世界の貧困問題
出典: Jinkawiki
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==NGOの取り組み== | ==NGOの取り組み== | ||
- | 貧困は、単に収入の問題だけではない。世界の5人に1人の子供がそうした危険にさらされているのである。1998年、NGOは少なくとも100億ドルを途上国に援助した。2000年の「債務帳消しキャンペーン」の際には、大規模なデモンストレーションをおこなって、この目標を国際協力の日程のなかにしっかり組み込んだ。他方、NGOは各国政府に圧力をかけて、その影響を受けた各国政府は、90年代に、貧困の撲滅を「開発プログラム」の中に組み入れた。NGOは、国家を超えたその行動によって、「人類の連帯」の発展に寄与していると評価されている。 | + | 「NGO」とは直訳すれば非政府組織となる。非政府組織と訳されるといっても、NGOは、単に行政上の組織ではないという意味の「非政府組織」ではない。各種の民間企業は、資本金や経済規模の大小を問わずみな「非政府組織」であるが、これらは協力関係を「NGO」とは言わない。日本では「NGO」という場合は、通常ODA(政府開発援助)との対比で理解されている、といっていい。つまり、先進工業国と称されている「北」の国々が、発展途上国と呼ばれている「南」の国々に対して行う政府ベースの援助に対して、営利を目的とせずに海外協力を行なっている民間団体(組織)のことを「NGO」と呼ぶことが多い。 |
+ | 「NGO」という言葉に特別な意味を託して使い始めたのは国際連合だといわれる。国連憲章の中で、国連が各国政府以外の民間団体との協力関係を定めた中で使われており、「NGO」は国連との協議資格を持つ非営利団体として位置付けられている。この国連憲章71条によって認められる「国連NGO」には、社会福祉団体、労働組合、平和団体、婦人団体、経営者団体、宗教団体など、広範囲にわたる団体が含まれている。しかし、現在では「NGO」と呼ぶときは、国連との協議資格の有無にかかわらず、海外協力を行う民間の非営利団体を指し、国連との協議資格を持っていても労働組合、経営者団体、宗教団体そのものは、「NGO」と呼ばないのが普通である。 | ||
+ | 貧困は、単に収入の問題だけではない。世界の5人に1人の子供がそうした危険にさらされているのである。1998年、NGOは少なくとも100億ドルを途上国に援助した。2000年の「債務帳消しキャンペーン」の際には、大規模なデモンストレーションをおこなって、この目標を国際協力の日程のなかにしっかり組み込んだ。他方、NGOは各国政府に圧力をかけて、その影響を受けた各国政府は、90年代に、貧困の撲滅を「開発プログラム」の中に組み入れた。NGOは、国家を超えたその行動にをよって、「人類の連帯」の発展に寄与していると評価されている。 | ||
==まとめ== | ==まとめ== | ||
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- | 参考文献:「グローバリゼーションの基礎知識」著 J-C・リュアノ⁼ボルバラン&S・アルマン 訳 杉村昌昭 | ||
+ | 参考文献:「グローバリゼーションの基礎知識」著 J-C・リュアノ⁼ボルバラン&S・アルマン 訳 杉村昌昭 | ||
+ | 社会的排除と格差問題 高崎経済大学附属地域政策研究センター[編] | ||
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最新版
目次 |
グローバリゼーションとは
グローバリゼーションとは、世界規模に広がることである。政治・経済・文化などが国境を越えて地球規模で拡大すること。
貧困の現実
貧困とは途上国における十分な食料や住環境がないという状況だけでを示すのではない。 貧困とは何かという問題は論争的で、その状況を分析することもそれに対処することも複層的かつ複雑すぎて、その説明に適した単一の方法などない。ここでは貧困の複雑性・複層性を指摘するスピッカーの貧困定義をとりあげる。 スピッカーは3つの主要な貧困群があると述べている。 1つ目は、物資的ニーズに関する貧困である。 必要不可欠なものを欠いた状態である特定のニーズ、必要不可欠なものを欠いた状態がしばらく続きそこから抜け出せない状態である剥奪パターン、低所得の状態である低水準の生活の3つを意味する。つまり、食糧、住環境、安全性が整えられていないことを示す。 2つ目は、経済的環境に関する貧困である。 欲しいものは手に入れる資源がない状態の資源の欠如、経済的環境の経済格差、経済的地位による経済階級が含まれる。つまり、人々の経済力の格差を示している。 3つ目は、社会関係にかかわる貧困である。 社会的地位や教育発達度によって定まる社会階級、公的扶助による依存、社会から排除された状態である社会的排除、法的・社会的・政治的取り決めに参画する権利の欠如である。つまり、社会問題や排除が生じつつそれに対処する社会権や社会参加の権利が剥奪されていることを示す。 このように、貧困は複雑すぎて単一の目的あるいは単一の解決策では克服できない。
地球上に住む70億人ほどの人々のうち、約半分が1日2ドル以下の生活費しかなく、5人に1人が1ドル以下の生活費しかない。
1日1ドル以下で暮らす人々の地域別人口比 (計12億人 1988年) 南アジア‥‥43.5% ラテンアメリカとカリブ‥‥6.5% サハラ以南のアフリカ‥‥24.3% ヨーロッパと中央アジア‥‥2.0% 東アジアと太平洋‥‥23.2% 中東と北アメリカ‥‥0.5%ために (出典:世界銀行)
就労していて1人の子供は貧困である。また、他の諸国が子供の貧困対策に積極的に取り組んでいるのにも関わらず抜本的な対策はいまだ進まず、1995年以降も貧困率は変化なく上昇し続けている。 日本の場合、非就労の一人親世帯はもちろんのこと、一人親が就労していても貧困が生じるではなく。就労している一人親世帯の子供の貧困率は、OEDC諸国の同環境における子供の貧困率の中で1番目に高い数字である。非就労の両親、就労・非就労の一人親世帯の子供のうち半分は貧困状況に置かれている。親の就労と所得が子供に大きな影響を与えていることが分かる。 なぜ日本は貧困率が改善されないのか。なぜ貧困に対して積極的対策もしくは介入がなされないのか。それらの論点は3つにまとめられる。1つ目に、日本は過度な家族依存型社会である。子供の責任は親が負うべきであるとされ、公的扶助は子供ではなく家族へ支給される。義務教育費は無償であるにもかかわらず授業料や教科書代以外の教育費が各家庭の負担となる。つまり、子供に関しては私情性が高いのである。2つ目に、グローバリゼーション新自由主義の政策によって就労形態が多様化したため、家族間の所得格差が生じる一方で、扶養控除や児童扶養手当などといったこれまでの社会保障制度は、所得格差を解消するという視点がないために、子供の貧困率低下にほとんど寄与していない。3つ目に、子供に対する個人責任・自立を強調した施策である。憲法はもちろん児童憲章や教育基本法、児童福祉法、児童虐待防止法といった子供の権利に関わる法整備がなされており、かつ国連の「子どもの権利条約」批准および子ども特別総会「子どもにふさわしい世界」への同意にもかかわらず、それらが施策には反映されていない、という点である。
NGOの取り組み
「NGO」とは直訳すれば非政府組織となる。非政府組織と訳されるといっても、NGOは、単に行政上の組織ではないという意味の「非政府組織」ではない。各種の民間企業は、資本金や経済規模の大小を問わずみな「非政府組織」であるが、これらは協力関係を「NGO」とは言わない。日本では「NGO」という場合は、通常ODA(政府開発援助)との対比で理解されている、といっていい。つまり、先進工業国と称されている「北」の国々が、発展途上国と呼ばれている「南」の国々に対して行う政府ベースの援助に対して、営利を目的とせずに海外協力を行なっている民間団体(組織)のことを「NGO」と呼ぶことが多い。 「NGO」という言葉に特別な意味を託して使い始めたのは国際連合だといわれる。国連憲章の中で、国連が各国政府以外の民間団体との協力関係を定めた中で使われており、「NGO」は国連との協議資格を持つ非営利団体として位置付けられている。この国連憲章71条によって認められる「国連NGO」には、社会福祉団体、労働組合、平和団体、婦人団体、経営者団体、宗教団体など、広範囲にわたる団体が含まれている。しかし、現在では「NGO」と呼ぶときは、国連との協議資格の有無にかかわらず、海外協力を行う民間の非営利団体を指し、国連との協議資格を持っていても労働組合、経営者団体、宗教団体そのものは、「NGO」と呼ばないのが普通である。 貧困は、単に収入の問題だけではない。世界の5人に1人の子供がそうした危険にさらされているのである。1998年、NGOは少なくとも100億ドルを途上国に援助した。2000年の「債務帳消しキャンペーン」の際には、大規模なデモンストレーションをおこなって、この目標を国際協力の日程のなかにしっかり組み込んだ。他方、NGOは各国政府に圧力をかけて、その影響を受けた各国政府は、90年代に、貧困の撲滅を「開発プログラム」の中に組み入れた。NGOは、国家を超えたその行動にをよって、「人類の連帯」の発展に寄与していると評価されている。
まとめ
貧困の克服のためには、政治的・経済的な構造の従属関係を脱していくことが不可欠であり、一方で、不平等の是正、情報の流通や医薬品や教育などの普及には、国際的な援助や協力が必要である。
参考文献:「グローバリゼーションの基礎知識」著 J-C・リュアノ⁼ボルバラン&S・アルマン 訳 杉村昌昭
社会的排除と格差問題 高崎経済大学附属地域政策研究センター[編]
R.S