箏‐こと‐

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西川浩平『カラー図解 和楽器の世界』(2008)株式会社河出書房新社 西川浩平『カラー図解 和楽器の世界』(2008)株式会社河出書房新社
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高橋秀雄『日本の楽器・日本の音5 歴史』(2002)株式会社小峰書店 高橋秀雄『日本の楽器・日本の音5 歴史』(2002)株式会社小峰書店

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目次

 まだ楽器の種類が少なかった古代日本、弦をはじいて音を出す楽器をすべて「コト」と呼んでいた。よって、古代の代表てきな楽器である和琴、中国から伝わった琴(箏)箜篌、それに琵琶も、すべてコトの仲間であると考えられていた。そのため平安時代には、琴は「きんのこと」、琵琶は「びわのこと」という名前で区別されていた。また、箏は「そうのこと」と表現されていた。箏と琴はどちらも「コト」と呼ぶことが可能であり、現在では「琴」で両方の楽器を表している。箏は中国から伝来した楽器であり琴と形状が似ているが、琴と違って弦の間に「柱」を立てて音を調節するという点である。大正時代には十七弦や二十弦といったものが作られており、西洋楽器との合奏お行われていた。


発展

   筝で演奏される音楽は「筝曲」と呼ばれる。筝はもともと雅楽の演奏だけに用いられていたが、平安時代ごろになると独立した楽器として広まるようになった。その後十七世紀に入ってから、九州に「筑紫筝(つくしごと)」と呼ばれる一派が興り、それが当時音楽家として最高の位にあった八橋検校(やつはしけんぎょう)に伝わり、筝曲の基礎である「俗筝」が生みだされた。八橋検校は筑紫筝をもとに「六段の調」をはじめとする多くの筝曲を作曲したと言われており、現在日本では「生田流」と「山田流」という二つの大きな流派がある。どちらの流派も江戸時代から続く流派であったが、生田流は関西地方を中心としており、元禄時代ころから京都・大阪地方で流行していた「地歌」と筝曲の合奏が行われるようになった。地歌は三味線を伴奏とした歌曲であり、主に目の不自由な人々の間で演奏されていた。


種類

 この項目では、代表的な筝とその特徴を説明している。

十七弦

 1921(大正10)年、筝曲演奏家で作曲家でもある宮城道雄によって創造された。大合奏の作品に対する必要性から低温を担当する箏として発明された。全長約210センチの大きな胴に太い弦が17本張られている。

二十弦

 1968(昭和43)年、地歌筝曲演奏家の野坂恵子によって創造された。古典的な13弦を現代曲の演奏に対応するために、高音域と低音域を拡大し弦の数増やしたものである。20本で開発されたがその後改良され、現代は21本の弦を持つ。胴も幅広くなり、音の響きも増大された。数本おきに黄色弦を張ることで一目でどの弦かを判断できるようになっている。

楽筝

 全長190センチの胴に13本の絹弦を持ち、雅楽に用いられる筝である。近世の筝(俗筝)との少しの違いはあるが、この雅楽の箏が近世の筝の原点である。演奏方法としては、旋律は演奏せず、管楽器(竜笛、篳篥、笙)の旋律に沿って決まったリズムを刻み、旋律の速度を決める役割を果たす打楽器的役割に徹している。


部品

柱(じ)

 胴体部と弦の間に立てる柱であり、音程を調節してそれぞれの音階を作る役割を持つ。曲中、調弦が変わっていく時にスムーズに移動できる軽さが必要であるが、弦の振動を胴に伝える役割もあり、しっかりとした安定性が必要である。材質は象牙、プラスティックなどで、演奏する筝のよって大きさ、個数が異なる。

 右手の親指、人差指、中指にはめて弦をはじく。流派によって形が異なり、山田流の爪は先が丸みをおびている丸爪であるのに対し、生田流は爪の先が角張った角爪である。材質は主に象牙であり、爪皮は猫革で作られることが多い。

 材質は絹、テトロン製などがある。絹弦は余韻が長く響き重用されるが切れやすく、テトロン弦は切れにくく、音が明瞭であるとされる。弦の余った残りの部分は丸められ、張ってある弦に挟み込まれる。直線に張られた弦と円形にまとめられた形との対比が美しいとされる。


筝の楽譜

 楽譜は流派、時代によって様々な種類のものが出版されている。日本の音楽の特徴として。口伝、口承を基本としており、「音楽のすべてを書き残す」というよりも、「ラフな写し書き」といった傾向を持つ。特に、目の不自由な当道の組織で発展を遂げたこととも関係し、口承の方法が発達している。


参考文献

西川浩平『カラー図解 和楽器の世界』(2008)株式会社河出書房新社

高橋秀雄『日本の楽器・日本の音5 歴史』(2002)株式会社小峰書店



投稿者:松下


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