シュタイナー教育12
出典: Jinkawiki
2018年7月28日 (土) 11:47の版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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シュタイナー教育は、ルドルフ・シュタイナー博士という人物が理念的創始者で、1919年に初めて南ドイツのシュツットガルトに「ヴァルドルフ学校」が創設された。その後できていった学校はシュタイナー学校と名付けられることが多くなった。 | シュタイナー教育は、ルドルフ・シュタイナー博士という人物が理念的創始者で、1919年に初めて南ドイツのシュツットガルトに「ヴァルドルフ学校」が創設された。その後できていった学校はシュタイナー学校と名付けられることが多くなった。 | ||
シュタイナー・ヴァルドルフ学校では、入学や進学などで子供を選別することは一切ない。多様な文化が尊重されており、男女共学である。そして、どの子供にも共通の総合的なカリキュラムが提供されている。この学校では、それぞれが自律しており、上下関係などの階層的な管理構造はなく、自治に基づいた共同体学校で、こうした点もユニークな特徴の一つである。 | シュタイナー・ヴァルドルフ学校では、入学や進学などで子供を選別することは一切ない。多様な文化が尊重されており、男女共学である。そして、どの子供にも共通の総合的なカリキュラムが提供されている。この学校では、それぞれが自律しており、上下関係などの階層的な管理構造はなく、自治に基づいた共同体学校で、こうした点もユニークな特徴の一つである。 | ||
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また、この学校は、学校がおかれた文化的環境との相互関係の中で成長する、社会的な有機体ともいえる。学校が、それぞれの置かれた様々な状況に順応し、社会状況の展開にも重要な貢献をしなければならない。 | また、この学校は、学校がおかれた文化的環境との相互関係の中で成長する、社会的な有機体ともいえる。学校が、それぞれの置かれた様々な状況に順応し、社会状況の展開にも重要な貢献をしなければならない。 | ||
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シュタイナー学校のカリキュラムは、横と縦のつながりを兼ね備えた構造になっている。一年間に教えられる教科のすべては、その年齢の中心課題として位置づけられる大きなテーマと関連付けられている。毎年のカリキュラム方針は、それぞれの年齢の子どもの発達上の必要性に応じて方向づけられる。個々の教科は、一つの全体絵構成する部分的要素となっている。子どもたちは、毎年進級するごとに、同じ教科やさらに発達した科目と向き合うことになる。このようにして一種のらせん状の学習経験を提供するように構成されている。 | シュタイナー学校のカリキュラムは、横と縦のつながりを兼ね備えた構造になっている。一年間に教えられる教科のすべては、その年齢の中心課題として位置づけられる大きなテーマと関連付けられている。毎年のカリキュラム方針は、それぞれの年齢の子どもの発達上の必要性に応じて方向づけられる。個々の教科は、一つの全体絵構成する部分的要素となっている。子どもたちは、毎年進級するごとに、同じ教科やさらに発達した科目と向き合うことになる。このようにして一種のらせん状の学習経験を提供するように構成されている。 | ||
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このようなカリキュラムは人間の内面的な作用を重視する教育方法であり、これが幼稚園での素朴な経験から、上級学年での科学的で論理的な発見に至るまで続けられる。学習する主題が生徒の成長とともに発展していくだけでなく、子供時代に経験したことは、徐々に大人の知識へと変容していくである。 | このようなカリキュラムは人間の内面的な作用を重視する教育方法であり、これが幼稚園での素朴な経験から、上級学年での科学的で論理的な発見に至るまで続けられる。学習する主題が生徒の成長とともに発展していくだけでなく、子供時代に経験したことは、徐々に大人の知識へと変容していくである。 | ||
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以上のように、シュタイナー学校の教育は、子どもが中心であり、発達段階に応じたカリキュラムに沿っているのである。 | 以上のように、シュタイナー学校の教育は、子どもが中心であり、発達段階に応じたカリキュラムに沿っているのである。 | ||
== 環境教育 == | == 環境教育 == | ||
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現代の教育のもっとも重要な課題の一つとして、自然と人間の健全な関係を確立することとシュタイナー学校の教育では考えられている。 | 現代の教育のもっとも重要な課題の一つとして、自然と人間の健全な関係を確立することとシュタイナー学校の教育では考えられている。 | ||
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単に、自然は大事にしていかなければならないという知識だけでは不十分で、子どもたちは早い段階から自然と触れ合うことで、四季を感じ、身の回りの植物や動物と一体化し、徐々に人間が自然界に対して責任があることを学んでいくのである。 | 単に、自然は大事にしていかなければならないという知識だけでは不十分で、子どもたちは早い段階から自然と触れ合うことで、四季を感じ、身の回りの植物や動物と一体化し、徐々に人間が自然界に対して責任があることを学んでいくのである。 | ||
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実際にどのように環境問題に取り組んでいるかというと、「子どもたちは世界を必要としており、また世界は子どもたちを必要としている」ということを子どもたちの学ぶべき根本的な課題としている。ここからは、シュタイナー教育の方法にもかかわってくるのだが、「全体」を前提とするところから始まり、次にその全体との関係から「部分」を理解するという点で、それ自体がエコロジーの考え方につながっていくという順序で教育していく。 | 実際にどのように環境問題に取り組んでいるかというと、「子どもたちは世界を必要としており、また世界は子どもたちを必要としている」ということを子どもたちの学ぶべき根本的な課題としている。ここからは、シュタイナー教育の方法にもかかわってくるのだが、「全体」を前提とするところから始まり、次にその全体との関係から「部分」を理解するという点で、それ自体がエコロジーの考え方につながっていくという順序で教育していく。 | ||
== 日本におけるシュタイナー教育 == | == 日本におけるシュタイナー教育 == | ||
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日本にも全国各地に、このシュタイナー教育を取り入れた幼稚園や保育園、学校が数多く存在する。そこでは、やはり自然に触れる機会が多く取られており、農業・栽培や酪農、陶芸など様々な植物や動物の世話や様々な体験している。近年、子どもたちの体験活動が減少し続けていることが問題視されているが、そうしたことは微塵も感じさせない環境である。 | 日本にも全国各地に、このシュタイナー教育を取り入れた幼稚園や保育園、学校が数多く存在する。そこでは、やはり自然に触れる機会が多く取られており、農業・栽培や酪農、陶芸など様々な植物や動物の世話や様々な体験している。近年、子どもたちの体験活動が減少し続けていることが問題視されているが、そうしたことは微塵も感じさせない環境である。 | ||
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また、幼稚園や保育園、学校以外にも、教室や勉強会、各種講座など子どもだけでなく、様々な幅広い年代の人たちに、シュタイナー教育の理解・知識・良さといったものを知ってもらうための機会が設けられている。 | また、幼稚園や保育園、学校以外にも、教室や勉強会、各種講座など子どもだけでなく、様々な幅広い年代の人たちに、シュタイナー教育の理解・知識・良さといったものを知ってもらうための機会が設けられている。 | ||
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== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
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・クリストファー・クラウダー、マーティン・ローソン『新訂版 シュタイナー教育』(2015)イザラ書房 | ・クリストファー・クラウダー、マーティン・ローソン『新訂版 シュタイナー教育』(2015)イザラ書房 | ||
・白樺図書『日本の「シュタイナー」その現場から : 教育・建築・農業・医療ほか』(2006)イザラ書房 | ・白樺図書『日本の「シュタイナー」その現場から : 教育・建築・農業・医療ほか』(2006)イザラ書房 |
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目次 |
概要
シュタイナー教育は、ルドルフ・シュタイナー博士という人物が理念的創始者で、1919年に初めて南ドイツのシュツットガルトに「ヴァルドルフ学校」が創設された。その後できていった学校はシュタイナー学校と名付けられることが多くなった。 シュタイナー・ヴァルドルフ学校では、入学や進学などで子供を選別することは一切ない。多様な文化が尊重されており、男女共学である。そして、どの子供にも共通の総合的なカリキュラムが提供されている。この学校では、それぞれが自律しており、上下関係などの階層的な管理構造はなく、自治に基づいた共同体学校で、こうした点もユニークな特徴の一つである。 また、この学校は、学校がおかれた文化的環境との相互関係の中で成長する、社会的な有機体ともいえる。学校が、それぞれの置かれた様々な状況に順応し、社会状況の展開にも重要な貢献をしなければならない。
ルドルフ・シュタイナー
ルドルフ・シュタイナーは、1861年2月27日(享年64歳)にバルカン半島で生まれた。オーストリアやドイツで活動した神秘思想家、哲学者、教育者である。ゲーテから強い影響をうけ、アントロポゾフィー(人智学)と呼ばれる思想の創始者となる。この思想から後にうまれたのが「シュタイナー教育」である。
カリキュラム
シュタイナー学校のカリキュラムは、横と縦のつながりを兼ね備えた構造になっている。一年間に教えられる教科のすべては、その年齢の中心課題として位置づけられる大きなテーマと関連付けられている。毎年のカリキュラム方針は、それぞれの年齢の子どもの発達上の必要性に応じて方向づけられる。個々の教科は、一つの全体絵構成する部分的要素となっている。子どもたちは、毎年進級するごとに、同じ教科やさらに発達した科目と向き合うことになる。このようにして一種のらせん状の学習経験を提供するように構成されている。 このようなカリキュラムは人間の内面的な作用を重視する教育方法であり、これが幼稚園での素朴な経験から、上級学年での科学的で論理的な発見に至るまで続けられる。学習する主題が生徒の成長とともに発展していくだけでなく、子供時代に経験したことは、徐々に大人の知識へと変容していくである。 以上のように、シュタイナー学校の教育は、子どもが中心であり、発達段階に応じたカリキュラムに沿っているのである。
環境教育
現代の教育のもっとも重要な課題の一つとして、自然と人間の健全な関係を確立することとシュタイナー学校の教育では考えられている。 単に、自然は大事にしていかなければならないという知識だけでは不十分で、子どもたちは早い段階から自然と触れ合うことで、四季を感じ、身の回りの植物や動物と一体化し、徐々に人間が自然界に対して責任があることを学んでいくのである。 実際にどのように環境問題に取り組んでいるかというと、「子どもたちは世界を必要としており、また世界は子どもたちを必要としている」ということを子どもたちの学ぶべき根本的な課題としている。ここからは、シュタイナー教育の方法にもかかわってくるのだが、「全体」を前提とするところから始まり、次にその全体との関係から「部分」を理解するという点で、それ自体がエコロジーの考え方につながっていくという順序で教育していく。
日本におけるシュタイナー教育
日本にも全国各地に、このシュタイナー教育を取り入れた幼稚園や保育園、学校が数多く存在する。そこでは、やはり自然に触れる機会が多く取られており、農業・栽培や酪農、陶芸など様々な植物や動物の世話や様々な体験している。近年、子どもたちの体験活動が減少し続けていることが問題視されているが、そうしたことは微塵も感じさせない環境である。 また、幼稚園や保育園、学校以外にも、教室や勉強会、各種講座など子どもだけでなく、様々な幅広い年代の人たちに、シュタイナー教育の理解・知識・良さといったものを知ってもらうための機会が設けられている。
参考文献
・クリストファー・クラウダー、マーティン・ローソン『新訂版 シュタイナー教育』(2015)イザラ書房
・白樺図書『日本の「シュタイナー」その現場から : 教育・建築・農業・医療ほか』(2006)イザラ書房