水問題 2

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治水問題‐日本の高度成長期の経験から学ぶことができるだろう。高度成長期に日本各地で都市化が急激に進んだ。都市化が進むと、コンクリートやアスファルトなどで地表面が固められて雨水が浸透せず、豪雨の際には表面を流れるようになり、また下水の整備などによって水が流れるスピードが速くなって、同じ程度の強さの豪雨でも洪水のピーク流量が田園だった時の2~3倍になるという都市洪水を引き起こす危険性がある。そのようにならないためにも、日本では、雨水を一時的に溜めておく施設を作ったり、雨水が地面に浸透しやすくなるような設備を設置したり、さまざまな工夫を凝らしていった。時には、失敗もあったが、それを乗り越え、豪雨が多い国でなんとか安全で快適な暮らしができるようになった。日本で培われた治水のノウハウや技術は途上国の治水対策にも十分対応できると考えられている。 治水問題‐日本の高度成長期の経験から学ぶことができるだろう。高度成長期に日本各地で都市化が急激に進んだ。都市化が進むと、コンクリートやアスファルトなどで地表面が固められて雨水が浸透せず、豪雨の際には表面を流れるようになり、また下水の整備などによって水が流れるスピードが速くなって、同じ程度の強さの豪雨でも洪水のピーク流量が田園だった時の2~3倍になるという都市洪水を引き起こす危険性がある。そのようにならないためにも、日本では、雨水を一時的に溜めておく施設を作ったり、雨水が地面に浸透しやすくなるような設備を設置したり、さまざまな工夫を凝らしていった。時には、失敗もあったが、それを乗り越え、豪雨が多い国でなんとか安全で快適な暮らしができるようになった。日本で培われた治水のノウハウや技術は途上国の治水対策にも十分対応できると考えられている。
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 +== 水紛争==
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 +日本は国土が隣国と接していないため、水紛争には馴染みはないが、世界各国を見るとさまざまな要因で水紛争が勃発している。水紛争の主な要因は以下の4つが挙げられている。
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 +① 水資源配分の問題(湖や河川の上流地域での過剰取水)
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 +② 水質汚濁の問題(上流地域での汚染物質排出など)
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 +③ 水の所有権の問題
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 +④ 水資源開発と配分の問題
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 +~アジア~
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 +漢江                北朝鮮・韓国 ダム建設と環境
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 +アラル海(アムダリア・シリダリア川)カザフスタン・ウズベキスタン他 水の過剰利用と配分
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 +ガンジス川  インド・バングラデシュ 堰(水をせき止める目的で河川や湖沼などに設けられる構造物)の建設と運用
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 +インダス川        インド・パキスタン 水の所有権
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 +チグリス・ユーテラス川  トルコ・シリア・イラク 水資源と配分
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 +ヨルダン川        イスラエル・ヨルダン・レバノン他 水源地域の所有と水の配分
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 +             マレーシア・シンガポール 水供給の停止
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 +~北アメリカ・南アメリカ~
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 +コロラド川  アメリカ・メキシコ 水の過剰利用と汚染
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 +セネバ川   エクアドル・ペルー 水資源の所有
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 +パラナ川   アルゼンチン・ブラジル・パラグアイ ダムの建設と環境
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 +~ヨーロッパ~
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 +ドナウ川 スロバキア・ハンガリー 運河のための水利用
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 +ボスニア 戦時下の水供給停止
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 +~アフリカ~
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 +ナイル川 エジプト・スーダン・エチオピア ダム建設と水配分
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 +     ザンビア            内戦下の水供給停止

2014年7月27日 (日) 03:31の版

目次

概要

アジア・アフリカをはじめとする途上国地域はもちろん、先進国においても、世界の人々の命、生活、そして経済を考える上で、最重要事項である「水」。「水」は、人々の命を、直接的にも間接的にも支えている最も大切な「資源」と言える。第一に「安全な飲料水の確保」は人々の健康や命の問題につながる。実際に、世界では毎年180万人の子どもたちが不衛生な水が原因とする病気で命を落としている。次に、「農業用水の安定供給」は食料問題につながり、さらに「下水対策、水質汚染対策」は環境や公衆衛生の問題につながる。そして突発的な洪水や台風などにも応じられる「治水対策」は、人々の生命や財産を守るために、なによりも地域社会の安定にとって必要不可欠である。だからこそ水資源の保全や治水のためにも「適切な水資源の管理や気候変動への対応」が重要な課題となっている。


水の深刻な問題

① 飲み水問題

世界の9億人弱の人が安全な飲料水にアクセス(WHOが定義したものであり、1km以内に一人1日20リットルの水の確保することができる場所があることが目安とされている)できないと言われている。1kmの距離を歩くと片道約15分かかるため、安全な飲み水へアクセスできない人たちというのは、生活に必要な水を得るのに毎日往復30分家族全員を運ぶのに例えば4往復必要なら2時間以上の水汲み労働が必要となる。9億人という数字でもかなり改善した数字であり、1990年代以降、世界中で「水」の安定供給を標語として途上国支援をしていく動きが進んでいった結果、安全な水にアクセスできない人の数は確実に減少傾向にある。安全な水の確保というのは、ただ「命」の問題だけではなく、子どもたちの就学率が改善されたり、女性の社会進出が促進されたりしている。なぜならば、水汲みはとてつもない重労働であり、多くの開発途上国では水汲みは子どもや女性の仕事とされているからである。水は生命の維持には欠かせないものであり、日々の生活を文化的に暮らすために欠かせないものである。そのため、水汲み労働はあらゆる活動に優先することになる。その結果、水が不足している社会では、子どもや女性は水汲みのために他の活動に関わる機会が奪われてしまう。だからこそ安全な水へのアクセスができない状況を解消することが重要視される。水のアクセスが改善すれば、今まで水汲みのために時間を奪われていた子どもたちも学校に行く時間が作れるようになり、女性もさまざまな職業に就く機会を得られるようにもなる。飲料水がたやすく手に入る社会が実現すれば、人々の命が救われるだけでなく、子どもの教育水準向上や女性の社会進出も促進され、経済発展にもつながるのである。

② 水の価格問題

水は常に誰もがふんだんに利用しても支払える適正な値段であることが大切である。しかし、実態は異なっている。途上国の都市では、水道施設から水を得ている地域と、水道がない地域が存在しているが、水道施設がある地域のほうが値段が安いのが現状である。水道がなければ、自分で水を汲んでくるか、水売りから買うしか手段がないが、この値段が意外と高いため、その地域の人々の頭を悩ませている。ケニアの例を挙げると、水汲みに頼むと200リットル運ぶのに約150円、1トンあたりに換算するすると750円程度払うのだと言う。日本の水道水は1トンあたり全国平均で約200円であるため、日本の4倍近くも払わなければ水が手に入らないことになる。また、フィリピンのマニラでは、富裕層が住む地域は水道施設が敷かれているが、そうでない地域は水道の約10倍のお金を払って水売りから水を買っている。金持ちのほうが安く水を使えるのに対し、貧困あえぐ人々のほうが高い水しか使えないのが今の状況である。

③ 治水問題

洪水が起きると、衛生面でも問題が発生し、農業にも多大な被害が及んでしまう。ほとんどの作物は水浸しになるとだめになってしまう。この問題も、同じ地域でも貧富の格差を受けてしまう。なぜならば、同じ地域でも、洪水の被害に遭いやすい場所と、そうでない場所があるからである。洪水の被害に遭うのは、たいがい川のそばの低地や崖の下などで、こうしたところは地価が安いところが多いと言う。一方、洪水に遭いにくい場所は、台地の上などで水はけがよく、地価が相対的に高いところである。これは日本をはじめ先進国でも、途上国でも同じ図式と言える。つまり、洪水の被害を受けやすいところに住んでいるのは、経済的弱者が多いのである。洪水対策につながる治水事業は、しっかり対策をとっていないと膨大な経済損失が出現される可能性も秘めているにも関わらず、通常時には関係ない話なため後回しにされがちである。計画的な治水対策があってはじめて、社会の安全と経済発展が支えられている。この事実を先進国も途上国も、とも意識するべきであるのだ。


改善策

価格問題‐水道施設の水のほうが、水汲みから買うより、安く水を使えるという話から明らかであるが、社会全体で、お金を出し合って水のインフレ基盤を整えることが重要だと考えられる。日本は戦後急速に水道設備を充実させた。だからこそ、値段を気にせず水をふんだん使えるようになったのだ。水に困っている地域を救うには、やはり水道のようなインフラ整備が大切なのである。

治水問題‐日本の高度成長期の経験から学ぶことができるだろう。高度成長期に日本各地で都市化が急激に進んだ。都市化が進むと、コンクリートやアスファルトなどで地表面が固められて雨水が浸透せず、豪雨の際には表面を流れるようになり、また下水の整備などによって水が流れるスピードが速くなって、同じ程度の強さの豪雨でも洪水のピーク流量が田園だった時の2~3倍になるという都市洪水を引き起こす危険性がある。そのようにならないためにも、日本では、雨水を一時的に溜めておく施設を作ったり、雨水が地面に浸透しやすくなるような設備を設置したり、さまざまな工夫を凝らしていった。時には、失敗もあったが、それを乗り越え、豪雨が多い国でなんとか安全で快適な暮らしができるようになった。日本で培われた治水のノウハウや技術は途上国の治水対策にも十分対応できると考えられている。


水紛争

日本は国土が隣国と接していないため、水紛争には馴染みはないが、世界各国を見るとさまざまな要因で水紛争が勃発している。水紛争の主な要因は以下の4つが挙げられている。

① 水資源配分の問題(湖や河川の上流地域での過剰取水)

② 水質汚濁の問題(上流地域での汚染物質排出など)

③ 水の所有権の問題

④ 水資源開発と配分の問題

~アジア~

漢江                北朝鮮・韓国 ダム建設と環境

アラル海(アムダリア・シリダリア川)カザフスタン・ウズベキスタン他 水の過剰利用と配分

ガンジス川  インド・バングラデシュ 堰(水をせき止める目的で河川や湖沼などに設けられる構造物)の建設と運用

インダス川        インド・パキスタン 水の所有権

チグリス・ユーテラス川  トルコ・シリア・イラク 水資源と配分

ヨルダン川        イスラエル・ヨルダン・レバノン他 水源地域の所有と水の配分

             マレーシア・シンガポール 水供給の停止

~北アメリカ・南アメリカ~

コロラド川  アメリカ・メキシコ 水の過剰利用と汚染

セネバ川   エクアドル・ペルー 水資源の所有

パラナ川   アルゼンチン・ブラジル・パラグアイ ダムの建設と環境

~ヨーロッパ~

ドナウ川 スロバキア・ハンガリー 運河のための水利用

ボスニア 戦時下の水供給停止

~アフリカ~

ナイル川 エジプト・スーダン・エチオピア ダム建設と水配分

     ザンビア            内戦下の水供給停止


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