ヒンドゥー教4

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そもそもこの「ヒンドゥー」という言葉はサンスクリット語でインダス川を指す言葉である。「シンドゥ(shindhu)」が正しい発音だったが、ペルシャ人が発音を間違い、流域地方の住民をヒンドゥーと呼んだのが由来である。ヒンドゥー教は現在、インドにおいて八割強の七億以上の人が信仰する宗教であり、キリスト教やイスラム教徒違い特定の開祖によって創始されたものではない。また多民族、多国家に広まっている宗教でもない。つまりユダヤ教や日本における神道と同様、民族に密着した民族宗教と言える。 そもそもこの「ヒンドゥー」という言葉はサンスクリット語でインダス川を指す言葉である。「シンドゥ(shindhu)」が正しい発音だったが、ペルシャ人が発音を間違い、流域地方の住民をヒンドゥーと呼んだのが由来である。ヒンドゥー教は現在、インドにおいて八割強の七億以上の人が信仰する宗教であり、キリスト教やイスラム教徒違い特定の開祖によって創始されたものではない。また多民族、多国家に広まっている宗教でもない。つまりユダヤ教や日本における神道と同様、民族に密着した民族宗教と言える。
-ここヴェーダ入れるべきかも+また、ヒンドゥー教の聖典の中には「ヴェーダ」と呼ばれるものがある。サンスクリット語の「知る」という意味の言葉が由来。キリスト教の新約聖書やイスラム教のコーランとは違い、この聖典は一つではなく複数である。中でも最古の文献が「リグ・ヴェーダ」である。紀元前1200年を中心に編纂。ヒンドゥー教は多神教であるため神もまた複数いてよいことになっており、それら神々に対する讃歌の集成として書かれている。神々とは自然現象や構成要素を神格化したものと考えられ、主要なものを挙げるとヴィシュヌや雷神シンドラ、風神ヴァーユなどが挙げられる。数々の神格化がなされるうち、自然との関係が希薄となり起源が不明瞭となっていった。またアーリヤ人の社会生活で祭祀が重要性を帯び始めると、火神アグニや酒神ソーマなどのように祭祀に必要なものも神格化された。神と人間は相互依存の関係にあり、神を喜ばせる人間は恩恵を与えられる。また悪事を働いた人間を罰するが、贖罪をする人間は赦すなどがある。その後「サーマ・ヴェーダ」(歌詠の集成)、「ヤジュル・ヴェーダ」(祭詞の集成)が編纂された。初めは三ヴェーダと呼ばれこの三つで成り立っていたが、この後「アタルヴァ・ヴェーダ」(呪詞の集成)が編纂され。四ヴェーダとなった。
==起源== ==起源==
ヒンドゥー教の起源は紀元前3000~前1500年頃に存在したインダス文明まで遡ると考えられている。ハラッパーやモヘンジョ・ダーロなど多数遺跡が発見されているが、これら遺跡からは印章が発掘されている。発掘された印章の中には牡牛や竜樹、聖樹と思われるものも出土しており、ヒンドゥー教や仏教で吉祥に使われる印である「卍」も含まれているためである。また農耕民族特融の地母神と考えられるテコラッタの女性像が出土していることも遡ることができると考えられる要因の一つである。 ヒンドゥー教の起源は紀元前3000~前1500年頃に存在したインダス文明まで遡ると考えられている。ハラッパーやモヘンジョ・ダーロなど多数遺跡が発見されているが、これら遺跡からは印章が発掘されている。発掘された印章の中には牡牛や竜樹、聖樹と思われるものも出土しており、ヒンドゥー教や仏教で吉祥に使われる印である「卍」も含まれているためである。また農耕民族特融の地母神と考えられるテコラッタの女性像が出土していることも遡ることができると考えられる要因の一つである。
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 +==叙事詩==
 +ヒンドゥー教には、ヴェーダとはまた別に叙事詩の形をとった聖典が存在する。二大叙事詩である「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」である。紀元前四世紀から紀元後四世紀頃にかけて編纂されたと考えられている。
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 +'''マハーバーラタ'''
 +:補遺「ハリヴァンシャ」を含めると世界最大の叙事詩となる。「マハー」とは「偉大な」を意味し、「バーラタ」は「バラタ族」を意味している。つまりマハーバーラタとは「偉大なバラタ族の物語」という意味になる。この叙事詩の内容はバラタ族の戦争の物語を中心とし、多くの神話、伝説、哲学思想、当時の民間信仰を含める重要な聖典である。法(ダルマ)、実利(アルタ)、愛(カーマ)、解脱(モークシャ)に関し「マハーバーラタ」にないものはないと言われ、当時のヒンドゥー教徒にとっての百科事典としての役割を担うものであった。また中心として描かれる戦争は、紀元前十世紀頃に起こったアーリヤ人の王位継承争いが元となっている。
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 +'''ラーマーヤナ'''
 +:「ラーマの遠征」を意味する。ヴァールミーヤが作ったと伝えられており、一万四千頌からなる。森に追放されたラーマ王子は妃シーターを悪魔ラーヴァナに誘拐されてしまうが、猿たちの力を借りることでシーターを奪還、即位するという物語である。この話は史実を元に作られたものではないが、アーリヤ人の南インド征服という事実を反映して描かれている。ラーマーヤナは今でも影絵芝居などで上演され、後世に継がれている。
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 +==食文化のタブー==
 +ヒンドゥー教には、数多くのタブーが存在するが、この項では食文化についてのタブーをメインとして述べる(公益社団法人日本看護学会 異文化看護データベースより引用)。
 +*先祖の魂が動物の形に生まれ変わっているかもしれないという考えのため、動物は殺したり、食べたりしない。
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 +*卵類も生命の源と考えられているので、食用にしない人がいる。
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 +*ブラーマン階級は、食前に儀式として沐浴し、清潔な衣服を身につけ身を清める。
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 +*異なったカースト階級の人とは一緒に食事をしない。
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 +*牛は神聖な動物として崇拝されているので、ヒンドゥ教徒は牛肉は食べない。
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 +*浄・不浄の観念:排便後、左手を使って水で洗う習慣のあるインドでは、左は不浄の手とされ食事に使われることはない。人に何かを手渡しするときや、握手するときは右手を使うべきである。   
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 +*ケガレ(排泄物や分泌物、それに人が触れたもの)は強い伝染力もっていると考えられているため、インドでは使い捨てできる素焼きや木の葉でできた食器が好まれる。
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 +==参考文献==
 +http://plaza.umin.ac.jp/jans/iinkai/intl/religion_hindu.html
 +公益社団法人日本看護学会 異文化看護データベース
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 +木村靖二、佐藤次高、岸本美緒「詳説世界史B」(2016)山川出版社
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 +西尾秀生「ヒンドゥー教と仏教 比較宗教の視点から」(2001)ナカニシヤ出版
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 +ハンドル名 椅子

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ヒンドゥー教とは、中央アジアにて前6世紀頃に起こったバラモン教の改革運動に加え、民間信仰を取り入れたことによって生じた宗教である。

目次

概要

そもそもこの「ヒンドゥー」という言葉はサンスクリット語でインダス川を指す言葉である。「シンドゥ(shindhu)」が正しい発音だったが、ペルシャ人が発音を間違い、流域地方の住民をヒンドゥーと呼んだのが由来である。ヒンドゥー教は現在、インドにおいて八割強の七億以上の人が信仰する宗教であり、キリスト教やイスラム教徒違い特定の開祖によって創始されたものではない。また多民族、多国家に広まっている宗教でもない。つまりユダヤ教や日本における神道と同様、民族に密着した民族宗教と言える。

また、ヒンドゥー教の聖典の中には「ヴェーダ」と呼ばれるものがある。サンスクリット語の「知る」という意味の言葉が由来。キリスト教の新約聖書やイスラム教のコーランとは違い、この聖典は一つではなく複数である。中でも最古の文献が「リグ・ヴェーダ」である。紀元前1200年を中心に編纂。ヒンドゥー教は多神教であるため神もまた複数いてよいことになっており、それら神々に対する讃歌の集成として書かれている。神々とは自然現象や構成要素を神格化したものと考えられ、主要なものを挙げるとヴィシュヌや雷神シンドラ、風神ヴァーユなどが挙げられる。数々の神格化がなされるうち、自然との関係が希薄となり起源が不明瞭となっていった。またアーリヤ人の社会生活で祭祀が重要性を帯び始めると、火神アグニや酒神ソーマなどのように祭祀に必要なものも神格化された。神と人間は相互依存の関係にあり、神を喜ばせる人間は恩恵を与えられる。また悪事を働いた人間を罰するが、贖罪をする人間は赦すなどがある。その後「サーマ・ヴェーダ」(歌詠の集成)、「ヤジュル・ヴェーダ」(祭詞の集成)が編纂された。初めは三ヴェーダと呼ばれこの三つで成り立っていたが、この後「アタルヴァ・ヴェーダ」(呪詞の集成)が編纂され。四ヴェーダとなった。

起源

ヒンドゥー教の起源は紀元前3000~前1500年頃に存在したインダス文明まで遡ると考えられている。ハラッパーやモヘンジョ・ダーロなど多数遺跡が発見されているが、これら遺跡からは印章が発掘されている。発掘された印章の中には牡牛や竜樹、聖樹と思われるものも出土しており、ヒンドゥー教や仏教で吉祥に使われる印である「卍」も含まれているためである。また農耕民族特融の地母神と考えられるテコラッタの女性像が出土していることも遡ることができると考えられる要因の一つである。

叙事詩

ヒンドゥー教には、ヴェーダとはまた別に叙事詩の形をとった聖典が存在する。二大叙事詩である「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」である。紀元前四世紀から紀元後四世紀頃にかけて編纂されたと考えられている。

マハーバーラタ

補遺「ハリヴァンシャ」を含めると世界最大の叙事詩となる。「マハー」とは「偉大な」を意味し、「バーラタ」は「バラタ族」を意味している。つまりマハーバーラタとは「偉大なバラタ族の物語」という意味になる。この叙事詩の内容はバラタ族の戦争の物語を中心とし、多くの神話、伝説、哲学思想、当時の民間信仰を含める重要な聖典である。法(ダルマ)、実利(アルタ)、愛(カーマ)、解脱(モークシャ)に関し「マハーバーラタ」にないものはないと言われ、当時のヒンドゥー教徒にとっての百科事典としての役割を担うものであった。また中心として描かれる戦争は、紀元前十世紀頃に起こったアーリヤ人の王位継承争いが元となっている。

ラーマーヤナ

「ラーマの遠征」を意味する。ヴァールミーヤが作ったと伝えられており、一万四千頌からなる。森に追放されたラーマ王子は妃シーターを悪魔ラーヴァナに誘拐されてしまうが、猿たちの力を借りることでシーターを奪還、即位するという物語である。この話は史実を元に作られたものではないが、アーリヤ人の南インド征服という事実を反映して描かれている。ラーマーヤナは今でも影絵芝居などで上演され、後世に継がれている。

食文化のタブー

ヒンドゥー教には、数多くのタブーが存在するが、この項では食文化についてのタブーをメインとして述べる(公益社団法人日本看護学会 異文化看護データベースより引用)。

  • 先祖の魂が動物の形に生まれ変わっているかもしれないという考えのため、動物は殺したり、食べたりしない。
  • 卵類も生命の源と考えられているので、食用にしない人がいる。
  • ブラーマン階級は、食前に儀式として沐浴し、清潔な衣服を身につけ身を清める。
  • 異なったカースト階級の人とは一緒に食事をしない。
  • 牛は神聖な動物として崇拝されているので、ヒンドゥ教徒は牛肉は食べない。
  • 浄・不浄の観念:排便後、左手を使って水で洗う習慣のあるインドでは、左は不浄の手とされ食事に使われることはない。人に何かを手渡しするときや、握手するときは右手を使うべきである。   
  • ケガレ(排泄物や分泌物、それに人が触れたもの)は強い伝染力もっていると考えられているため、インドでは使い捨てできる素焼きや木の葉でできた食器が好まれる。

参考文献

http://plaza.umin.ac.jp/jans/iinkai/intl/religion_hindu.html 公益社団法人日本看護学会 異文化看護データベース

木村靖二、佐藤次高、岸本美緒「詳説世界史B」(2016)山川出版社

西尾秀生「ヒンドゥー教と仏教 比較宗教の視点から」(2001)ナカニシヤ出版


ハンドル名 椅子


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