エボラ出血熱
出典: Jinkawiki
2015年8月4日 (火) 16:08の版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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- | エボラ出血熱とはエボラウイルスによる急性熱性疾患でありラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱とともに、ウイルス性出血熱(Viral Hemorrhagic Fever:VHF)の一つである。本疾患が必ずしも出血症状を伴うわけではないことなどから、近年ではエボラウイルス病(Ebola virus disease: EVD)と呼称されることが多い。 | + | エボラ出血熱とはエボラウイルスによる急性熱性疾患でありウイルス性出血熱(Viral Hemorrhagic Fever:VHF)の一つである。体液や血液との接触によりヒトからヒトへ感染が拡大し、多数の死者を出す流行を起こすという特徴がある。しかしエボラ出血熱は必ずしも出血症状を伴うわけではないことなどから、近年ではエボラウイルス病(Ebola virus disease: EVD)と呼称されることが多い。エボラウイルスにはザイール、スーダン,ブンディブジョ、タイフォレスト、レストンの5つの種のウイルス型が存在しザイールエボラウイルスは最も強い病原性を持っている。 |
==感染経路== | ==感染経路== | ||
- | エボラウイルスは一般的に、エボラウイルスに感染したヒトの体液(血液、分泌物、吐物・排泄物)との接触によって感染する。空気感染または症状がない患者からの感染もないとされている。流行地域ではエボラウイルスに感染した野生動物に接触した人がエボラ出血熱に感染したという示唆される事例もある。自然宿主として、オオコウモリ科のオオコウモリの複数種が自然宿主ではないかと考えられている。 | + | エボラウイルスは一般的に、エボラウイルスに感染したヒトの体液(血液、分泌物、吐物・排泄物)との接触によって感染する。空気感染または症状がない患者からの感染はないとされている。流行地域ではエボラウイルスに感染した野生動物に接触した人がエボラ出血熱に感染したという示唆される事例もある。自然宿主として、オオコウモリ科のオオコウモリの複数種が自然宿主ではないかと考えられている。 |
==エボラ出血熱の主な症状と治療== | ==エボラ出血熱の主な症状と治療== | ||
- | ウイルス潜伏期間は2日から21日である。突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状から始まり、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)肝機能および腎機能の異常などの症状が現れます。 | + | ウイルス潜伏期間は2日から21日である。突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状から始まり、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)肝機能および腎機能の異常などの症状が現れる。 |
- | 致死率は50%前後で、過去の流行では25~90%の間を変動している。 | + | 致死率は50%前後と非常に高く、過去の流行では致死率は25~90%の間を変動している。 |
- | 現在、エボラ出血熱に対して有効なワクチン・治療薬は存在していない。研究段階にある承認前の治療薬の臨床試験が開始されている。*またWHOは2015年7月31日にカナダ政府機関などが開発したエボラ出血熱のワクチン「VSV-ZEBOV」の臨床試験について現在のところ、100%の効果があることが確認されたという中間結果を発表した。この臨床試験の結果は英医学誌ランセットにて発表された。臨床試験の内容は2015年4月1日、および2015年7月20日の間に、患者本人や患者と接触する可能性が高い家族(成人)7651人に対して、4123人に対してすぐにワクチンを接種するグループ、3528人に対して3週間後にワクチンを接種グループの2つのグループに分けた。その結果、すぐにワクチンを接種したグループでは感染者は出ず、3週間後のワクチンを接種したグループでは16人の感染者が出た。この結果により研究グループはエボラ出血熱の発症を予防する効果がある可能性が高いと結論付けています。今後はワクチンの効果が出にくい子ども含まれる集団に対して効果があるか確かめるとしている。 | + | 現在、エボラ出血熱に対して有効なワクチン・治療薬は存在していない。研究段階にある承認前の治療薬の臨床試験が開始されている。 |
+ | *WHOは2015年7月31日にカナダ政府機関などが開発したエボラ出血熱のワクチン「VSV-ZEBOV」の臨床試験について現在のところ、100%の効果があることが確認されたという中間結果を発表した。この臨床試験の結果は英医学誌ランセットにて発表された。臨床試験の内容は2015年4月1日、および2015年7月20日の間に、患者本人や患者と接触する可能性が高い家族(成人)7651人に対して、4123人に対してはすぐにワクチンを接種するグループ、3528人に対しては3週間後にワクチンを接種グループの2つのグループに分けた。その結果、すぐにワクチンを接種したグループでは感染者は出ず、3週間後のワクチンを接種したグループでは16人の感染者が出た。この結果により研究グループはエボラ出血熱の発症を予防する効果がある可能性が高いと結論付けています。今後はワクチンの効果が出にくい子ども含まれる集団に対して効果があるか確かめるとしている。エボラ出血熱に対して初の予防ワクチンか生まれるか期待されている。 | ||
==主な感染の流行事例(100人以上感染)== | ==主な感染の流行事例(100人以上感染)== | ||
*年 国 感染者数 死亡者数 致死率 | *年 国 感染者数 死亡者数 致死率 | ||
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*2014(8月11日時点) 西アフリカ 1975 1069 54% | *2014(8月11日時点) 西アフリカ 1975 1069 54% | ||
==西アフリカにおける大流行の内訳== | ==西アフリカにおける大流行の内訳== | ||
- | 2014年8月11日時点でギニアで510例(死亡377例)、リベリアで670例(死亡355例)、シエラレオネで783例(死亡334例)、ナイジェリア12例(死亡3例)である。2014年6月24日時点で総数618例のうち51例(8%)の感染が医療従事者である。また医療従事者や流行地域への旅行者が帰国後にエボラ出血熱を発症するケースがアメリカなど見られた。日本も帰国者の中に感染の疑いがあるケースが9件あったが、感染者は日本においては2015年7月現在出ていない。 | + | 2014年8月11日時点でギニアで510例(死亡377例)、リベリアで670例(死亡355例)、シエラレオネで783例(死亡334例)、ナイジェリア12例(死亡3例)である。2014年6月24日時点で総数618例のうち51例(8%)の感染が医療従事者である。また医療従事者や流行地域への旅行者が帰国後にエボラ出血熱を発症するケースがアメリカなど見られた。日本も帰国者の中に感染の疑いがあるケースが9件あったが、感染者は日本においては2015年7月末現在出ていない。 |
==参考・引用== | ==参考・引用== | ||
*http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/342-ebola-intro.html 国立感染症研究所 | *http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/342-ebola-intro.html 国立感染症研究所 | ||
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*http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2014/10091357.html 厚生労働省検疫所 | *http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2014/10091357.html 厚生労働省検疫所 | ||
*http://www.who.int/csr/don/2014_08_13_ebola/en/ WHOホームページ | *http://www.who.int/csr/don/2014_08_13_ebola/en/ WHOホームページ | ||
+ | *http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2815%2961117-5/abstract 英医学誌ランセット(英語) | ||
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エボラ出血熱とはエボラウイルスによる急性熱性疾患でありウイルス性出血熱(Viral Hemorrhagic Fever:VHF)の一つである。体液や血液との接触によりヒトからヒトへ感染が拡大し、多数の死者を出す流行を起こすという特徴がある。しかしエボラ出血熱は必ずしも出血症状を伴うわけではないことなどから、近年ではエボラウイルス病(Ebola virus disease: EVD)と呼称されることが多い。エボラウイルスにはザイール、スーダン,ブンディブジョ、タイフォレスト、レストンの5つの種のウイルス型が存在しザイールエボラウイルスは最も強い病原性を持っている。
目次 |
感染経路
エボラウイルスは一般的に、エボラウイルスに感染したヒトの体液(血液、分泌物、吐物・排泄物)との接触によって感染する。空気感染または症状がない患者からの感染はないとされている。流行地域ではエボラウイルスに感染した野生動物に接触した人がエボラ出血熱に感染したという示唆される事例もある。自然宿主として、オオコウモリ科のオオコウモリの複数種が自然宿主ではないかと考えられている。
エボラ出血熱の主な症状と治療
ウイルス潜伏期間は2日から21日である。突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状から始まり、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)肝機能および腎機能の異常などの症状が現れる。 致死率は50%前後と非常に高く、過去の流行では致死率は25~90%の間を変動している。 現在、エボラ出血熱に対して有効なワクチン・治療薬は存在していない。研究段階にある承認前の治療薬の臨床試験が開始されている。
- WHOは2015年7月31日にカナダ政府機関などが開発したエボラ出血熱のワクチン「VSV-ZEBOV」の臨床試験について現在のところ、100%の効果があることが確認されたという中間結果を発表した。この臨床試験の結果は英医学誌ランセットにて発表された。臨床試験の内容は2015年4月1日、および2015年7月20日の間に、患者本人や患者と接触する可能性が高い家族(成人)7651人に対して、4123人に対してはすぐにワクチンを接種するグループ、3528人に対しては3週間後にワクチンを接種グループの2つのグループに分けた。その結果、すぐにワクチンを接種したグループでは感染者は出ず、3週間後のワクチンを接種したグループでは16人の感染者が出た。この結果により研究グループはエボラ出血熱の発症を予防する効果がある可能性が高いと結論付けています。今後はワクチンの効果が出にくい子ども含まれる集団に対して効果があるか確かめるとしている。エボラ出血熱に対して初の予防ワクチンか生まれるか期待されている。
主な感染の流行事例(100人以上感染)
- 年 国 感染者数 死亡者数 致死率
- 1976 コンゴ民主共和国 318 280 88%
- 1976 スーダン 284 151 53%
- 1995 コンゴ民主共和国 315 254 81%
- 2000 ウガンダ 425 224 53%
- 2003(1月-4月) コンゴ共和国 143 128 90%
- 2007 コンゴ民主共和国 264 187 71%
- 2007 ウガンダ 149 37 25%
- 2014(8月11日時点) 西アフリカ 1975 1069 54%
西アフリカにおける大流行の内訳
2014年8月11日時点でギニアで510例(死亡377例)、リベリアで670例(死亡355例)、シエラレオネで783例(死亡334例)、ナイジェリア12例(死亡3例)である。2014年6月24日時点で総数618例のうち51例(8%)の感染が医療従事者である。また医療従事者や流行地域への旅行者が帰国後にエボラ出血熱を発症するケースがアメリカなど見られた。日本も帰国者の中に感染の疑いがあるケースが9件あったが、感染者は日本においては2015年7月末現在出ていない。
参考・引用
- http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/342-ebola-intro.html 国立感染症研究所
- http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola.html 厚生労働省
- http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2014/10091357.html 厚生労働省検疫所
- http://www.who.int/csr/don/2014_08_13_ebola/en/ WHOホームページ
- http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2815%2961117-5/abstract 英医学誌ランセット(英語)
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