囚人のジレンマ
出典: Jinkawiki
2013年8月2日 (金) 09:47の版 Bunkyo-studen2008 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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- | 各プレーヤーが常に利得の大きい選択肢(絶対優位の戦略)を選ぶ場合、協力した場合よりも悪い結果を招いてしまうゲーム。ゲーム理論のモデルの1つ。 | ||
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+ | 各プレーヤーが常に利得の大きい選択肢(絶対優位の戦略)を選ぶ場合、協力した場合よりも悪い結果を招いてしまうゲーム。ゲーム理論のモデルの1つ。 | ||
+ | このゲームには、AとBという犯罪容疑者が登場する。二人はある犯罪に関連した別件容疑で警察に捕まった。 | ||
+ | 罪を犯した可能性は高いが、決定的な証拠がないため、2人は別々の部屋で尋問を受けている。 | ||
ここでAとBが取りうる選択肢は、自白するか、自白しないかの2つとなる。2人とも自白した場合には共に懲役5年、2人とも自白しなければ共に懲役2年の刑が予想される。また、一方が自白して他方が自白しなかった場合には、自白した方が情状酌量により無罪となるが、自白しなかった方は懲役30年となる。 | ここでAとBが取りうる選択肢は、自白するか、自白しないかの2つとなる。2人とも自白した場合には共に懲役5年、2人とも自白しなければ共に懲役2年の刑が予想される。また、一方が自白して他方が自白しなかった場合には、自白した方が情状酌量により無罪となるが、自白しなかった方は懲役30年となる。 | ||
Aにとっては、自白すれば最も刑が軽くなるのだが、これはBにとっても同様である。しかし、両方とも自白してしまうと無罪にならない。そして、プレーヤー間において協力の約束ができていたとしても、個別の立場ではより利得が少ない戦略(絶対優位でない)を選ばざるを得ないため、常に裏切りの動機を内包している。 | Aにとっては、自白すれば最も刑が軽くなるのだが、これはBにとっても同様である。しかし、両方とも自白してしまうと無罪にならない。そして、プレーヤー間において協力の約束ができていたとしても、個別の立場ではより利得が少ない戦略(絶対優位でない)を選ばざるを得ないため、常に裏切りの動機を内包している。 | ||
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同様のケースは、実際のビジネスでも見ることができる。例えば、石油化学業界において第2次オイルショック後、過当競争体質から大不況に見舞われた。そこで通産省(現・経済産業省)の旗振りの下、特定産業構造改善臨時処置法に基づき、過剰設備の休廃止などを中心とした構造改革で合意した。各社が協力して減産することで、ある程度の価格を維持しようとしたのだ。しかし、個々の企業にとっては減産しないことが、常に利得が大きかった(絶対優位の戦略)ので、設備の休廃止を行う企業はほとんど無かった。 | 同様のケースは、実際のビジネスでも見ることができる。例えば、石油化学業界において第2次オイルショック後、過当競争体質から大不況に見舞われた。そこで通産省(現・経済産業省)の旗振りの下、特定産業構造改善臨時処置法に基づき、過剰設備の休廃止などを中心とした構造改革で合意した。各社が協力して減産することで、ある程度の価格を維持しようとしたのだ。しかし、個々の企業にとっては減産しないことが、常に利得が大きかった(絶対優位の戦略)ので、設備の休廃止を行う企業はほとんど無かった。 | ||
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囚人のジレンマを回避するためには「裏切れば報復する」という罰則のメカニズムや、ゲームを何度も行う(勝ち逃げは許さない)、サイド・ペイメント(約束を守ったら報酬を与える)などの回避策が考えられる。 | 囚人のジレンマを回避するためには「裏切れば報復する」という罰則のメカニズムや、ゲームを何度も行う(勝ち逃げは許さない)、サイド・ペイメント(約束を守ったら報酬を与える)などの回避策が考えられる。 | ||
最新版
内容
各プレーヤーが常に利得の大きい選択肢(絶対優位の戦略)を選ぶ場合、協力した場合よりも悪い結果を招いてしまうゲーム。ゲーム理論のモデルの1つ。 このゲームには、AとBという犯罪容疑者が登場する。二人はある犯罪に関連した別件容疑で警察に捕まった。 罪を犯した可能性は高いが、決定的な証拠がないため、2人は別々の部屋で尋問を受けている。
ここでAとBが取りうる選択肢は、自白するか、自白しないかの2つとなる。2人とも自白した場合には共に懲役5年、2人とも自白しなければ共に懲役2年の刑が予想される。また、一方が自白して他方が自白しなかった場合には、自白した方が情状酌量により無罪となるが、自白しなかった方は懲役30年となる。 Aにとっては、自白すれば最も刑が軽くなるのだが、これはBにとっても同様である。しかし、両方とも自白してしまうと無罪にならない。そして、プレーヤー間において協力の約束ができていたとしても、個別の立場ではより利得が少ない戦略(絶対優位でない)を選ばざるを得ないため、常に裏切りの動機を内包している。
具体例
同様のケースは、実際のビジネスでも見ることができる。例えば、石油化学業界において第2次オイルショック後、過当競争体質から大不況に見舞われた。そこで通産省(現・経済産業省)の旗振りの下、特定産業構造改善臨時処置法に基づき、過剰設備の休廃止などを中心とした構造改革で合意した。各社が協力して減産することで、ある程度の価格を維持しようとしたのだ。しかし、個々の企業にとっては減産しないことが、常に利得が大きかった(絶対優位の戦略)ので、設備の休廃止を行う企業はほとんど無かった。
その他
囚人のジレンマを回避するためには「裏切れば報復する」という罰則のメカニズムや、ゲームを何度も行う(勝ち逃げは許さない)、サイド・ペイメント(約束を守ったら報酬を与える)などの回避策が考えられる。
参考URL http://kotobank.jp/word/%E5%9B%9A%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%82%B8%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9E 囚人のジレンマとは
HN m.k