PISA10
出典: Jinkawiki
2018年12月20日 (木) 16:13の版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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==概要== | ==概要== | ||
- | PISA(programme for International Student Assessment)とは1997年に始まった、OECD生徒の学習到達度調査である。OECD加盟国政府の要請によって生徒の学習到達度という観点から、国際的に共通した枠組みに沿って教育システムの成果をモニタリングすることを目的とする。 | + | PISA(programme for International Student Assessment)とは1997年に始まった、OECD生徒の学習到達度調査である。OECD加盟国政府の要請によって行われているもので、生徒の学習到達度という観点から、国際的に共通した枠組みに沿って教育システムの成果をモニタリングすることを目的とする。 |
- | ==PISA調査== | + | ==PISA調査の対象・目的== |
調査の対象にしているのは15歳の生徒である。何故この年齢を対象にするのか、それは義務教育修了段階が15歳であることが理由となっている。現代社会に参加する上で必要になる知識・技能をどれほど習得しているかを測る。 | 調査の対象にしているのは15歳の生徒である。何故この年齢を対象にするのか、それは義務教育修了段階が15歳であることが理由となっている。現代社会に参加する上で必要になる知識・技能をどれほど習得しているかを測る。 | ||
この調査は3年に1回の頻度行われ、科学、読解、数学といった学校教育における主要科目に焦点を当てている。また、革新分野(innovation domain)の生徒の習熟度も行われる。PISA調査は生徒の知識の確認のみを目的としているわけではなく、この調査によって学校内外で直面する馴染みのない場面において、自らがそれ以前に学んできたものから推定、得てきた知識をどの程度活用できるのかということを調べることも目的の一環である。これら調査が表すものは、現代社会を生きる上で個人が報われるためには、何を知っているかではなくその知識を活かし何を成せるのかが大切だということである。 | この調査は3年に1回の頻度行われ、科学、読解、数学といった学校教育における主要科目に焦点を当てている。また、革新分野(innovation domain)の生徒の習熟度も行われる。PISA調査は生徒の知識の確認のみを目的としているわけではなく、この調査によって学校内外で直面する馴染みのない場面において、自らがそれ以前に学んできたものから推定、得てきた知識をどの程度活用できるのかということを調べることも目的の一環である。これら調査が表すものは、現代社会を生きる上で個人が報われるためには、何を知っているかではなくその知識を活かし何を成せるのかが大切だということである。 | ||
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- | また、PISA調査は三つの分野が存在し、科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシーの三つで評価している。これら定義はそれぞれ社会活動への参加を十分に可能にする機能的な知識・技能を強調するものである。またこのような参加には単なる外部からの力、例をあげると雇用主から課せられた課題を遂行する能力を上回るものを持ち合わせている必要があり、これは意思決定に参加できるということも意味している。PISA調査が生徒に求めているものは、複雑な課題において単に1つの正しい答えを持つ問いに答えること、これだけではなく与えられた資料に対する熟考、評価することである。 | ||
==指標== | ==指標== | ||
- | PISA調査には指標が三つ存在する。これらはPISA調査が質問調査によって集めた情報と結びつけることによって提供する成果であるとしている(経済協力開発機構編著:PISA2015年調査 評価の枠組み p16より引用)。 | + | PISA調査には指標が三つ存在する。これらはPISA調査が質問調査によって集めた情報と結びつけることによって提供する成果であるとしている。以下、示されている指標(『PISA2015年調査 評価の枠組み OECD生徒の学習到達度調査』p16より引用)。 |
'''基本指標''' | '''基本指標''' | ||
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'''経年指標''' | '''経年指標''' | ||
:学習到達度レベルと分布の変化、生徒レベル・学校レベル・システムレベルでの背景的な変数と学習到達度との関係を示す。 | :学習到達度レベルと分布の変化、生徒レベル・学校レベル・システムレベルでの背景的な変数と学習到達度との関係を示す。 | ||
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+ | PISA調査は分野もまた三つ存在し、科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシーの三点で評価している。これら定義はそれぞれ社会活動への参加を可能にする機能的な知識・技能を強調するものである。またこのような参加には単なる外部からの力、例を挙げると雇用主から課せられた課題を遂行する能力を上回るものを持ち合わせている必要があり、これは意思決定に参加できるということも意味している。PISA調査が生徒に求めているものは、複雑な課題において単に1つの正しい答えを持つ問いに答えること、これだけではなく与えられた資料に対する思索、評価することである。以下はそれぞれの分野における定義である(『PISA2015年調査 評価の枠組み OECD生徒の学習到達度調査』 p20より引用)。 | ||
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+ | '''科学的リテラシー''' | ||
+ | :科学的リテラシーとは、思慮深い市民として、科学的な考えを持ち、科学に関連する諸問題に関与する能力である。科学的リテラシーを身に着けた人は、科学やテクノロジーに関する筋の通った議論に自ら進んで携わり、それには以下の能力(コンピテンシー)を必要とする。 | ||
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+ | *'''現象を科学的に説明する''' | ||
+ | ::自然やテクノロジーの領域にわたり、現象についての説明を認識し、提案し、評価する。 | ||
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+ | *'''科学的探究を評価して計画する''' | ||
+ | ::科学的な調査を説明し、評価し、科学的に問いに取り組む方法を提案する | ||
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+ | *'''データと証拠を科学的に解釈する''' | ||
+ | ::様々な表現の中で、データ、主張、論(アーギュメント)を分析し、評価し、適切な科学的結論を導き出す(訳釈:アーギュメントとは、事実と理由付けを提示しながら、自らの主張を相手に伝える過程を指す)。 | ||
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+ | '''読解力''' | ||
+ | :読解力とは、自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考し、これに取り組むことである。 | ||
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+ | '''数学的リテラシー''' | ||
+ | :数学的リテラシーとは、様々な文脈の中で数学的に定式化し、数学を活用し、解釈する個人の能力である。それには、数学的に推論することや、数学的な概念・手順・事実・ツールを使って事象を記述し、説明し、予測することを含む。この能力は、個人が現実世界において数学が果たす役割を認識したり、建設的で積極的、思慮深い市民に求められる。十分な根拠に基づく判断や意思決定をしたりする助けとなるものである。 | ||
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+ | また、PISA調査はその年によってどの分野を重点的に調査するかが変わる。近年の調査で例を挙げると、2012年調査では数学的リテラシーを中心に、2015年調査では科学的リテラシーを中心に調査していた。重点的に調査するということは他二つの分野を調査しないということではなく、毎回この三つの分野は共通して調査されている。 | ||
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+ | ==参考文献== | ||
+ | 経済協力開発機構編著・国立教育政策研究所監訳(2016)『PISA調査 評価の枠組み OECD生徒の学習到達度調査』明石書店 | ||
+ | http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html | ||
+ | NIER 国立教育政策研究所 OECD生徒の学習到達度調査(PISA) | ||
- | http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html#PISA2012 | + | ハンドル名 椅子 |
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目次 |
概要
PISA(programme for International Student Assessment)とは1997年に始まった、OECD生徒の学習到達度調査である。OECD加盟国政府の要請によって行われているもので、生徒の学習到達度という観点から、国際的に共通した枠組みに沿って教育システムの成果をモニタリングすることを目的とする。
PISA調査の対象・目的
調査の対象にしているのは15歳の生徒である。何故この年齢を対象にするのか、それは義務教育修了段階が15歳であることが理由となっている。現代社会に参加する上で必要になる知識・技能をどれほど習得しているかを測る。
この調査は3年に1回の頻度行われ、科学、読解、数学といった学校教育における主要科目に焦点を当てている。また、革新分野(innovation domain)の生徒の習熟度も行われる。PISA調査は生徒の知識の確認のみを目的としているわけではなく、この調査によって学校内外で直面する馴染みのない場面において、自らがそれ以前に学んできたものから推定、得てきた知識をどの程度活用できるのかということを調べることも目的の一環である。これら調査が表すものは、現代社会を生きる上で個人が報われるためには、何を知っているかではなくその知識を活かし何を成せるのかが大切だということである。
指標
PISA調査には指標が三つ存在する。これらはPISA調査が質問調査によって集めた情報と結びつけることによって提供する成果であるとしている。以下、示されている指標(『PISA2015年調査 評価の枠組み OECD生徒の学習到達度調査』p16より引用)。
基本指標
- 生徒の知識と技能に関する基本的な特徴を示す。
背景指標
- こうした技能が様々な人口学的、社会的、経済的、教育的変数とどのように関連しているかを示す。
経年指標
- 学習到達度レベルと分布の変化、生徒レベル・学校レベル・システムレベルでの背景的な変数と学習到達度との関係を示す。
分野
PISA調査は分野もまた三つ存在し、科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシーの三点で評価している。これら定義はそれぞれ社会活動への参加を可能にする機能的な知識・技能を強調するものである。またこのような参加には単なる外部からの力、例を挙げると雇用主から課せられた課題を遂行する能力を上回るものを持ち合わせている必要があり、これは意思決定に参加できるということも意味している。PISA調査が生徒に求めているものは、複雑な課題において単に1つの正しい答えを持つ問いに答えること、これだけではなく与えられた資料に対する思索、評価することである。以下はそれぞれの分野における定義である(『PISA2015年調査 評価の枠組み OECD生徒の学習到達度調査』 p20より引用)。
科学的リテラシー
- 科学的リテラシーとは、思慮深い市民として、科学的な考えを持ち、科学に関連する諸問題に関与する能力である。科学的リテラシーを身に着けた人は、科学やテクノロジーに関する筋の通った議論に自ら進んで携わり、それには以下の能力(コンピテンシー)を必要とする。
- 現象を科学的に説明する
- 自然やテクノロジーの領域にわたり、現象についての説明を認識し、提案し、評価する。
- 科学的探究を評価して計画する
- 科学的な調査を説明し、評価し、科学的に問いに取り組む方法を提案する
- データと証拠を科学的に解釈する
- 様々な表現の中で、データ、主張、論(アーギュメント)を分析し、評価し、適切な科学的結論を導き出す(訳釈:アーギュメントとは、事実と理由付けを提示しながら、自らの主張を相手に伝える過程を指す)。
読解力
- 読解力とは、自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考し、これに取り組むことである。
数学的リテラシー
- 数学的リテラシーとは、様々な文脈の中で数学的に定式化し、数学を活用し、解釈する個人の能力である。それには、数学的に推論することや、数学的な概念・手順・事実・ツールを使って事象を記述し、説明し、予測することを含む。この能力は、個人が現実世界において数学が果たす役割を認識したり、建設的で積極的、思慮深い市民に求められる。十分な根拠に基づく判断や意思決定をしたりする助けとなるものである。
また、PISA調査はその年によってどの分野を重点的に調査するかが変わる。近年の調査で例を挙げると、2012年調査では数学的リテラシーを中心に、2015年調査では科学的リテラシーを中心に調査していた。重点的に調査するということは他二つの分野を調査しないということではなく、毎回この三つの分野は共通して調査されている。
参考文献
経済協力開発機構編著・国立教育政策研究所監訳(2016)『PISA調査 評価の枠組み OECD生徒の学習到達度調査』明石書店 http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html NIER 国立教育政策研究所 OECD生徒の学習到達度調査(PISA)
ハンドル名 椅子