AIIB
出典: Jinkawiki
2020年1月31日 (金) 00:34の版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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中国は、日本が長年ADBを通じてアジアを開発してきたノウハウを必要としているため、日本とアメリカのAIIBへの参加を求めている。しかし、参加しない要因には、アメリカへの気遣いや不透明なガバナンスが挙げられる。 | 中国は、日本が長年ADBを通じてアジアを開発してきたノウハウを必要としているため、日本とアメリカのAIIBへの参加を求めている。しかし、参加しない要因には、アメリカへの気遣いや不透明なガバナンスが挙げられる。 | ||
まず、中国が設立メンバーの締め切りを2015年3月末とし、各国に参加を募った時、アメリカは日本やヨーロッパの同盟国に参加拒否するように圧力をかけた。しかし、アメリカの意に反して3月12日にイギリス外務省が参加を表明した。それに続くかのように3月16日にフランス・ドイツ・イタリアも参加を表明したとき、同盟国の裏切りにアメリカは激怒した。日本が参加を決めきれない理由には同盟国であるアメリカへの配慮がある。 | まず、中国が設立メンバーの締め切りを2015年3月末とし、各国に参加を募った時、アメリカは日本やヨーロッパの同盟国に参加拒否するように圧力をかけた。しかし、アメリカの意に反して3月12日にイギリス外務省が参加を表明した。それに続くかのように3月16日にフランス・ドイツ・イタリアも参加を表明したとき、同盟国の裏切りにアメリカは激怒した。日本が参加を決めきれない理由には同盟国であるアメリカへの配慮がある。 | ||
- | また、AIIBという機関そのものの信頼を疑う声もあり、AIIBのような国際開発金融機関には、開発の過程において、近隣の人々や環境への不当な害を減らすためにセーフガード政策を行う責任があるが、環境や人々に配慮をすれば手続きが煩雑になり、時間もコストもかかる。また、コストがかかるという理由からAIIBは常駐理事会を置いていない。常駐理事会がないということは中国当局の裁量で意思決定が行われる可能性が十分に考えられる。またAIIBの活動は、共産党の言論統制を受ける。つまり、報告書はすべて当局の検閲の対象になる。 | + | また、AIIBという機関そのものの信頼を疑う声もあり、AIIBのような国際開発金融機関には、開発の過程において、近隣の人々や環境への不当な害を減らすためにセーフガード政策を行う責任があるが、環境や人々に配慮をすれば手続きが煩雑になり、時間もコストもかかる。また、コストがかかるという理由からAIIBは常駐理事会を置いていない。常駐理事会がないということは中国当局の裁量で意思決定が行われる可能性が十分に考えられる。またAIIBの活動は、共産党の言論統制を受ける。つまり、報告書はすべて当局の検閲の対象になる。 |
その2点により、日本はAIIBに参加しないと考えられる。 | その2点により、日本はAIIBに参加しないと考えられる。 | ||
参考:Digima | 参考:Digima |
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AIIBの概要 アジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank)の略称。国際金融機関の一つである。合計の出資比率が50%以上となる10以上の国が国内手続きを終えるとしていた設立協定が発効条件を満たす。日本とアメリカはまだ参加していない。 その議決権の85%は出資比率に応じ、12%は全加盟国に、3%は創設メンバーに分配されている。そして。中国は30%近い議決権を保有している。最重要議案の採決には75%の賛成が必要なため、中国が拒否権を持っているということになる。参加国の多くが「世界を席巻する潤沢なチャイナマネー」目当てに参加したと言っても過言ではない。投資は金額が巨大であり、建設期間もリターン回収にも時間がかかるため、民間投資はほとんど集まりにくい。そのためAIIBのような開発金融機関が必要になる。
AIIBの歴史 中華人民共和国が2013年秋に提唱し、主導する形で発足した。2015年12月25日に発足し、2016年1月16日に開業式典を行った。 第2次世界大戦のあと、アメリカはブレトンウッズ体制という世界経済秩序を形成し、当時はヨーロッパも戦争の影響で焼け野原と化しており、アメリカの経済力は世界でも圧倒的であった。そのためアメリカ主導の、アメリカにとって有利な国際経済秩序が形成された。ブレトンウッズ体制を維持するために作られたIMFは、議決においてアメリカのみが拒否権を保有している。そこから、中国が世界の名目GDPの12%を占めるほどに成長している。中国は国際金融舞台でのプレゼンスを高めるためにIMFやADBにおける議決権構成の変更を求めるが、アメリカ(と日本)がこれを拒否し、発言権もなく改革も進まない状況に不満を持った中国は、「アメリカの作った国際経済圏の影響の及ばない領域の形成」という野心を持ち、AIIBが形成された。
AIIBの現在 2019年の加盟国の動向としては、8月までに、ベルギー、ギニア、セルビア、ギリシャの域外4ヵ国が出資払込み手続きを終えたことにより、正式加盟国・地域の数は合計で74になった。さらに同年7月の年次総会において、ベナン、ジブチ、ルワンダの域外3カ国の加盟が承認され、AIIBが承認した国・地域の数は、出資払込み手続き中の国・地域 26と合わせて100に達した。 2019年12月、インドネシア政府が、今後予定している「新首都建設」の資金調達について、旧来の国際開発金融機関よりも小規模かつ融通がききやすいとされるAIIBからの調達を念頭に置いている。
日本が参加しない理由 中国は、日本が長年ADBを通じてアジアを開発してきたノウハウを必要としているため、日本とアメリカのAIIBへの参加を求めている。しかし、参加しない要因には、アメリカへの気遣いや不透明なガバナンスが挙げられる。 まず、中国が設立メンバーの締め切りを2015年3月末とし、各国に参加を募った時、アメリカは日本やヨーロッパの同盟国に参加拒否するように圧力をかけた。しかし、アメリカの意に反して3月12日にイギリス外務省が参加を表明した。それに続くかのように3月16日にフランス・ドイツ・イタリアも参加を表明したとき、同盟国の裏切りにアメリカは激怒した。日本が参加を決めきれない理由には同盟国であるアメリカへの配慮がある。 また、AIIBという機関そのものの信頼を疑う声もあり、AIIBのような国際開発金融機関には、開発の過程において、近隣の人々や環境への不当な害を減らすためにセーフガード政策を行う責任があるが、環境や人々に配慮をすれば手続きが煩雑になり、時間もコストもかかる。また、コストがかかるという理由からAIIBは常駐理事会を置いていない。常駐理事会がないということは中国当局の裁量で意思決定が行われる可能性が十分に考えられる。またAIIBの活動は、共産党の言論統制を受ける。つまり、報告書はすべて当局の検閲の対象になる。 その2点により、日本はAIIBに参加しないと考えられる。
参考:Digima