アメリカ 摂食障害

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-'''摂食障害とは'''+'''<摂食障害とは>'''
摂食障害とは精神疾患の一種である。摂食障害は大きく拒食症と過食症に分類される。 摂食障害とは精神疾患の一種である。摂食障害は大きく拒食症と過食症に分類される。
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-・拒食症(神経性無食欲症)は、体重が増えることを極端に恐れるあまり、食事の摂取を拒み、体重の大幅な減少を特徴とする。自分がひどく痩せているにもかかわらず、太りすぎていると思い込んでしまう。痩せすぎた自分の体を鏡で見ても「まだまだ痩せられる」と思うばかりであり、体重が低すぎるとは考えない。+・拒食症(神経性無食欲症)
-・過食症(神経性大食欲症)は、抵抗できない衝動によって過食し、その後は不安になって無理やり嘔吐したり、下剤の服用や絶食をして代償行為を行う。過食症という名称から誤解されやすいが、過食症の人の大半は嘔吐や後の絶食・ダイエットなどで体重を保っているため、必ずしも太っているわけではない。+体重が増えることを極端に恐れるあまり、食事の摂取を拒み、しまいには体が食べ物を受け付けなくなる。体重の大幅な減少を特徴とし、他に抑うつ症状、睡眠障害、自傷行為、低血圧、便秘(腹痛)、低カリウム血症(電解質異常)、骨粗鬆症などの症状を引き起こす。自分がひどく痩せているにもかかわらず、太りすぎていると思い込んでしまう。痩せすぎた自分の体を鏡で見ても「まだまだ痩せられる」と思うばかりであり、体重が低すぎるとは考えない。
 +・過食症(神経性大食欲症)
-'''アメリカの摂食障害'''+抵抗できない衝動によって過食し、その後は不安になって無理やり嘔吐したり、下剤の服用や絶食をして代償行為を行う。代償行為を行わないものはむちゃ食い障害という。過食症という名称から誤解されやすいが、過食症の人の大半は嘔吐や後の絶食・ダイエットなどで体重を保っているため、必ずしも太っているわけではない。過食症は最悪の場合、自己嫌悪により自殺をすることもあり、その確率は拒食症よりも高い。また拒食症よりも周囲に気付かれにくい。
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 +'''<アメリカの摂食障害>'''
アメリカは肥満大国と言われている。ファーストフードの発達や糖分摂取量の過多、成人1人あたりのカロリー摂取量が通常の倍ほどあることなど、アメリカ社会では太る条件がそろいすぎている。その中で、実際太らないように生活していくことは大変なことであり、その意気込みや努力が逆効果となり、極端なダイエットなどに走って摂食障害を引き起こす人が跡を絶たない。 アメリカは肥満大国と言われている。ファーストフードの発達や糖分摂取量の過多、成人1人あたりのカロリー摂取量が通常の倍ほどあることなど、アメリカ社会では太る条件がそろいすぎている。その中で、実際太らないように生活していくことは大変なことであり、その意気込みや努力が逆効果となり、極端なダイエットなどに走って摂食障害を引き起こす人が跡を絶たない。
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アメリカには摂食障害を持つ女性が500万人~100万人、男性がやく100万人いると推定される。また、年に5万人が摂食障害によって命を失っているという。日本でも摂食障害の患者は少しずつ増えているが、厚生省(厚生労働省)の2000年度の調査では10万人に0.6人と、アメリカよりもはるかに少ない。 アメリカには摂食障害を持つ女性が500万人~100万人、男性がやく100万人いると推定される。また、年に5万人が摂食障害によって命を失っているという。日本でも摂食障害の患者は少しずつ増えているが、厚生省(厚生労働省)の2000年度の調査では10万人に0.6人と、アメリカよりもはるかに少ない。
-若い女性の多い大学キャンパスには、摂食障害患者があふれている。1998年2月、全米600校以上の大学キャンパスで接触障害の診断プログラムが行われた。約26000人の学生が質問票に回答し、その結果4700人が摂食障害と診断され、治療を受けるようにすすめられている。 
-その約2年前の1996年の春、アメリカ東部ノースイースタン大学の女性寮で、サンドウィッチを入れるビニール袋が何百枚も消えるという奇妙な事件が起こった。寮の責任者が調査したところ、女子大生が吐いたものを入れるのに使ったビニール袋が地下のトイレから次々に出てきた。さらに調べてみると、驚いたことに学生たちの流した大量の胃酸によって下水道が腐食し、すぐにでも取り替えなければならない状態になっていたという。45人の女子学生たちのほとんどは食べる量を減らそうと一生懸命になりすぎ、少し食べただけでも「太るのでは」という恐怖感に襲われ、毎日のように食べた物を吐き出していたのだ。+・摂食障害は女子大生に多い
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 +若い女性の多い大学キャンパスには、摂食障害患者があふれている。1998年2月、全米600校以上の大学キャンパスで接触障害の診断プログラムが行われた。約26000人の学生が質問票に回答し、その結果4700人が摂食障害と診断され、治療を受けるようにすすめられている。
1998年の秋に全米の女子大生を対象に行った調査では、半数以上が「摂食障害を持つ学友を少なくとも2人以上は知っている」と答え、また大学の健康管理担当者への質問では約70%が「摂食障害はキャンパスに広がってる」と回答している。 1998年の秋に全米の女子大生を対象に行った調査では、半数以上が「摂食障害を持つ学友を少なくとも2人以上は知っている」と答え、また大学の健康管理担当者への質問では約70%が「摂食障害はキャンパスに広がってる」と回答している。
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 +その約2年前の1996年の春、アメリカ東部ノースイースタン大学の女性寮で、サンドウィッチを入れるビニール袋が何百枚も消えるという奇妙な事件が起こった。寮の責任者が調査したところ、女子大生が吐いたものを入れるのに使ったビニール袋が地下のトイレから次々に出てきた。さらに調べてみると、驚いたことに学生たちの流した大量の胃酸によって下水道が腐食し、すぐにでも取り替えなければならない状態になっていたという。45人の女子学生たちのほとんどは食べる量を減らそうと一生懸命になりすぎ、少し食べただけでも「太るのでは」という恐怖感に襲われ、毎日のように食べた物を吐き出していたのだ。
ペンシルべニア州の大学に通っていたハニカットさんは拒食症で体重の約30%を失って危険な状態に陥り、緊急入院させられた。51.8kgあった体重が36kgにまで減り、洋服を買うときは子どもサイズののものを選んでいた。餓死寸前だった彼女の手足は棒きれのように細くなり、生理は4か月以上も止まったままだった。顔には老人のようなしわができ、まるで幽霊のようだったという。 ペンシルべニア州の大学に通っていたハニカットさんは拒食症で体重の約30%を失って危険な状態に陥り、緊急入院させられた。51.8kgあった体重が36kgにまで減り、洋服を買うときは子どもサイズののものを選んでいた。餓死寸前だった彼女の手足は棒きれのように細くなり、生理は4か月以上も止まったままだった。顔には老人のようなしわができ、まるで幽霊のようだったという。
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 +'''<カレン・カーペンターと拒食症>'''
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 +アメリカのカレン・カーペンターは、兄と2人でカーペンターズを結成し、Yesterday Once More など数々のヒット曲を出した。グラミー賞を3度受賞するなど1970年代を代表する歌手にまでなったものの、拒食症に苦しみ、1983年に32歳の若さで亡くなった。
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 +彼女の死亡が伝えられる前は、拒食症や過食症などの摂食障害は世間的にはほとんど知られていなかった。しかしカレンの死は全米に衝撃をもたらし、一般の人にも摂食障害が広く知られるようになり、専門の病院も設立されるようになった。
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 +彼女はもともとふっくらしたティーンエージャーだったが、16歳頃水ダイエット(1日2リットル程水を飲むことにより、基礎代謝の向上など体質改善方法をはかるダイエット法)で10kg近く痩せた。その後兄と音楽グループを結成し、1970年代前半には、Close to You、スーパースターなど数々のメガヒット曲をとばし、一躍人気歌手になった。
 +1974年にはホワイトハウスに招待されて演奏を披露するなど、彼女の音楽活動はこの頃絶頂となるものの、甲状腺ホルモン錠剤(代謝を亢進させ、体重を減少させる作用を有す)や下剤などを大量使用していて、拒食症が進んでいた。
 +1975年には体調不良が元でヨーロッパ・ツアーがキャンセルされるなど、彼女の健康状態は悪化していった。そしてとうとうラスベガスでのコンサート中、Top of the World を歌っている最中に倒れてしまった。その頃の体重は、わずか37,8kgだった。
 +この事件を契機に、彼女は深刻な健康問題を抱えていることを悟り、医師やカウンセラーを訪れるようになった。
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 +以後音楽の方も徐々にヒットが少なくなっていき、1982年には離婚したがその頃には、体重も7~8kg増加していて、拒食症は克服したものと思われていた。
 +しかし長年の栄養不足、過剰な下剤の使用、睡眠不足などがもとで心臓がすっかり弱ってしまい、1983年にカリファルニアの両親の家を訪れていた最中に心臓発作を起こして亡くなった。彼女の死は社会に衝撃を与え、拒食症などの摂食障害が社会的に認知されるきっかけとなった。
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 +<参考>
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 +アメリカ病
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 +http://www.runner.ne.jp/faq5.htm
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 +http://maruta.be/kyosyokusyo
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 +http://www.setusyokuguide.com/sesyokusyogai/syuruisyojyo.html
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 +http://allabout.co.jp/health/mentalillness/closeup/CU20040210A/

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<摂食障害とは>

摂食障害とは精神疾患の一種である。摂食障害は大きく拒食症と過食症に分類される。

患者の極端な食事制限や過度の食事の摂取に伴い、それによって患者の健康に様々な問題が引き起こされる。摂食障害は一般的に体重・容姿への強いこだわりを持ち、異常な食行動に没頭している状態を指す。太ることに対して病的な恐怖感を持っている。

摂食障害は恐ろしい病気であり、体は飢餓的状で血圧が低下し、呼吸が遅くなり、ケミカルアンバランス(化学的不均衡)で心臓発作を起こす人もいる。また栄養失調でカルシウムや鉄分が不足して骨がもろくなる。摂食障害の死亡率は5~20%と極めて高い。

摂食障害は治療を受け、一度治ったとしてもその3分の1は後で再発すると言われており、その後も再発防止のカウンセリングを受け続けなければならない。たとえ摂食障害が再発しなくても、後遺症がずっと残る可能性がある。拒食症の女性患者の約9割は骨がもろく折れやすくなる骨粗鬆症の兆候が見られ、また過食症による胃酸過多で舌や食道、歯のエナメル質などにダメージを受け、簡単には元に戻らない。


・拒食症(神経性無食欲症)

体重が増えることを極端に恐れるあまり、食事の摂取を拒み、しまいには体が食べ物を受け付けなくなる。体重の大幅な減少を特徴とし、他に抑うつ症状、睡眠障害、自傷行為、低血圧、便秘(腹痛)、低カリウム血症(電解質異常)、骨粗鬆症などの症状を引き起こす。自分がひどく痩せているにもかかわらず、太りすぎていると思い込んでしまう。痩せすぎた自分の体を鏡で見ても「まだまだ痩せられる」と思うばかりであり、体重が低すぎるとは考えない。

・過食症(神経性大食欲症)

抵抗できない衝動によって過食し、その後は不安になって無理やり嘔吐したり、下剤の服用や絶食をして代償行為を行う。代償行為を行わないものはむちゃ食い障害という。過食症という名称から誤解されやすいが、過食症の人の大半は嘔吐や後の絶食・ダイエットなどで体重を保っているため、必ずしも太っているわけではない。過食症は最悪の場合、自己嫌悪により自殺をすることもあり、その確率は拒食症よりも高い。また拒食症よりも周囲に気付かれにくい。


<アメリカの摂食障害>

アメリカは肥満大国と言われている。ファーストフードの発達や糖分摂取量の過多、成人1人あたりのカロリー摂取量が通常の倍ほどあることなど、アメリカ社会では太る条件がそろいすぎている。その中で、実際太らないように生活していくことは大変なことであり、その意気込みや努力が逆効果となり、極端なダイエットなどに走って摂食障害を引き起こす人が跡を絶たない。

アメリカには摂食障害を持つ女性が500万人~100万人、男性がやく100万人いると推定される。また、年に5万人が摂食障害によって命を失っているという。日本でも摂食障害の患者は少しずつ増えているが、厚生省(厚生労働省)の2000年度の調査では10万人に0.6人と、アメリカよりもはるかに少ない。


・摂食障害は女子大生に多い

若い女性の多い大学キャンパスには、摂食障害患者があふれている。1998年2月、全米600校以上の大学キャンパスで接触障害の診断プログラムが行われた。約26000人の学生が質問票に回答し、その結果4700人が摂食障害と診断され、治療を受けるようにすすめられている。

1998年の秋に全米の女子大生を対象に行った調査では、半数以上が「摂食障害を持つ学友を少なくとも2人以上は知っている」と答え、また大学の健康管理担当者への質問では約70%が「摂食障害はキャンパスに広がってる」と回答している。

その約2年前の1996年の春、アメリカ東部ノースイースタン大学の女性寮で、サンドウィッチを入れるビニール袋が何百枚も消えるという奇妙な事件が起こった。寮の責任者が調査したところ、女子大生が吐いたものを入れるのに使ったビニール袋が地下のトイレから次々に出てきた。さらに調べてみると、驚いたことに学生たちの流した大量の胃酸によって下水道が腐食し、すぐにでも取り替えなければならない状態になっていたという。45人の女子学生たちのほとんどは食べる量を減らそうと一生懸命になりすぎ、少し食べただけでも「太るのでは」という恐怖感に襲われ、毎日のように食べた物を吐き出していたのだ。


ペンシルべニア州の大学に通っていたハニカットさんは拒食症で体重の約30%を失って危険な状態に陥り、緊急入院させられた。51.8kgあった体重が36kgにまで減り、洋服を買うときは子どもサイズののものを選んでいた。餓死寸前だった彼女の手足は棒きれのように細くなり、生理は4か月以上も止まったままだった。顔には老人のようなしわができ、まるで幽霊のようだったという。


<カレン・カーペンターと拒食症>

アメリカのカレン・カーペンターは、兄と2人でカーペンターズを結成し、Yesterday Once More など数々のヒット曲を出した。グラミー賞を3度受賞するなど1970年代を代表する歌手にまでなったものの、拒食症に苦しみ、1983年に32歳の若さで亡くなった。

彼女の死亡が伝えられる前は、拒食症や過食症などの摂食障害は世間的にはほとんど知られていなかった。しかしカレンの死は全米に衝撃をもたらし、一般の人にも摂食障害が広く知られるようになり、専門の病院も設立されるようになった。

彼女はもともとふっくらしたティーンエージャーだったが、16歳頃水ダイエット(1日2リットル程水を飲むことにより、基礎代謝の向上など体質改善方法をはかるダイエット法)で10kg近く痩せた。その後兄と音楽グループを結成し、1970年代前半には、Close to You、スーパースターなど数々のメガヒット曲をとばし、一躍人気歌手になった。 1974年にはホワイトハウスに招待されて演奏を披露するなど、彼女の音楽活動はこの頃絶頂となるものの、甲状腺ホルモン錠剤(代謝を亢進させ、体重を減少させる作用を有す)や下剤などを大量使用していて、拒食症が進んでいた。 1975年には体調不良が元でヨーロッパ・ツアーがキャンセルされるなど、彼女の健康状態は悪化していった。そしてとうとうラスベガスでのコンサート中、Top of the World を歌っている最中に倒れてしまった。その頃の体重は、わずか37,8kgだった。 この事件を契機に、彼女は深刻な健康問題を抱えていることを悟り、医師やカウンセラーを訪れるようになった。

以後音楽の方も徐々にヒットが少なくなっていき、1982年には離婚したがその頃には、体重も7~8kg増加していて、拒食症は克服したものと思われていた。 しかし長年の栄養不足、過剰な下剤の使用、睡眠不足などがもとで心臓がすっかり弱ってしまい、1983年にカリファルニアの両親の家を訪れていた最中に心臓発作を起こして亡くなった。彼女の死は社会に衝撃を与え、拒食症などの摂食障害が社会的に認知されるきっかけとなった。


<参考>

アメリカ病

http://www.runner.ne.jp/faq5.htm

http://maruta.be/kyosyokusyo

http://www.setusyokuguide.com/sesyokusyogai/syuruisyojyo.html

http://allabout.co.jp/health/mentalillness/closeup/CU20040210A/


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