笑い
出典: Jinkawiki
| 2015年7月31日 (金) 19:12の版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
最新版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) (→笑いと健康) |
||
| 1 行 | 1 行 | ||
| - | |||
| 口の両端を上げ、目を細めるなどといった顔の表情に、場合によっては大きく口を開けて声を立てる、腹筋運動を伴いながら体をゆするという動き。多くの場合、プラスな感情を伴うとも言われるが、悲しいことや困ったことなどマイナスな感情でも生じることがある。 | 口の両端を上げ、目を細めるなどといった顔の表情に、場合によっては大きく口を開けて声を立てる、腹筋運動を伴いながら体をゆするという動き。多くの場合、プラスな感情を伴うとも言われるが、悲しいことや困ったことなどマイナスな感情でも生じることがある。 | ||
| 6 行 | 5 行 | ||
| - | + | ユーモアとは滑稽さや面白みのことであり、その結果として笑いは表れる。ユーモアと笑いは原因と結果のような関係であるが、ユーモアが必ずしも笑いにつながるとは限らない。 | |
| - | ユーモアとは滑稽さや面白みのことであり、その結果として笑いは表れる。ユーモアと笑いは原因と結果のような関係であるが、ユーモアが必ずしも笑いにつながるとは限らない。 | + | |
| == 笑いと健康== | == 笑いと健康== | ||
| + | |||
| + | 笑いは体組織の免疫力を高め、笑顔は顔の筋肉を鍛えるため、表情の老化を防ぐ。笑うことは心肺の活動を活発にし、２０秒間思い切り笑うことは３分間のボートを漕いだ時と同じ運動量を心肺に与えるといわれている。また、笑い終えた後には心臓と血圧は通常よりも落ち着いた状態になる。 | ||
| + | ==笑いの伝染性== | ||
| + | 集団の笑いには、核分裂のように広がってゆく傾向がある。コメディなどで使われる「笑いのサクラ」がその例である。１９６０年代半ばにアフリカで「笑いの流行病」という病気が発生した。始まりはカトリックのハイスクールに通う少女たちで彼女らは家に帰るとそれを家族にうつした。その笑いは数時間から２週間以上も続き、かかると食事もできない状態になってしまう。多くの犠牲者は極度の衰弱状態におちいった。罹患者は成人女性と未成人女性あわせて１０００人を超え、流行病は２か月の間続いた。また、笑いは人から人へ広がってゆくときに凝集効果も発揮する。 | ||
| - | ・「癒しの環境研究会」が認定している、笑いを引き出すことで自己治癒力を高める「笑い療法士」という医療職が存在する。 | + | == 笑いの生じる環境の違い== |
| + | 「内輪うけ」に象徴されるように、日本では笑いあえる関係であることがよい人間関係の指標となっている。それに対し、多民族社会では笑いを利用して初対面の人との距離を縮める方法をよくとる傾向がある。 | ||
| - | ・効果 | ||
| - | 1.心肺の活動を活発にする。２０秒間思い切り笑うことは３０分間のボートこぎをしたのと同じ運動量を心肺に与えるといわれている。 | + | ==低コンテキスト社会においてのジョークの必要性== |
| + | 低コンテキスト社会ではユーモアをアイスブレーカーとして利用する場合が多い。自分が敵ではないということを相手に示し、限られた共通知識とユーモアを解する知的活動を共有することで安心感を得る。初対面の相手が、人種も文化的背景も異なる人である可能性が高い低コンテキスト社会では何気なく言った言葉や言動が相手の文化圏では非常識であったり、攻撃的にさえ受け取られる場合がある。その後の会話の中で、不適切な発言があったとしてもお互いを許しあえるだけの好意的な関係を素早く作り上げるのに、初対面のジョークは効果的だ。 | ||
| - | 2.体組織の免疫力を高める。 | + | ==年代における変化== |
| - | + | 中世史家のジャック・ルゴフは年代における変化をおよそ次のように描いている。４世紀から１０世紀までの第一期には、笑いはとりわけ悪魔の表現であると考えられていたため抑圧されていた。しかしなからその時代の史料が主に聖職者の書いた文章からなっていることに留意しなければならない。第二期はとりわけ世俗の人々の影響力が増大したことに起因する、笑いの「自由化」と「統制」が特徴づけられる。宗教的良心の問題を判断する神学、決疑論が成立し、笑いの適法性と笑い方が議論された。最後にロシアの歴史家バフチンの言う「解放された」笑いの時代がおとずれる。彼は暗黒の中世から自由なルネサンスへ移行したと主張するが、異論も多い。 | |
| - | 3.笑うことで顔の筋肉を鍛えられ、表情の老化を防ぐ。 | + | |
| - | + | ||
| - | 4.思い切り笑うことで深呼吸や腹式呼吸と同じ状態になり、血のめぐりがよくなる。 | + | |
| - | + | ||
| - | == 笑いの生じる環境の違い== | + | |
| - | + | ||
| - | 「内輪うけ」に象徴されるように、日本では笑いあえる関係であることがよい人間関係の指標となっている。それに対し、多民族社会では笑いを利用して初対面の人との距離を縮める方法をよくとる傾向がある。 | + | |
| == 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
| - | http://www.sawai.co.jp/kenko-suishinka/illness/200908.html | ||
| - | |||
| - | http://www.jshe.gr.jp/warai.html | ||
| - | |||
| - | http://database.asahi.com/library2/main/start.php | ||
| 「日本の笑いと世界のユーモア」 大島希巳江著 | 「日本の笑いと世界のユーモア」 大島希巳江著 | ||
| + | 「【図説】笑いの中世史」 ジャン・ヴェルドン著/池上俊一監修 | ||
| + | 「ユーモア社会をもとめて 笑いの人間学」 J.モリオール/森下伸也訳 | ||
| - | green | + | verde |
最新版
口の両端を上げ、目を細めるなどといった顔の表情に、場合によっては大きく口を開けて声を立てる、腹筋運動を伴いながら体をゆするという動き。多くの場合、プラスな感情を伴うとも言われるが、悲しいことや困ったことなどマイナスな感情でも生じることがある。
目次 |
笑いとユーモア
ユーモアとは滑稽さや面白みのことであり、その結果として笑いは表れる。ユーモアと笑いは原因と結果のような関係であるが、ユーモアが必ずしも笑いにつながるとは限らない。
笑いと健康
笑いは体組織の免疫力を高め、笑顔は顔の筋肉を鍛えるため、表情の老化を防ぐ。笑うことは心肺の活動を活発にし、２０秒間思い切り笑うことは３分間のボートを漕いだ時と同じ運動量を心肺に与えるといわれている。また、笑い終えた後には心臓と血圧は通常よりも落ち着いた状態になる。
笑いの伝染性
集団の笑いには、核分裂のように広がってゆく傾向がある。コメディなどで使われる「笑いのサクラ」がその例である。１９６０年代半ばにアフリカで「笑いの流行病」という病気が発生した。始まりはカトリックのハイスクールに通う少女たちで彼女らは家に帰るとそれを家族にうつした。その笑いは数時間から２週間以上も続き、かかると食事もできない状態になってしまう。多くの犠牲者は極度の衰弱状態におちいった。罹患者は成人女性と未成人女性あわせて１０００人を超え、流行病は２か月の間続いた。また、笑いは人から人へ広がってゆくときに凝集効果も発揮する。
笑いの生じる環境の違い
「内輪うけ」に象徴されるように、日本では笑いあえる関係であることがよい人間関係の指標となっている。それに対し、多民族社会では笑いを利用して初対面の人との距離を縮める方法をよくとる傾向がある。
低コンテキスト社会においてのジョークの必要性
低コンテキスト社会ではユーモアをアイスブレーカーとして利用する場合が多い。自分が敵ではないということを相手に示し、限られた共通知識とユーモアを解する知的活動を共有することで安心感を得る。初対面の相手が、人種も文化的背景も異なる人である可能性が高い低コンテキスト社会では何気なく言った言葉や言動が相手の文化圏では非常識であったり、攻撃的にさえ受け取られる場合がある。その後の会話の中で、不適切な発言があったとしてもお互いを許しあえるだけの好意的な関係を素早く作り上げるのに、初対面のジョークは効果的だ。
年代における変化
中世史家のジャック・ルゴフは年代における変化をおよそ次のように描いている。４世紀から１０世紀までの第一期には、笑いはとりわけ悪魔の表現であると考えられていたため抑圧されていた。しかしなからその時代の史料が主に聖職者の書いた文章からなっていることに留意しなければならない。第二期はとりわけ世俗の人々の影響力が増大したことに起因する、笑いの「自由化」と「統制」が特徴づけられる。宗教的良心の問題を判断する神学、決疑論が成立し、笑いの適法性と笑い方が議論された。最後にロシアの歴史家バフチンの言う「解放された」笑いの時代がおとずれる。彼は暗黒の中世から自由なルネサンスへ移行したと主張するが、異論も多い。
参考文献
「日本の笑いと世界のユーモア」 大島希巳江著 「【図説】笑いの中世史」 ジャン・ヴェルドン著/池上俊一監修 「ユーモア社会をもとめて 笑いの人間学」 J.モリオール/森下伸也訳
verde
