ハーグ条約4

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2016年7月28日 (木) 16:27の版
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この条約では、原則、子の利益を考慮することなく行われる。このことに関し、ハーグ国際司法会議は「違法に連れ去ら得た子の迅速な返還に関して、条約には子の利益を考慮する明文の規定は存在しない」と解説し、その理由として「子の利益は曖昧な概念で法的判断に適さないこと」および、「連れ去られた先の裁判所が子の利益を判断すると、その国の文化的、社会的価値観を反映した子の利益になり、連れ去られた元の国の価値観と会わない」があげられる。しかし、返還が本当に子どものためになるのかを考えずに機械的に子どもを返還していくこの条約に賛同するときに考えなければならない問題である。 この条約では、原則、子の利益を考慮することなく行われる。このことに関し、ハーグ国際司法会議は「違法に連れ去ら得た子の迅速な返還に関して、条約には子の利益を考慮する明文の規定は存在しない」と解説し、その理由として「子の利益は曖昧な概念で法的判断に適さないこと」および、「連れ去られた先の裁判所が子の利益を判断すると、その国の文化的、社会的価値観を反映した子の利益になり、連れ去られた元の国の価値観と会わない」があげられる。しかし、返還が本当に子どものためになるのかを考えずに機械的に子どもを返還していくこの条約に賛同するときに考えなければならない問題である。
またこの条約は子の利益に関連して返還しない決定をすることができる特例が二つある またこの条約は子の利益に関連して返還しない決定をすることができる特例が二つある
 +
・「子を肉体的に、精神的な危害にさらす」または「子を耐えがたい状況に置く」重大な危険がある ・「子を肉体的に、精神的な危害にさらす」または「子を耐えがたい状況に置く」重大な危険がある
-・子が+・子が返還に反対の意思を示し、子の意見を聞くだけの年齢に達している
 + 
 +子の意見を聞くべき年齢については結論が出ていない。またこの二つの特例は裁判官が返還しなくてもいいというものであって子の権利ではない。つまり返還を命じるかの選択権は裁判官が持っており、子供が返還に反対の意思を示しても返還されない保証はない。返還を命じた場合はそれに従うしかない。
 +==DV問題==
 +条約加盟反対派は、母親が子供を略取する背景には、夫のDVから逃れようとしたケースが多い。ハーグ条約の執行申請事件の368件のうち54%においてDVの存在が確認されている。条約では略取先の国が停止できるのも、送還先の国が飢餓や戦争、あるいは夫が子供を虐待していたという明確な証拠があるときのみとなっており、子供への虐待のみで、妻への虐待は含まれない。元々DVは家庭内の犯罪なので確実な証明をすることは難しい。このような問題が条約の最大の欠点であることは加盟国間でも認識されている。DV被害者の外国人配偶者が子の連れ去りを頻繁に起こすのは、国際結婚で移住した国の言語習得できていないことがほとんどのため、DV被害を訴えて行政機関の支援を受けることは簡単なことではなく、女性の出身国がハーグ条約に加盟していない間は、子供を連れて出身国に逃げることが一番迅速で簡単な方法である。
==≪参考文献≫== ==≪参考文献≫==
外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_000843.html 外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_000843.html
在フランス日本国大使館 http://www.fr.emb-japan.go.jp/jp/taizai/soui.html 在フランス日本国大使館 http://www.fr.emb-japan.go.jp/jp/taizai/soui.html
 +[akiboh]

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目次

ハーグ条約とは

ハーグ条約とは、オランダのハーグで行われた、国家間の不法な児童連れ去り防止を目的とした多国間条約のことである。「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」の通称。「国境を越えて子供を不法に連れ去る、あるいは留め置くことの悪影響から子供を守る」ことを目的としている。1980年10月25日に採択され1983年12月1日に発効したが、加盟国は南北アメリカ、欧州諸国などに限られ、日本も含めアジア・アフリカ・中東諸国ではほとんどの国が加盟していなかったが、G8で加盟していない日本はアメリカなどから早く加盟するようにとの要請が強くなっていることや国内外において国際離婚に伴う子の略取問題に関心が高まっていることもあり、日本政府は2011年に加入を閣議了解し、2014年4月1日から効力が発生することになった。2016年1月現在日本を含めた93カ国が加盟国。

内容

この条約は、親権・養育権をを持つ親のもとから、他方の親が子どもの同意なく国境を越えて連れ去るまたは留め置くことになった場合、親が子の返還を申し立てると、その子供をすぐに元住んでいた国に返還することを基本原則としている。 また国境を越えて所在する親と子が面会できない状況を改善し、親子の面会交流の機会を得られるように締約国が支援することを定めています。 子どもが16歳に達すると、この条約は適用されなくなる。また拉致された先の裁判所あるいは行政当局は子の返還を決定するに際して、子が反対の意思表示をし、子の成熟度からその意見を尊重すべき場合は、返還しない決定をすることもできる。

日本とフランスの親権の違い

日本では家族法上子の親権者を夫婦のどちらか一方に決めておかなければ離婚は認められず、親権を母親が引き受ける法判断が定着している(判例では、母親側によほどの問題がない限り、親権は母親に渡されるのが通例である。ただし10歳以上の子が自らの意思で父親を選ぶ場合は除く)。 一方フランスにおいては両親が結婚していても、民事連帯契約の関係にあっても、また、事実婚の関係にあっても(子供に対する認知があれば)、親権は両親が行使するものであり、離婚や別離があっても、原則として共同親権のままであり、両親と子供との関係は維持され、両親は互いに他方の親と子供との関係を尊重しなければならない。 日本がハーグ条約の加盟に渋っていたのにはこのような他国との文化の違いが大きいといえる。

ハーグ条約加盟の恩恵

ハーグ条約締結前は、日本から外国に子供を連れ去られた場合、子を連れ去られた親が他国の法律、文化の壁を乗り越え、自らの力で居場所を特定し外国の裁判所に子の返還を訴えなければなりませんでしたが、ハーグ条約を締結したことによって、双方の国の中央当局を通じた国際協力の仕組みを通じ、相手国から子を連れ戻すための手紙や親子の面会交流の機会確保のための手続きを進めることが可能になりました。

子の利益

この条約では、原則、子の利益を考慮することなく行われる。このことに関し、ハーグ国際司法会議は「違法に連れ去ら得た子の迅速な返還に関して、条約には子の利益を考慮する明文の規定は存在しない」と解説し、その理由として「子の利益は曖昧な概念で法的判断に適さないこと」および、「連れ去られた先の裁判所が子の利益を判断すると、その国の文化的、社会的価値観を反映した子の利益になり、連れ去られた元の国の価値観と会わない」があげられる。しかし、返還が本当に子どものためになるのかを考えずに機械的に子どもを返還していくこの条約に賛同するときに考えなければならない問題である。 またこの条約は子の利益に関連して返還しない決定をすることができる特例が二つある

・「子を肉体的に、精神的な危害にさらす」または「子を耐えがたい状況に置く」重大な危険がある

・子が返還に反対の意思を示し、子の意見を聞くだけの年齢に達している

子の意見を聞くべき年齢については結論が出ていない。またこの二つの特例は裁判官が返還しなくてもいいというものであって子の権利ではない。つまり返還を命じるかの選択権は裁判官が持っており、子供が返還に反対の意思を示しても返還されない保証はない。返還を命じた場合はそれに従うしかない。

DV問題

条約加盟反対派は、母親が子供を略取する背景には、夫のDVから逃れようとしたケースが多い。ハーグ条約の執行申請事件の368件のうち54%においてDVの存在が確認されている。条約では略取先の国が停止できるのも、送還先の国が飢餓や戦争、あるいは夫が子供を虐待していたという明確な証拠があるときのみとなっており、子供への虐待のみで、妻への虐待は含まれない。元々DVは家庭内の犯罪なので確実な証明をすることは難しい。このような問題が条約の最大の欠点であることは加盟国間でも認識されている。DV被害者の外国人配偶者が子の連れ去りを頻繁に起こすのは、国際結婚で移住した国の言語習得できていないことがほとんどのため、DV被害を訴えて行政機関の支援を受けることは簡単なことではなく、女性の出身国がハーグ条約に加盟していない間は、子供を連れて出身国に逃げることが一番迅速で簡単な方法である。

≪参考文献≫

外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_000843.html 在フランス日本国大使館 http://www.fr.emb-japan.go.jp/jp/taizai/soui.html [akiboh]


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