書房 2004年7月30日発行 池内靖子 二宮周平 姫岡とし子 編
ジェンダー入門 朝日新聞社 2006年11月30日発行 著 加藤秀一
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