第三回世界水フォーラム

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2008年6月15日 (日) 23:24の版
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・スエズの子社会であるマニラッド者は、「利益が出ない」としてマニラ西地区の水道委託契約を一方的に放棄した。水道料金は民営化前の二倍になり、際貧困層への配慮も十分でなかったと指摘されている。 ・スエズの子社会であるマニラッド者は、「利益が出ない」としてマニラ西地区の水道委託契約を一方的に放棄した。水道料金は民営化前の二倍になり、際貧困層への配慮も十分でなかったと指摘されている。
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・インドネシアでは、世界銀行の水関連融資の後、スエズ社とテムズウォーター社による民営化がスタートした。水道料金は値上げされたが、外貨建て債権や水道料金収集などのリスクを政府が担保するようなシステムとなっている。 ・インドネシアでは、世界銀行の水関連融資の後、スエズ社とテムズウォーター社による民営化がスタートした。水道料金は値上げされたが、外貨建て債権や水道料金収集などのリスクを政府が担保するようなシステムとなっている。
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閣僚宣言では、貧困層への配慮を行うことが明記されているが、世界各地で行われている水の民営化では貧困層に大きな負担をあたえていることは明確なのである。 閣僚宣言では、貧困層への配慮を行うことが明記されているが、世界各地で行われている水の民営化では貧困層に大きな負担をあたえていることは明確なのである。
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 + 私の意見としては、今後、民間団体などに水問題を託すのではなく政府と民間団体が協力して、より早く的確な解決方法を見出すことが必要だと考えられる。また、世界水フォーラムなどの会議においても密室で行われるような閉鎖的な会議ではなく、国連などの開かれた会議を中心に行うべきではないか。
 +世界水フォーラムはグローバル水企業の独占市場を後押しするものとなっているようにみられるが、このように利益だけを求めるような会議では、今後、世界の格差を広げることとなり、閣僚宣言のような貧困層への水問題の解決にはほど遠くなるばかれであると考えられる。
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 +(1)JACSES 特定非営利活動法人「環境・維持社会」研究センター 水の民営化・商品化プロジェクト
 +http://www.jacses.org/sdap/water/index.html

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世界水フォーラムとは

世界の水問題の解決のために、政府、国際機関、学識者、企業、NGOなどによって1996年、世界の重要な水問題を討議し、地球規模で深刻化している水資源の問題を解決策を追求するために、世界的な水政策のシンクタンクとしてWWC(World Water Council)が設立された。 世界水フォーラムとは、WWCが主催する世界の水問題を扱う国際会議である。

第1回は1997年3月にモロッコ・マラケシュで開催。第2回は2000年3月にオランダ・ハーグで開催。第3回は2003年3月16日~23日に京都で開催。第4回が2006年3月16日~23日にメキシコ・メキシコシティで開催された。今後の開催としては第5回が2009年3月、トルコ・イスタンブールで予定されている。

このように3年に一度、3月22日の「世界水の日」を含む次期に1週間程度開催されている。国連主催の正式な会議ではないが、各国の政府関係者が多く参加し、閣僚宣言もだされている。そのことから世界の水問題やその政策に対する論議に大きく影響している。


第三回世界水フォーラムまでの経緯

・第一回世界水フォーラム

1997 年モロッコのマラケシュで開催され、63 ヶ国の約500 人が参加した。「世界水ビジョン(21 世紀における世界の水と生命と環境に関するビジョン)」の作成を決定し、次回のフォーラムでの策定を提唱した「マラケシュ宣言」を採択した。


・第二回世界水フォーラム

2000年にオランダのハーグで開催された。第二回水フォーラムではさらに、閣僚会議が併せて開催され、その検討結果をまとめた閣僚宣言(ハーグ宣言)が採択された。ハーグ宣言では、水問題を「21 世紀における“水のセキュリティー”の確保」と位置付け、各国政府が認識すべき課題やその対応方策を列挙している。 課題の内容としては①安全な水の供給、②食糧供給の確保、③生態系の保護、④水資源の共有、⑤危機管理、⑥水の価値の確立、⑦件名な水管理という7つのである。

その後、2000年国連ミレニアムサミットや2002年ヨハネスブルクサミットの成果も認められ、第三回が開催されることとなった。

また、第二回水フォーラムではWWCによって世界水ビジョンという文章が発表された。この文章の中の「行動のための市民団体世界水ビジョン」は世界各地の292のNGOが署名したものだが、水管理を私企業の手に渡すものであると指摘があった。実際、世界水ビジョンは世界銀行や水企業の人々で閉鎖的なものであった。そのため、作成プロセスも非民主的であり、本質的には企業による水事業の民営化を推進するものとなった。

そこで第3回世界水フォーラムは、水に関する意見の違いにかかわらず、誰もが参加でき、会議主催者より参加者の創意工夫が生かされる会議となるよう進められた。


第2回水フォーラムから第三回水フォーラムまでの経緯

2000年3月 オランダのハーグで第二回世界水フォーラム開催。フォーラムの後WWC理事会で第三回が日本で開催されることが決定する。

2000年6月 関係省庁会議を設置して開催に向けた検討を開始する

2000年7月 関係する期間、団体、学会、専門家、NGOなどの幅広い層の参加を得て、第三回水フォーラムを成功させるために、「第三回世界水フォーラム準備事務局」を開設する。ちなみに現在は「特定非営利活動法人 第三回世界水フォーラム事務局」となっている

2000年11月 開催地を京都市を中心とした、滋賀県や京都府、大阪府の琵琶湖・淀川地域と決定する。

2001年1月 橋本龍太郎元首相を会長に、「第三回世界水フォーラム運営委員会」を設立する。行政窓口委員会は、外務省総合が行こう政策局国際社会協力部長、国土交通省土地・水資源部長、環境省環境管理水環境部長の3名となった。

2001年3月 第三回世界水フォーラムの一環として、政府が閣僚級国際会議を開催する。

2001年5月 皇太子殿下が第三回名誉総裁にご就任する。

2001年9月 京都市内において閣僚級国際会議を開催する旨のファーストアナウンスメントを各国政府に向けて発出。

2001年12月 国際淡水会議を開催。ドイツで閣僚級国際会議のガイダンスミーティングを開催。

2002年5月 世界サミット(WSSD)を第四回準備会合を開催。パリ、インドネシアで閣僚級国際会議のミーティングを開催



第三回世界水フォーラムの目的・内容

 第三回世界水フォーラムの主催者は第二回のフォーラムまでに「世界的な水危機を解決するための主要な話し合いはすでになされた」として、第三回では水危機の解決のために行動と実施のみに焦点を当てるとした。この主張をバックアップするため、WWCでは「世界水行動報告書」を発表した。この報告書には水道事業の運営を改善することに向けて、世界各地でとられた行動の概要を、206事例をあげて説明している。

この報告書では「世界の水危機の解決」について、民営化をもたらすかどうかということが重要な議論となるとしている。つまり、WWCからみた第三回世界水フォーラムの目的としては、「水の民営化」である。 また、自らの市場を拡大することを目的としているスエズ社やビベンディ社などの水企業は、水道サービスの民営化の効率の良さを宣伝していた。結果的に第三回世界水フォーラムの成果のひとつである閣僚宣言は水の民営化を推進する内容となった。また、第三回では351の分科会の報告をまとめた「世界水フォーラム声明文」もだされた。 つまり、「世界水フォーラム声明文」、「世界水行動報告書」、「閣僚宣言」の3つが第三回の成果といえる。  

また、実際に行われた第三回世界水フォーラムの内容としては、京都国際会館で行われ、参加は166カ国、約一万人、日程は2003年3月16日から23日までの8日間、京都、大阪、滋賀の3日以上で「水と貧困」「農業、食料と水」などという38のテーマについて337の分科会にわかれて議論された。 議論はパネルディスカッション、スライドショーなどを使い話し合われた。

しかし、第三回世界水フォーラムにおいても、水危機の問題解決として、いろいろな問題が残ることとなった。


第三回世界水フォーラムの問題点

・閉鎖的なフォーラム

世界水フォーラムは世界水会議という民間団体が主催する国際会議なのだが、閣僚会議にだけ国政府が招待されている。つまり、まったく別の2つの会議が、ひとつの会議を行ったかのように見える。そのことによって民間団体が行った会議に閣僚宣言という国のお墨付きがあるような印象を与えているのである。 しかし実際、世界水会議自体は、グローバル水企業のための民間団体であり、NGOなどからは世界水フォーラムに対するプロセスが疑問視されているのである。また、世界水会議がまとめた報告書の作成においては、非民主的であり、閉鎖的なのである。閉鎖的という言葉を具体的にあらわすと、まず、閣僚宣言では、市民にまったく公開されなかった。最後の二日間に行われた会議でも、事前に用意した宣言案を採択するだけという形式的な会議となったのである。

また、世界水会議の組織である、水行動ユニットがまとめた「世界水報告書」では、第三回世界水フォーラムの開催日に一方的に発表され、議論もなく、第三回世界水フォーラムの成果として挙げられたのである。 また、水フォーラムで話し合われた分科会では、民営化を推進する企業などの意見と、市民団体の民営化反対の意見がわかれ、ひとつの宣言をだすことができなかったのにもかかわらず、「世界水どーラム声明文」の一部では民営化を推進する内容となっている。

・世界水フォーラムの根本的目的

世界水フォーラムは、結果的に、安全な水を得ることができない貧困層を救うものではなく、グローバル水企業の水の独占を後押しするものとなっているように感じられる。 このような会議に対してNGOだけでなく、政府からも疑問の声が上がっているのである。 第二回世界水フォーラムを主催したオランダに関しては、第三回世界水フォーラムにおいても貧困層の水問題解決のための実質的な目標を決めることができなかったとして、第四回を行うことに疑問を呈した。 また、WTO閣僚会議では、水分野に関する民間資金を拡大するための主導権がひとつの焦点となり、サービス貿易協定に水道サービスを含めるかどうかが議論となっている。

・水の民営化の問題点

グローバル水企業のしたで、世界各地で導入されている水道サービスの民営化によって、タイやフィリピン、インドネシア、スリランカなどの発展途上国では、水道料金の高騰、水質の悪化、サービスの悪化などさまざまな問題がおきている。 (1)JACSESによると、以下のような問題があげられる。

・スエズの子社会であるマニラッド者は、「利益が出ない」としてマニラ西地区の水道委託契約を一方的に放棄した。水道料金は民営化前の二倍になり、際貧困層への配慮も十分でなかったと指摘されている。

・インドネシアでは、世界銀行の水関連融資の後、スエズ社とテムズウォーター社による民営化がスタートした。水道料金は値上げされたが、外貨建て債権や水道料金収集などのリスクを政府が担保するようなシステムとなっている。

・スリランカではアジア開発銀行の支援を受けて水を取引可能な計財源とし、「水の利用権」制度を導入しようとしている。しかし、貧しい農民への影響が大きいとして懸念が高まっている。

・タイでは、99年のアジア開発銀行による農業セクターローンの後、灌漑用水の料金化や上下水道の民営化が振興している。そして、民間企業に対し、税金による政府の手厚い保証が導入されている。


現在、安全な水を得ることのできない12億人のほとんどは貧困層であり、経済的負担を増大することでは、安全な水を得ることを向上させることにはならないと考えられる。

閣僚宣言では、貧困層への配慮を行うことが明記されているが、世界各地で行われている水の民営化では貧困層に大きな負担をあたえていることは明確なのである。

 私の意見としては、今後、民間団体などに水問題を託すのではなく政府と民間団体が協力して、より早く的確な解決方法を見出すことが必要だと考えられる。また、世界水フォーラムなどの会議においても密室で行われるような閉鎖的な会議ではなく、国連などの開かれた会議を中心に行うべきではないか。 世界水フォーラムはグローバル水企業の独占市場を後押しするものとなっているようにみられるが、このように利益だけを求めるような会議では、今後、世界の格差を広げることとなり、閣僚宣言のような貧困層への水問題の解決にはほど遠くなるばかれであると考えられる。


(1)JACSES 特定非営利活動法人「環境・維持社会」研究センター 水の民営化・商品化プロジェクト http://www.jacses.org/sdap/water/index.html


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