オンブズマン制度
出典: Jinkawiki
2008年11月28日 (金) 16:35の版 Bunkyo-student2008 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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- | オンブズマンはスウェーデン語の「OMBUDSMAN」が原語であり、代理人などと訳されている。一般には、市民の権利と利益を守る代理人として行政の監視を行う任務を持つ職とされている。1809年にスウェーデンで創設されたオンブズマン制度は、国民と行政のかかわりが増大していく中、1970年代に入ると急速に各国へ普及した。 | + | == オンブズマン制度 == |
+ | オンブズマンという言葉は「代理人」という意味のスウェーデン語「OMBUDSMAN」に由来し、オンブズマン制度はスウェーデンで生まれたものである。 | ||
+ | つまり、国民・市民の代理人として、行政が違法・不当なことをして人権侵害をしていないかを独立した立場で常に監視するものを指す。民主主義体制の議会には行政機関の監督権が必ず置かれているが、実際はたくさんの公務員を抱える行政機関を少数の議員が監視することは難しい。また、議員は法律の審議という仕事も抱えており、常時行政機関を監視するわけにもいかないため、「議会の代理人」としてオンブズマンが置かれ、大きな権限を与えて行政機関の監視に専念してもらうようになった。しかし、現在は「市民の代理人」として、市民の苦情処理もその業務の一環とし、その苦情をもとに調査し、不当なことを行った公務員を訴追することなども行っている。 | ||
+ | 1809年にスウェーデンで創設され、国民と行政のかかわりが増大していく中、1970年代に入ると急速に各国へ普及し、多くの西欧諸国で採用されていて、最もスウェーデンのように議会が設置、任命する「議会型」だけではなく、フランスのように行政機関が設置、任命する「行政型」のオンブズマンもある。しかし後者の場合も、行政機関からの独立性は保障されている。アメリカでは国政レベルでは置かれていないが、州政府レベルで採用している州がいくつか存在する。 | ||
- | オンブズマン制度の意義について、諸説をまとめて定義すると、「オンブズマン制度とは、違法ないし不正な行政活動(行政過誤)に対する国民の苦情申立ての行政救済として、行政審判や裁判等の正式な救済手続以外の手続により、その主宰するオンブズマン(苦情処理裁定者)が中立の立場で、簡易・迅速にしかも低廉の費用で国民の権利利益を護ると共に、行政を監視し、行政の改善の提言を行う機能を有するものである。」ということができる(園部逸夫「オンブズマン法」弘文堂参照 )。 | + | == オンブズマン制度の意義 == |
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+ | オンブズマン制度の意義について、諸説をまとめて定義すると、「オンブズマン制度とは、違法ないし不正な行政活動(行政過誤)に対する国民の苦情申立ての行政救済として、行政審判や裁判等の正式な救済手続以外の手続により、その主宰するオンブズマン(苦情処理裁定者)が中立の立場で、簡易・迅速にしかも低廉の費用で国民の権利利益を護ると共に、行政を監視し、行政の改善の提言を行う機能を有するものである。」ということができる(園部逸夫「オンブズマン法」弘文堂参照 )。 | ||
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+ | この場合の行政救済手続は、行政審判手続及び裁判手続と区別して、行政苦情処理手続と呼ばれる。また、行政過誤(Maladministration)とは、「偏見、怠慢、不注意、遅滞、不適格、不適当、悪用、卑劣、恣意的」等(園部、前掲書参照)をいう。 | ||
- | この場合の行政救済手続は、行政審判手続及び裁判手続と区別して、行政苦情処理手続と呼ばれる。また、行政過誤(Maladministration)とは、「偏見、怠慢、不注意、遅滞、不適格、不適当、悪用、卑劣、恣意的」等(園部、前掲書参照)をいう。 | ||
わが国では、まだ国レベルでのオンブズマン制度は存しないが、地方公共団体レベルでは、1990年(平成2年)に川崎市がわが国最初の「市民オンブズマン制度」を導入している。川崎市の導入の経緯は、助役によるリクルート事件が直接の引き金となって市政に対する市民の不信感が生まれ、オンブズマン制度導入の機運が盛り上がり、1989(平成元年)年11月の市長選挙でオンブズマン制度を公約した候補が当選したことにより、導入されたものである。 | わが国では、まだ国レベルでのオンブズマン制度は存しないが、地方公共団体レベルでは、1990年(平成2年)に川崎市がわが国最初の「市民オンブズマン制度」を導入している。川崎市の導入の経緯は、助役によるリクルート事件が直接の引き金となって市政に対する市民の不信感が生まれ、オンブズマン制度導入の機運が盛り上がり、1989(平成元年)年11月の市長選挙でオンブズマン制度を公約した候補が当選したことにより、導入されたものである。 | ||
- | 参考;税理士長谷川博ホームページ | + | |
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+ | == 参考文献 == | ||
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+ | 「政治参加」する7つの方法 筑紫哲也編 講談社 2001年 | ||
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+ | 新版現代社会 実教出版株式会社 2006年 | ||
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+ | 税理士長谷川博のホームページ http://www.h-hasegawa.com/ | ||
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+ | 各国オンブズマンの制度と運用 平松 毅 [著] 成文堂 2012年 | ||
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+ | 日曜日の政治用語 オンブズマン http://allabout.co.jp/gm/gc/294042/ |
最新版
オンブズマン制度
オンブズマンという言葉は「代理人」という意味のスウェーデン語「OMBUDSMAN」に由来し、オンブズマン制度はスウェーデンで生まれたものである。 つまり、国民・市民の代理人として、行政が違法・不当なことをして人権侵害をしていないかを独立した立場で常に監視するものを指す。民主主義体制の議会には行政機関の監督権が必ず置かれているが、実際はたくさんの公務員を抱える行政機関を少数の議員が監視することは難しい。また、議員は法律の審議という仕事も抱えており、常時行政機関を監視するわけにもいかないため、「議会の代理人」としてオンブズマンが置かれ、大きな権限を与えて行政機関の監視に専念してもらうようになった。しかし、現在は「市民の代理人」として、市民の苦情処理もその業務の一環とし、その苦情をもとに調査し、不当なことを行った公務員を訴追することなども行っている。 1809年にスウェーデンで創設され、国民と行政のかかわりが増大していく中、1970年代に入ると急速に各国へ普及し、多くの西欧諸国で採用されていて、最もスウェーデンのように議会が設置、任命する「議会型」だけではなく、フランスのように行政機関が設置、任命する「行政型」のオンブズマンもある。しかし後者の場合も、行政機関からの独立性は保障されている。アメリカでは国政レベルでは置かれていないが、州政府レベルで採用している州がいくつか存在する。
オンブズマン制度の意義
オンブズマン制度の意義について、諸説をまとめて定義すると、「オンブズマン制度とは、違法ないし不正な行政活動(行政過誤)に対する国民の苦情申立ての行政救済として、行政審判や裁判等の正式な救済手続以外の手続により、その主宰するオンブズマン(苦情処理裁定者)が中立の立場で、簡易・迅速にしかも低廉の費用で国民の権利利益を護ると共に、行政を監視し、行政の改善の提言を行う機能を有するものである。」ということができる(園部逸夫「オンブズマン法」弘文堂参照 )。
この場合の行政救済手続は、行政審判手続及び裁判手続と区別して、行政苦情処理手続と呼ばれる。また、行政過誤(Maladministration)とは、「偏見、怠慢、不注意、遅滞、不適格、不適当、悪用、卑劣、恣意的」等(園部、前掲書参照)をいう。
わが国では、まだ国レベルでのオンブズマン制度は存しないが、地方公共団体レベルでは、1990年(平成2年)に川崎市がわが国最初の「市民オンブズマン制度」を導入している。川崎市の導入の経緯は、助役によるリクルート事件が直接の引き金となって市政に対する市民の不信感が生まれ、オンブズマン制度導入の機運が盛り上がり、1989(平成元年)年11月の市長選挙でオンブズマン制度を公約した候補が当選したことにより、導入されたものである。
参考文献
「政治参加」する7つの方法 筑紫哲也編 講談社 2001年
新版現代社会 実教出版株式会社 2006年
税理士長谷川博のホームページ http://www.h-hasegawa.com/
各国オンブズマンの制度と運用 平松 毅 [著] 成文堂 2012年
日曜日の政治用語 オンブズマン http://allabout.co.jp/gm/gc/294042/