フェアユース3
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2020年1月31日 (金) 09:03の版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) (フェアユース3) ← 前の差分へ |
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「フェアユース」とは「およそ『公正』と考えられる著作物の使用に対して著作権の制限を認め、これに該当するか否かを裁判所の判断に委ねる」というアメリカ合衆国などで認められている規定である。実際米国では著作物に対して、解説、批評、研究、教育、ニュース報道分野での使用はフェアユースとされている。(実際は裁判所がそれぞれのケースに基づいて、フェアユースかどうかを判断する。) | 「フェアユース」とは「およそ『公正』と考えられる著作物の使用に対して著作権の制限を認め、これに該当するか否かを裁判所の判断に委ねる」というアメリカ合衆国などで認められている規定である。実際米国では著作物に対して、解説、批評、研究、教育、ニュース報道分野での使用はフェアユースとされている。(実際は裁判所がそれぞれのケースに基づいて、フェアユースかどうかを判断する。) | ||
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3.弁護士ドットコムニュース 「グーグルを救った『フェアユース』日本の著作権法にも導入すべきか」 https://www.bengo4-com.cdn.ampproject.org | 3.弁護士ドットコムニュース 「グーグルを救った『フェアユース』日本の著作権法にも導入すべきか」 https://www.bengo4-com.cdn.ampproject.org | ||
2020年1月29日閲覧 | 2020年1月29日閲覧 | ||
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+ | 編集者 新川 |
最新版
【フェアユースとは】 「フェアユース」とは「およそ『公正』と考えられる著作物の使用に対して著作権の制限を認め、これに該当するか否かを裁判所の判断に委ねる」というアメリカ合衆国などで認められている規定である。実際米国では著作物に対して、解説、批評、研究、教育、ニュース報道分野での使用はフェアユースとされている。(実際は裁判所がそれぞれのケースに基づいて、フェアユースかどうかを判断する。)
【成立の背景】
そもそもフェアユースの法理は英国法を継承したものであった。 英国においては、1710年に最初の著作権法であるアン法が制定されたが、それは権利制限規定を定めていなかった。1741年のジールズ判決において、「公正な要約」(fair abridgement)は著作権者の許諾がなくても著作権侵害ではないと判断された。この判断法理が一般法理へと広がっていったのがフェアユースの始まりである。 米国のフェアユースの法理は、マサチューセッツ地区連邦巡回裁判所が1841年に下したフォーサム判決(ジョージ・ワシントンの私信が伝記に無断転載されたことが著作権侵害に問われた事件)で確立され、判例法上発展してきた。1796年、米著作権法107条に、一般的な権利制限として「フェアユース」が条文化され、規定されている。どちらも根底にあるのは、フェアユースを認めなければ物事が円滑に進まないということである。個別の制限規定を一つ一つ定めている場合、新しい事例が出てきた際には判断ができないし、また、その判断基準を作ろうにも立法には時間がかかる。また、新しい事業が生まれないという問題もある。例えばフェアユースの恩恵を受けたものの一つに、Googleがある。Googleはもともと検索エンジンとして登場した。当時日本初の検索エンジンもあったが、日本ではフェアユースがなかったためにGoogleに後れを取ってしまった。検索エンジンとはインターネット上の情報を集めて整理し、キーワードで検索したときにそれにマッチしたウェブページを表示するものである。そして、検索のためのデータベースを作るために、対象となるウェブページの全文を複製(コピー)する必要がある。この際、アメリカの場合はフェアユースがあった為、著作者の許諾を取らずに複製を行えたが、フェアユースがない日本では対象のウェブページの権利者に対して、いちいち許諾を求めなければならなかった。しかしなかなか許諾が得られず、検索できるウェブページが少なくなってしまった。このようにフェアユースがあることによってこれまでできなかった新たな事業が生まれる可能性が増えてくる。新たな事業の進出をふさがないためにフェアユースの概念が生まれた。
【フェアユースが必要とされる理由】
現在フェアユースが必要とされる理由は大きく分けて2つある。1つ目は立法が完全ではないものであるという点。つまり、個別の制限規定に該当しない利用行為であっても、社会的に公正な利用行為であり許容されるべきと認知されるものは存在する。技術が進展し、著作物の利用形態も様々となっている今日では、権利制限すべき利用形態を一つ一つ法律で定義することは困難である。ガチガチに用件を固めた個別規定ではカバーできない範囲が存在するため、一般的・包括的な規定が望まれている。 2つ目は立法では時代の変化に対応できないという点。これまで日本では、時代の変化により個別の権利制限規定が不十分となれば、その都度立法手続きがされてきた。しかし、立法には相当の時間がかかる故、問題が露見してからそれが法律でカバーされるには一定の期間が空いてしまう。そして現状の法律では司法の解釈による裁量範囲は狭いため、その期間中に露見した本来白と判断されるべき問題が黒と判断されてしまいかねない。この期間中に司法で最終判断までされることは少ないかもしれないが、この問題の本質は、立法でカバーされるまでは法的リスクが高いため事業の萎縮が起こってしまうことである。つまりは事業がグレーの範囲にあった場合、その挑戦に消極的なり、日本の技術の遅れにつながりかねないということである。また、厳しい要件が課される個別の制限規定では、時代の変化に追いつけず立法された瞬間に時代遅れになってしまいかねないという懸念もある。 反対にフェアユースを導入に反対する立場は、フェアユース導入のデメリットの1つとして予見性の低さを挙げる。フェアユースは厳密な要件を法定化せずに、判断指針のみを設けて司法の判断に委ねるものであるため、事前にある事例がフェアユースに当たるのか判断しにくいという問題がある。 またフェアユースが導入されたとして、日本企業がそれを使いこなせないのではないかという意見もある。結局明確な判断基準がないグレーゾーンにおいて、リスクをとるのは難しいのではないかという意見である。
【日本の現状】
日本でも、フェアユースがないために大きなビジネスチャンスを逃してしまわないようにするべく、一定の包括的な考慮要件を定めたうえで、権利制限に該当するか否かを裁判所の判断に委ねる一般的権利制限規定(いわゆる日本版フェアユース)導入することが検討されてきた。2012年の著作権改正法において「権利制限の一般規定」導入が議論された。しかし一般規定のように包括的な考慮要素を定める方式は、柔軟性を増す反面、予測可能性が提言する。そのため権利者からは、「違法行為が増加することが懸念され、訴訟コストの増加も含め、権利者の負担が増加するのではないか。」という反対があった。また、「判例が少ない分、権利制限の一般利用を導入すれば混乱が生ずるのではないか。」という指摘もあった。そこで同小委員会においては、「具体的にどのような利用行為を権利制限の対象にするのかにつき、ある程度想定した上で、権利制限の一般規定の在り方を考える」 こととなり、①著作物の付随的な利用、②適法利用の過程における著作物の利用、③著作物の表現を享受しない利用の3つの利用類型を想定した権利制限の一般規定の導入することで議論がまとまった。しかし、残念ながら2012年の著作権法改正は、いわゆる「写りこみ」など、少数の個別規定の導入にとどまり、迅速かつ柔軟に対応できる権利制限規定の導入には至らなかった。 ところが、2017年2月にニーズWTや小委員会の結論を経て、当初の提案どおり、柔軟な権利制限規定の導入が必要との取りまとめが再びなされた。そして、2018年5月28日に、著作権法改正法が成立し、現在に至っている。この法改正ではAI等の分野におけるイノベーションの促進を支えるなど、以前の法改正よりもさらにフェアユースが及ぶ範囲を広げている。米国のフェアユース規定のような一般性の高い規定ではないが、明確性と柔軟性のバランスの取れた規定となっている。しかし、まだ法改正に至っていない、積み残された課題も存在し、また技術や社会は急速に発展していくため、将来に向け、著作権法がどうあるべきかを引き続き丁寧に議論していくことが大切になっている。
【引用文献】 1.山本隆司・奥邨弘司 『フェアユースの考え方』 太田出版 2010年 P7,23~25 参照 2.Yahoo!JAPAN政策企画 「著作権法改正-『柔軟な権利制限規定』導入の経緯-」https://publicpolicy.yahoo.co.jp 2020年1月29日閲覧 3.弁護士ドットコムニュース 「グーグルを救った『フェアユース』日本の著作権法にも導入すべきか」 https://www.bengo4-com.cdn.ampproject.org 2020年1月29日閲覧
編集者 新川