PKO2

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Bunkyo-studen2008 (ノート | 投稿記録)

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== 概要 == == 概要 ==
 国連平和維持活動(United Nations Peacekeeping Operations:略称UN PKO又は単にPKO)は,戦後の東西対立の中で,国連憲章が予定した安全保障理事会による国際の平和及び安全の維持(例:第7章に定める集団安全保障制度)が十全に機能しなかったため,国連が紛争地域の平和の維持を図る手段として実際の慣行を通じて行われてきたものである。第二代国連事務総長ダグ・ハマーショルドが「憲章6章半」の措置と呼んだとおり,国連憲章上明文の規定はない。伝統的には,国連が紛争当事者の間に立って,停戦や軍の撤退の監視等を行うことにより事態の沈静化や紛争の再発防止を図り,紛争当事者による対話を通じた紛争解決を支援することを目的とした活動である。例えば,国連休戦監視機構(UNTSO),国連インド・パキスタン軍事監視機構(UNMOGIP),国連キプロス平和維持隊(UNFICYP),国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)は,こうした目的のために数十年間活動を続けている。冷戦の終結以降,国際の平和及び安全の維持の分野における国連の役割が高まるとともに,国際社会が対応を迫られる紛争の多くが国家間の紛争から国内における紛争又は国内紛争と国際紛争の混合型へと変わった結果,国連PKOの任務も多様化している。すなわち,停戦や軍の撤退等の監視といった伝統的な任務は引き続き重要であるが,これに加え,元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)や治安部門改革(SSR),選挙,人権,法の支配等の分野での支援,政治プロセスの促進,紛争下の文民の保護など多くの分野での活動が国連PKOの任務に加えられてきている。例えば,過去日本が参加した国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)や国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)のほか,国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)や2011年11月から参加している国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)は,軍事部門に加え,文民警察,行政,選挙,人権といった分野の任務を与えられている。また,国連PKOなどの平和及び安全の維持のための活動と,人道支援や復興開発支援の活動との間の協調・協力の重要性が認識されるようになっている。  国連平和維持活動(United Nations Peacekeeping Operations:略称UN PKO又は単にPKO)は,戦後の東西対立の中で,国連憲章が予定した安全保障理事会による国際の平和及び安全の維持(例:第7章に定める集団安全保障制度)が十全に機能しなかったため,国連が紛争地域の平和の維持を図る手段として実際の慣行を通じて行われてきたものである。第二代国連事務総長ダグ・ハマーショルドが「憲章6章半」の措置と呼んだとおり,国連憲章上明文の規定はない。伝統的には,国連が紛争当事者の間に立って,停戦や軍の撤退の監視等を行うことにより事態の沈静化や紛争の再発防止を図り,紛争当事者による対話を通じた紛争解決を支援することを目的とした活動である。例えば,国連休戦監視機構(UNTSO),国連インド・パキスタン軍事監視機構(UNMOGIP),国連キプロス平和維持隊(UNFICYP),国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)は,こうした目的のために数十年間活動を続けている。冷戦の終結以降,国際の平和及び安全の維持の分野における国連の役割が高まるとともに,国際社会が対応を迫られる紛争の多くが国家間の紛争から国内における紛争又は国内紛争と国際紛争の混合型へと変わった結果,国連PKOの任務も多様化している。すなわち,停戦や軍の撤退等の監視といった伝統的な任務は引き続き重要であるが,これに加え,元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)や治安部門改革(SSR),選挙,人権,法の支配等の分野での支援,政治プロセスの促進,紛争下の文民の保護など多くの分野での活動が国連PKOの任務に加えられてきている。例えば,過去日本が参加した国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)や国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)のほか,国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)や2011年11月から参加している国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)は,軍事部門に加え,文民警察,行政,選挙,人権といった分野の任務を与えられている。また,国連PKOなどの平和及び安全の維持のための活動と,人道支援や復興開発支援の活動との間の協調・協力の重要性が認識されるようになっている。
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(4)上記の原則のいずれかが満たされない状況が生じた場合には,我が国から参加した部隊は撤収することができること (4)上記の原則のいずれかが満たされない状況が生じた場合には,我が国から参加した部隊は撤収することができること
(5)武器の使用は,要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること (5)武器の使用は,要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること
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 +== 課題 ==
 +日本は国連の平和維持活動(PKO)に人的貢献を行うべきか否か、また、憲法その他の国内法との整合性をいかに考えるか。この問題は、日本が国連に加盟する際から議論されていた点であり、すでに1958年にはレバノン国連監視団(UNOGIL)への自衛官派遣要請として現実の問題となっていた。しかし、「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(国際平和協力法、PKO法)」が制定され、制度上、自衛隊の派遣も含め、PKOへの協力が可能となったのは、湾岸戦争直後の、1992年6月のことであった。その後、カンボジア、モザンビーク、ザイール、ゴラン高原、東ティモールなどに自衛隊員がこの法律に基づいて派遣されている。また、自衛隊員以外でも、文民警察官や選挙監視・管理要員としての文民が、PKO法に基づいて派遣されている。ただし、文民の派遣にあたっては、他の法律(外務省設置法など)を根拠とする場合もあることもあってか、「PKOへの日本の協力イコール自衛隊の参加問題」として捉えられることが依然として多い。そのこと自身は、日本の国内事情を考えればやむを得ない点もある。しかし、より重要なことは、日本人が国連PKOに対する十分な理解のうえで、日本の協力のあり方(派遣される要員の性質を問わず)が議論されているか、という点である。ところで、去る9月11日に発生したアメリカ同時多発テロを受けて、日本がいかなる貢献をできるかが議論されている。その議論の過程では、早い段階から「湾岸戦争の際の轍を踏まない」という表現が用いられている。湾岸戦争の際、財政支援のみで人的貢献をしなかったことから、日本の「多額の」支援も国際社会では評価されなかったことを指しているのである。今回のアメリカ同時多発テロに対するアメリカの行動に対して、日本が具体的にどのような貢献をするのか、本稿を執筆している段階では最終的な結論は出ていない。しかし、報道を見る限り、自衛隊による貢献が可能か、可能な場合の範囲はどこまでか、ということが議論の中心になっている。今回のような前例のない事態に対して、日本としていかなる支援・貢献が可能かは、大いに議論されるべきであるし、可能な範囲での積極的な支援・貢献を行う必要はあるだろう。       HN:sakura
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 +'''参考文献'''
 +http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html

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概要

 国連平和維持活動(United Nations Peacekeeping Operations:略称UN PKO又は単にPKO)は,戦後の東西対立の中で,国連憲章が予定した安全保障理事会による国際の平和及び安全の維持(例:第7章に定める集団安全保障制度)が十全に機能しなかったため,国連が紛争地域の平和の維持を図る手段として実際の慣行を通じて行われてきたものである。第二代国連事務総長ダグ・ハマーショルドが「憲章6章半」の措置と呼んだとおり,国連憲章上明文の規定はない。伝統的には,国連が紛争当事者の間に立って,停戦や軍の撤退の監視等を行うことにより事態の沈静化や紛争の再発防止を図り,紛争当事者による対話を通じた紛争解決を支援することを目的とした活動である。例えば,国連休戦監視機構(UNTSO),国連インド・パキスタン軍事監視機構(UNMOGIP),国連キプロス平和維持隊(UNFICYP),国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)は,こうした目的のために数十年間活動を続けている。冷戦の終結以降,国際の平和及び安全の維持の分野における国連の役割が高まるとともに,国際社会が対応を迫られる紛争の多くが国家間の紛争から国内における紛争又は国内紛争と国際紛争の混合型へと変わった結果,国連PKOの任務も多様化している。すなわち,停戦や軍の撤退等の監視といった伝統的な任務は引き続き重要であるが,これに加え,元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)や治安部門改革(SSR),選挙,人権,法の支配等の分野での支援,政治プロセスの促進,紛争下の文民の保護など多くの分野での活動が国連PKOの任務に加えられてきている。例えば,過去日本が参加した国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)や国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)のほか,国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)や2011年11月から参加している国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)は,軍事部門に加え,文民警察,行政,選挙,人権といった分野の任務を与えられている。また,国連PKOなどの平和及び安全の維持のための活動と,人道支援や復興開発支援の活動との間の協調・協力の重要性が認識されるようになっている。


参加5原則

(1)紛争当事国の間で停戦の合意が成立していること (2)当該平和維持隊が活動する地域に属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊への我が国の参加に同意していること (3)当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく,中立的な立場を厳守すること (4)上記の原則のいずれかが満たされない状況が生じた場合には,我が国から参加した部隊は撤収することができること (5)武器の使用は,要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること


課題

日本は国連の平和維持活動(PKO)に人的貢献を行うべきか否か、また、憲法その他の国内法との整合性をいかに考えるか。この問題は、日本が国連に加盟する際から議論されていた点であり、すでに1958年にはレバノン国連監視団(UNOGIL)への自衛官派遣要請として現実の問題となっていた。しかし、「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(国際平和協力法、PKO法)」が制定され、制度上、自衛隊の派遣も含め、PKOへの協力が可能となったのは、湾岸戦争直後の、1992年6月のことであった。その後、カンボジア、モザンビーク、ザイール、ゴラン高原、東ティモールなどに自衛隊員がこの法律に基づいて派遣されている。また、自衛隊員以外でも、文民警察官や選挙監視・管理要員としての文民が、PKO法に基づいて派遣されている。ただし、文民の派遣にあたっては、他の法律(外務省設置法など)を根拠とする場合もあることもあってか、「PKOへの日本の協力イコール自衛隊の参加問題」として捉えられることが依然として多い。そのこと自身は、日本の国内事情を考えればやむを得ない点もある。しかし、より重要なことは、日本人が国連PKOに対する十分な理解のうえで、日本の協力のあり方(派遣される要員の性質を問わず)が議論されているか、という点である。ところで、去る9月11日に発生したアメリカ同時多発テロを受けて、日本がいかなる貢献をできるかが議論されている。その議論の過程では、早い段階から「湾岸戦争の際の轍を踏まない」という表現が用いられている。湾岸戦争の際、財政支援のみで人的貢献をしなかったことから、日本の「多額の」支援も国際社会では評価されなかったことを指しているのである。今回のアメリカ同時多発テロに対するアメリカの行動に対して、日本が具体的にどのような貢献をするのか、本稿を執筆している段階では最終的な結論は出ていない。しかし、報道を見る限り、自衛隊による貢献が可能か、可能な場合の範囲はどこまでか、ということが議論の中心になっている。今回のような前例のない事態に対して、日本としていかなる支援・貢献が可能かは、大いに議論されるべきであるし、可能な範囲での積極的な支援・貢献を行う必要はあるだろう。       HN:sakura


参考文献 http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html


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