オランダの教育5

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 +=概要=
オランダには、学区にあたるものがない。学校とは複数の選択肢の中から生徒が自分で選んで決めるものというのが基本的な考え。宗教的・非宗教的な価値観に基づく教育理念の違い、オールタナティブ教育を含む子ども観や教育理念に基づく教育方法の違いなどによって、多数の選択肢が存在する。学校選択の自由を保障するオランダの「教育の自由」の原則は、1917年の憲法改正によって確立した。オランダで現在保障されている「教育の自由」を求める運動は学校法の基本理念であった「政治的に中立な『公立』の学校だけが国から教育費を受給する資格を持つ」という考え方へのアンチテーゼとして始まった。 オランダには、学区にあたるものがない。学校とは複数の選択肢の中から生徒が自分で選んで決めるものというのが基本的な考え。宗教的・非宗教的な価値観に基づく教育理念の違い、オールタナティブ教育を含む子ども観や教育理念に基づく教育方法の違いなどによって、多数の選択肢が存在する。学校選択の自由を保障するオランダの「教育の自由」の原則は、1917年の憲法改正によって確立した。オランダで現在保障されている「教育の自由」を求める運動は学校法の基本理念であった「政治的に中立な『公立』の学校だけが国から教育費を受給する資格を持つ」という考え方へのアンチテーゼとして始まった。
また、オランダでは公私立の別を問わず、全ての学校に対して「経営参加委員会」の設置が法律で義務付けられている。この委員会は、毎年学校の生徒数人合わせて、教員と保護者が50%ずつ互選で選ばれる。委員会には、学校運営主体である市(公立校の場合)や理事会(私立校の場合)が決める運営方針に対する「同意権」と「勧告権」が付帯されており、教員や保護者は学校の運営に対する様々な発言権が法的に保障されている。 また、オランダでは公私立の別を問わず、全ての学校に対して「経営参加委員会」の設置が法律で義務付けられている。この委員会は、毎年学校の生徒数人合わせて、教員と保護者が50%ずつ互選で選ばれる。委員会には、学校運営主体である市(公立校の場合)や理事会(私立校の場合)が決める運営方針に対する「同意権」と「勧告権」が付帯されており、教員や保護者は学校の運営に対する様々な発言権が法的に保障されている。
 +=オールタナティブ教育=
 +オールタナティブ教育や新教育と言われるものは、産業化や都市化によって伝統的共同体が崩れ、共同体のもつ教育力が低下していることに危機を覚えた教育者たちが始めたもの。
 +「イエナプラン教育」とはドイツのイエナ大学で発祥したオールタナティブ教育で1960年代にオランダの教育界に紹介された。1970年代以降、オールタナティブ教育への関心が高まる中で、イエナプラン校の数は飛躍的に増加した。
 +ドイツでイエナプラン教育を創始したペーターセンが実践した新しい取り組みの特徴が4つある。
-[参考資料]+①時間割を科目単位で区切るのではなく、「(サークル)対話」「仕事(自立学習と協働学習)」「遊び」「催し」と四つの基本活動を循環させながら、子どもたちの自然なバイオリズムに合わせてリズミックに展開すること。
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 +②学校のことを「ファミリーグループ」と呼び、異年齢の子どもたちから成る。
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 +③教室をリビングルーム(生活の場)とみなし、学習者である子どもたちが安心と信頼を保障された場所にすること
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 +④学校を子供たちを中心として、教育者である教員と親権者である保護者の三者からなる「生徒学びの共同体」とみなしたこと。
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 +=民主的シチズンシップ教育=
 +「民主的シチズンシップ教育」はオランダで2000年代半ばに初等・中等教育のすべてに義務付けられることになった。民主的シチズンシップ教育の授業カリキュラムは、学校ごとに作られることもあるが、多くは全国に何ヶ所かある教育サポート機関(民間企業)が作成したものを授業に取り入れている。中でもフレーデザームスホールと呼ばれるプログラムで、導入校は全小学校の約1割、600校に及んでいる。
 +このプログラムは、①クラスの仲間づくり②コンフリクトを自分で解決する③コミュニケーション④感情⑤コンフリクトの仲裁⑥違いの受容という六つのテーマでそれぞれ6〜10回ずつ授業を行う。年間で38回行われ、子どもたちは設定されたその日のテーマに沿って意見を交換し、他の仲間の意見に耳を傾けることを学ぶ。
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 +=参考資料=
リヒテルズ直子・苫野一徳 (2016) 『公教育をイチから考えよう』日本評論社 リヒテルズ直子・苫野一徳 (2016) 『公教育をイチから考えよう』日本評論社
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目次

概要

オランダには、学区にあたるものがない。学校とは複数の選択肢の中から生徒が自分で選んで決めるものというのが基本的な考え。宗教的・非宗教的な価値観に基づく教育理念の違い、オールタナティブ教育を含む子ども観や教育理念に基づく教育方法の違いなどによって、多数の選択肢が存在する。学校選択の自由を保障するオランダの「教育の自由」の原則は、1917年の憲法改正によって確立した。オランダで現在保障されている「教育の自由」を求める運動は学校法の基本理念であった「政治的に中立な『公立』の学校だけが国から教育費を受給する資格を持つ」という考え方へのアンチテーゼとして始まった。 また、オランダでは公私立の別を問わず、全ての学校に対して「経営参加委員会」の設置が法律で義務付けられている。この委員会は、毎年学校の生徒数人合わせて、教員と保護者が50%ずつ互選で選ばれる。委員会には、学校運営主体である市(公立校の場合)や理事会(私立校の場合)が決める運営方針に対する「同意権」と「勧告権」が付帯されており、教員や保護者は学校の運営に対する様々な発言権が法的に保障されている。

オールタナティブ教育

オールタナティブ教育や新教育と言われるものは、産業化や都市化によって伝統的共同体が崩れ、共同体のもつ教育力が低下していることに危機を覚えた教育者たちが始めたもの。 「イエナプラン教育」とはドイツのイエナ大学で発祥したオールタナティブ教育で1960年代にオランダの教育界に紹介された。1970年代以降、オールタナティブ教育への関心が高まる中で、イエナプラン校の数は飛躍的に増加した。 ドイツでイエナプラン教育を創始したペーターセンが実践した新しい取り組みの特徴が4つある。

①時間割を科目単位で区切るのではなく、「(サークル)対話」「仕事(自立学習と協働学習)」「遊び」「催し」と四つの基本活動を循環させながら、子どもたちの自然なバイオリズムに合わせてリズミックに展開すること。

②学校のことを「ファミリーグループ」と呼び、異年齢の子どもたちから成る。

③教室をリビングルーム(生活の場)とみなし、学習者である子どもたちが安心と信頼を保障された場所にすること

④学校を子供たちを中心として、教育者である教員と親権者である保護者の三者からなる「生徒学びの共同体」とみなしたこと。

民主的シチズンシップ教育

「民主的シチズンシップ教育」はオランダで2000年代半ばに初等・中等教育のすべてに義務付けられることになった。民主的シチズンシップ教育の授業カリキュラムは、学校ごとに作られることもあるが、多くは全国に何ヶ所かある教育サポート機関(民間企業)が作成したものを授業に取り入れている。中でもフレーデザームスホールと呼ばれるプログラムで、導入校は全小学校の約1割、600校に及んでいる。 このプログラムは、①クラスの仲間づくり②コンフリクトを自分で解決する③コミュニケーション④感情⑤コンフリクトの仲裁⑥違いの受容という六つのテーマでそれぞれ6〜10回ずつ授業を行う。年間で38回行われ、子どもたちは設定されたその日のテーマに沿って意見を交換し、他の仲間の意見に耳を傾けることを学ぶ。

参考資料

リヒテルズ直子・苫野一徳 (2016) 『公教育をイチから考えよう』日本評論社

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