リュックサック政策
出典: Jinkawiki
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2014年7月28日 (月) 14:11の版 Bunkyo-studen2008 (ノート | 投稿記録) 次の差分へ → |
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各地域には地域専門センターが設置されていて、個別の障害児の補助金額を決めるための判定を行っている。地域専門センターは、障害児の保護者の相談に応じて、地域の学校の中から就学可能な学校を探す作業を支援している。 | 各地域には地域専門センターが設置されていて、個別の障害児の補助金額を決めるための判定を行っている。地域専門センターは、障害児の保護者の相談に応じて、地域の学校の中から就学可能な学校を探す作業を支援している。 | ||
また、普通学校に就学している子供が、先に述べた習熟度モニター制度などを通じて、何らかの発達遅滞や障害の問題が発見された場合に、普通学校のケア教員が中心になって、地域専門センターの専門職員や、特殊学校の教員などと協力してその子供の指導にあたることも可能になった。緊急措置指導というのは、普通学校で問題のある子供が発見された場合に、特殊学校の教員がやってきて直接指導したり、普通学校の教員にアドバイスを与えたりする制度である。問題を早期に発見したり、適切な指導を早く始めることで、問題が深刻化することを防ぐことを目的としている。 | また、普通学校に就学している子供が、先に述べた習熟度モニター制度などを通じて、何らかの発達遅滞や障害の問題が発見された場合に、普通学校のケア教員が中心になって、地域専門センターの専門職員や、特殊学校の教員などと協力してその子供の指導にあたることも可能になった。緊急措置指導というのは、普通学校で問題のある子供が発見された場合に、特殊学校の教員がやってきて直接指導したり、普通学校の教員にアドバイスを与えたりする制度である。問題を早期に発見したり、適切な指導を早く始めることで、問題が深刻化することを防ぐことを目的としている。 | ||
+ | このように、地域にある普通学校とは、以前のように両者がそれぞれ独立して教育活動を行うのではなく、様々な活動を協力して行うようになってきている。子供たちもまた、必ずしも、特殊学校だけ、普通学校だけに通学するのではなく、普段は特殊学校に行っている子供が、週に2日だけ、普通学校に来て健常児と一緒に授業を受ける、というような例も珍しいものではなくなってきている。 | ||
+ | このような相互乗り入れができるのも、また、そういう相互乗り入れの中で指導を受ける子供が特別視されたりすることがないのも、そもそも画一的な一斉授業が徐々に姿を消し、子供たちが、一人ひとり、それぞれ自分に合った指導を受け、それぞれのテンポで発達している、という社会的な認識がかなり形成されているからだとである。 |
2014年7月28日 (月) 14:11の版
オランダでは、特別支援教育に関しては、さらに2003年から個別生徒補助金政策(リュックサック制度)という制度が導入されました。これは、障害のある特定の子供に対し、全国共通の基準によって、支援の種類を判定し、そのための予算を算出して補助金を決め、それを子供または保護者が自由に選んだ学校に持っていくというものである。リュックサックというのは、一人ひとりの子供が判定によって算出された金を背負ってくる、という意味で象徴的に使われている言葉である。この、子供がリュックサックに入れて持ってくる補助金を使って、普通学校は、その子供を受け入れるための設備や特別制度の教材を補充するなどの措置をとることができるようになった。それまでの「もう一度一緒に学校へ」に加えて、このリュックサックに背負った特別資金を持参できるようになったことで、これまで、特殊学校にしか行けなかった子供でも、普通学校に入学できる可能性が増えた。つまり、二つの政策によって、子供たちが学校を選択できる可能性が増えたのである。 もともと学区制のないオランダでは、健常児であれば、通常自宅周辺にあるいくつかの学校の中から自分に相応しい学校を選ぶことができる。これに対して、特殊教育を受ける子供の保護者の間からは、長い間、子供に複数の選択肢がないのは不平等の証であるという批判の声が上がっていた。リュックサック政策の導入は、障害児の保護者の運動の結果として獲得されたものでもある。障害児の保護者の中には、子供の状態によって、普通学校への進学ではなく、あえて、専門の特殊学校を選ぶ場合もある。 各地域には地域専門センターが設置されていて、個別の障害児の補助金額を決めるための判定を行っている。地域専門センターは、障害児の保護者の相談に応じて、地域の学校の中から就学可能な学校を探す作業を支援している。 また、普通学校に就学している子供が、先に述べた習熟度モニター制度などを通じて、何らかの発達遅滞や障害の問題が発見された場合に、普通学校のケア教員が中心になって、地域専門センターの専門職員や、特殊学校の教員などと協力してその子供の指導にあたることも可能になった。緊急措置指導というのは、普通学校で問題のある子供が発見された場合に、特殊学校の教員がやってきて直接指導したり、普通学校の教員にアドバイスを与えたりする制度である。問題を早期に発見したり、適切な指導を早く始めることで、問題が深刻化することを防ぐことを目的としている。 このように、地域にある普通学校とは、以前のように両者がそれぞれ独立して教育活動を行うのではなく、様々な活動を協力して行うようになってきている。子供たちもまた、必ずしも、特殊学校だけ、普通学校だけに通学するのではなく、普段は特殊学校に行っている子供が、週に2日だけ、普通学校に来て健常児と一緒に授業を受ける、というような例も珍しいものではなくなってきている。 このような相互乗り入れができるのも、また、そういう相互乗り入れの中で指導を受ける子供が特別視されたりすることがないのも、そもそも画一的な一斉授業が徐々に姿を消し、子供たちが、一人ひとり、それぞれ自分に合った指導を受け、それぞれのテンポで発達している、という社会的な認識がかなり形成されているからだとである。