ポピュリズム2
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庄司克宏(2018)『欧州ポピュリズム』筑摩書房 | 庄司克宏(2018)『欧州ポピュリズム』筑摩書房 |
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ポピュリズムとは、何かについて必ずしも定説があるわけではなく、「大衆迎合主義」とも称されるが、一般に、特権的エリートに対抗して一般大衆の利益、文化的特性および自然な感情を強調する政治運動である。ポピュリストはしばしば、正当化のために、チェック・アンド・バランスや少数派の権利にあまり配慮することなく、直接に、すなわち大衆集会、国民(住民)投票や、大衆民主主義の他の形を通じて、多数派の意思に訴える。ポピュリズムにおいては、多数派の一般大衆と特権手エリートとの対抗関係が前提とせれている。このようにポピュリズムは、社会は「無垢の民衆」対「腐敗したエリート」という、同質的で相対立する二つの陣営に究極的には区別されるとみなし、また政治は民主の一般意思の表明であるべきだと主張する、実質に欠けたイデオロギーとして捉えることができる。なお、「一般意思」とは、私的利害をもつ個々の意志の総和ではなく、個々の利己心をすてた一体としての人民の意志である。「実質に欠けた」とは、ポピュリズムがそれ自体は、広範にわたる重要な政治的問題に対する一貫した解答を提供する完全な世界観ではないことを意味し、社会主義やナショナリズムのような他の本格的なイデオロギーに結びつくことで、はじめて具体的な政治的主張を行うことを示している。また、ポピュリズムは思想やイデオロギーではなく、政治的リーダーが利用する政治的戦略であると捉えるアプローチもある。
参考文献
庄司克宏(2018)『欧州ポピュリズム』筑摩書房