フォルケホイスコーレ22
出典: Jinkawiki
2018年7月25日 (水) 17:19の版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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- | ==フォルケホイスコーレとは何か== | + | ==フォルケホイスコーレとは何か== |
フォルケホイスコーレとは、デンマークに約170年前からあるデンマーク独自の学校である。現在では100校以上あり、数十人規模での学校が主流である。その特色は試験が無く、単位や資格の付与もない。教師と学生が寮で共同生活をし、書物よりも対話を中心とした、生そのものを学び社会性を自覚するということが挙げられる。「自由学校」「生のための学校」とも呼ばれる。日本での高校卒業にあたる満17歳以上の人であれば、性別、年齢、障害の有無、国籍を問わず誰でも入学が可能である。学期は二ヶ月から最長で八ヶ月まで多様にあり、好みに合わせて更新できる。技術や知識を習得することよりも、授業や討論、実践、実習、生活を通して自己発見をして、自分で生きる道を探すことに主眼が置かれている。政府の援助を受けるが、すべて私立の学校であり、一切の干渉を受けない。デンマークでは公立学校や既成の大学に対抗する一つの制度として170年前以上にわたって存在し、対抗教育としてデンマークの公教育に大きな影響を与えてきた。 | フォルケホイスコーレとは、デンマークに約170年前からあるデンマーク独自の学校である。現在では100校以上あり、数十人規模での学校が主流である。その特色は試験が無く、単位や資格の付与もない。教師と学生が寮で共同生活をし、書物よりも対話を中心とした、生そのものを学び社会性を自覚するということが挙げられる。「自由学校」「生のための学校」とも呼ばれる。日本での高校卒業にあたる満17歳以上の人であれば、性別、年齢、障害の有無、国籍を問わず誰でも入学が可能である。学期は二ヶ月から最長で八ヶ月まで多様にあり、好みに合わせて更新できる。技術や知識を習得することよりも、授業や討論、実践、実習、生活を通して自己発見をして、自分で生きる道を探すことに主眼が置かれている。政府の援助を受けるが、すべて私立の学校であり、一切の干渉を受けない。デンマークでは公立学校や既成の大学に対抗する一つの制度として170年前以上にわたって存在し、対抗教育としてデンマークの公教育に大きな影響を与えてきた。 | ||
- | + | ==組織== | |
- | ==組織== | + | |
フォルケホイスコーレは個人の集まり、労働や教会、市民運動団体などの諸団体、自治体などの創立者グループと学校の教職員の代表で集められた理事会で運営され、設立に関与した多くの地域住民がその構成メンバーとなる。学校には校長と教職員で構成する教職員会議があり、合議制で学校を運営していく。校長や教職員の賃金は政府の定める基準に応じて支払わる。大学卒でない場合も、経験が6年を越えれば大学教員と同じ体系となる。フォルケホイスコーレと認可されるためには、最低でも20週の期間、1つの承認されたコース、12週の二つの承認されたコースを提供し、毎年最低18人の年間在籍学生数が必要である。 | フォルケホイスコーレは個人の集まり、労働や教会、市民運動団体などの諸団体、自治体などの創立者グループと学校の教職員の代表で集められた理事会で運営され、設立に関与した多くの地域住民がその構成メンバーとなる。学校には校長と教職員で構成する教職員会議があり、合議制で学校を運営していく。校長や教職員の賃金は政府の定める基準に応じて支払わる。大学卒でない場合も、経験が6年を越えれば大学教員と同じ体系となる。フォルケホイスコーレと認可されるためには、最低でも20週の期間、1つの承認されたコース、12週の二つの承認されたコースを提供し、毎年最低18人の年間在籍学生数が必要である。 | ||
- | + | ==授業・カリキュラム== | |
- | ==授業・カリキュラム== | + | ===期間=== |
- | ===期間=== | + | |
学校によって細かい違いはあるが、基本的には2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、八ヶ月の四種類のコースが主になる。社会人向けに一ヶ月以内のショートコース、あるいは家族コース、高齢者コースなどもある。長期コースは寮生活であり、短期コースは自宅からの通学となるが食事の時間は、共同の語らいを重視する考えから学校でとることを奨励している。 | 学校によって細かい違いはあるが、基本的には2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、八ヶ月の四種類のコースが主になる。社会人向けに一ヶ月以内のショートコース、あるいは家族コース、高齢者コースなどもある。長期コースは寮生活であり、短期コースは自宅からの通学となるが食事の時間は、共同の語らいを重視する考えから学校でとることを奨励している。 | ||
- | ===カリキュラム=== | + | ===カリキュラム=== |
講座の種類はいろいろあり、学校の数だけ異なるものがある。大別すると、グルントヴィ式の学校、体育系の学校、体育系の学校、キリスト教団体系の学校、芸術系の学校など他にも様々なものが存在する。グルントヴィ式の学校では、(1)伝統的な科目(2)趣味と実益をかねた実践的な科目(3)現代的な課題、の3つが組み合わされたカリキュラムであり、学校の性格に応じて重点の置きどころが異なる。 | 講座の種類はいろいろあり、学校の数だけ異なるものがある。大別すると、グルントヴィ式の学校、体育系の学校、体育系の学校、キリスト教団体系の学校、芸術系の学校など他にも様々なものが存在する。グルントヴィ式の学校では、(1)伝統的な科目(2)趣味と実益をかねた実践的な科目(3)現代的な課題、の3つが組み合わされたカリキュラムであり、学校の性格に応じて重点の置きどころが異なる。 | ||
- | ===学生の実態=== | + | ===学生の実態=== |
大学へ行く人生に疑問を感じて「生のための学校」の呼び名にひかれてやってくる者、フリースコーレ(自由小学校)、エフタースコーレ(自由中学)といったフォルケホイスコーレ系統の学校を出てきたため、その上級校として進学する者。人生に挫折した者や失業中でやることがなく、主額金をもらえて半年間はいろいろなことができるという理由の者。若者との語らいを楽しみに通う老人達。かつては若者が中心的な学生であったが、短期コースの大幅な増加に伴って社会人や老人の学生が増えた。また、失業者やドラッグにおぼれた者達の避難所としての役割も担っている。 | 大学へ行く人生に疑問を感じて「生のための学校」の呼び名にひかれてやってくる者、フリースコーレ(自由小学校)、エフタースコーレ(自由中学)といったフォルケホイスコーレ系統の学校を出てきたため、その上級校として進学する者。人生に挫折した者や失業中でやることがなく、主額金をもらえて半年間はいろいろなことができるという理由の者。若者との語らいを楽しみに通う老人達。かつては若者が中心的な学生であったが、短期コースの大幅な増加に伴って社会人や老人の学生が増えた。また、失業者やドラッグにおぼれた者達の避難所としての役割も担っている。 | ||
- | ==参考文献== | + | ==参考文献== |
清水満編著「生のための学校―デンマークで生まれたフリースクール「フォルケホイスコーレ」の世界」1996年発行 新評論 | 清水満編著「生のための学校―デンマークで生まれたフリースクール「フォルケホイスコーレ」の世界」1996年発行 新評論 |
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目次 |
フォルケホイスコーレとは何か
フォルケホイスコーレとは、デンマークに約170年前からあるデンマーク独自の学校である。現在では100校以上あり、数十人規模での学校が主流である。その特色は試験が無く、単位や資格の付与もない。教師と学生が寮で共同生活をし、書物よりも対話を中心とした、生そのものを学び社会性を自覚するということが挙げられる。「自由学校」「生のための学校」とも呼ばれる。日本での高校卒業にあたる満17歳以上の人であれば、性別、年齢、障害の有無、国籍を問わず誰でも入学が可能である。学期は二ヶ月から最長で八ヶ月まで多様にあり、好みに合わせて更新できる。技術や知識を習得することよりも、授業や討論、実践、実習、生活を通して自己発見をして、自分で生きる道を探すことに主眼が置かれている。政府の援助を受けるが、すべて私立の学校であり、一切の干渉を受けない。デンマークでは公立学校や既成の大学に対抗する一つの制度として170年前以上にわたって存在し、対抗教育としてデンマークの公教育に大きな影響を与えてきた。
組織
フォルケホイスコーレは個人の集まり、労働や教会、市民運動団体などの諸団体、自治体などの創立者グループと学校の教職員の代表で集められた理事会で運営され、設立に関与した多くの地域住民がその構成メンバーとなる。学校には校長と教職員で構成する教職員会議があり、合議制で学校を運営していく。校長や教職員の賃金は政府の定める基準に応じて支払わる。大学卒でない場合も、経験が6年を越えれば大学教員と同じ体系となる。フォルケホイスコーレと認可されるためには、最低でも20週の期間、1つの承認されたコース、12週の二つの承認されたコースを提供し、毎年最低18人の年間在籍学生数が必要である。
授業・カリキュラム
期間
学校によって細かい違いはあるが、基本的には2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、八ヶ月の四種類のコースが主になる。社会人向けに一ヶ月以内のショートコース、あるいは家族コース、高齢者コースなどもある。長期コースは寮生活であり、短期コースは自宅からの通学となるが食事の時間は、共同の語らいを重視する考えから学校でとることを奨励している。
カリキュラム
講座の種類はいろいろあり、学校の数だけ異なるものがある。大別すると、グルントヴィ式の学校、体育系の学校、体育系の学校、キリスト教団体系の学校、芸術系の学校など他にも様々なものが存在する。グルントヴィ式の学校では、(1)伝統的な科目(2)趣味と実益をかねた実践的な科目(3)現代的な課題、の3つが組み合わされたカリキュラムであり、学校の性格に応じて重点の置きどころが異なる。
学生の実態
大学へ行く人生に疑問を感じて「生のための学校」の呼び名にひかれてやってくる者、フリースコーレ(自由小学校)、エフタースコーレ(自由中学)といったフォルケホイスコーレ系統の学校を出てきたため、その上級校として進学する者。人生に挫折した者や失業中でやることがなく、主額金をもらえて半年間はいろいろなことができるという理由の者。若者との語らいを楽しみに通う老人達。かつては若者が中心的な学生であったが、短期コースの大幅な増加に伴って社会人や老人の学生が増えた。また、失業者やドラッグにおぼれた者達の避難所としての役割も担っている。
参考文献
清水満編著「生のための学校―デンマークで生まれたフリースクール「フォルケホイスコーレ」の世界」1996年発行 新評論