二院制
出典: Jinkawiki
2008年12月28日 (日) 18:15の版 Bunkyo-student2008 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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- | ●二院制 | + | 議会が二つの合議体からなる複合機関である場合に、これを二院制という。二院制は各国に普及したが、その形態と運用は各国の歴史的、政治的、社会的諸条件によって規定されさまざまである。何にしろ、双方違った方法で選出されて構成される議院が存在することによって、様々な角度からの意見が反映されていくことでより深い議論が出来るというものである。また「議会の多数派による専制の阻止」「どちらかの議院が存在する安定した議会政治」といった効果も生み出す。 |
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+ | == 二院制の形態とその存在理由 == | ||
- | 議会が二つの合議体からなる複合機関である場合に、これを二院制という。二院制は各国に普及したが、その形態と運用は各国の歴史的、政治的、社会的諸条件によって規定されさまざまである。 | ||
二院制の形態は、上院の構成の相違によって、次のように分類される。 | 二院制の形態は、上院の構成の相違によって、次のように分類される。 | ||
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①貴族院型 非公選の貴族や僧侶などで上院を組織する制度(イギリス、明治憲法下の日本) | ①貴族院型 非公選の貴族や僧侶などで上院を組織する制度(イギリス、明治憲法下の日本) | ||
- | ②連邦代表型 | + | |
+ | ②連邦代表型 連邦を構成する州の代表者で上院を組織する制度(アメリカ合衆国、ドイツ、オーストラリア) | ||
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+ | ③民選議員型 下院と同じく公選された議員で上院を組織する制度(現在の日本、ベルギー、イタリア) | ||
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+ | 国民の意思は、全国民から選挙された議員から構成される国会に反映される。そうすると、国民の意思を決定するには、一つの議会が存在すれば十分で、二つの議院に分ける意味がないとも思われる。 | ||
+ | しかし、二院制には、以下のような存在理由がある。 | ||
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+ | (1)議会の専制の防止 | ||
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+ | (2)民意の忠実な反映 | ||
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+ | (3)下院と政府の衝突の緩和 | ||
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+ | (4)下院の軽率な行動の抑制 | ||
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+ | このように、議会を二つに分けることは意味がないとはいえず、むしろ積極的な意義を見出すことができる。 | ||
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+ | == わが国の二院制 == | ||
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+ | 日本国憲法は、憲法第42条により、衆議院と参議院からなる二院制を採用していることは明らかであり、両院ともに公選による議員で組織される民主的第二次院型である。衆議院議員の定数は480人(小選挙区選出300人、比例選挙区選出180人)、参議院議員の定数は242人(比例代表選出96人、選挙区選出146人)とされている。衆議院議員の任期は4年である。しかし、解散した場合には任期満了前でも任期は終了する。参議院議員の任期は6年で、3年ごとに議員の半数が改選される。両議院の議員及び選挙人の資格、即ち被選挙権と選挙権については、選挙権は、日本国民で年齢満20年以上の者に付与され、被選挙権は衆議院議員については満25年以上の者、参議院議員については満30年以上の者としている。 | ||
+ | 衆議院と参議院は、それぞれ同時に独立して活動して活動し、独立して意思決定を行う。例外として両院協議会と合同審査会が開かれることがある。 | ||
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+ | もっとも、わが国の両院制は、多くの事項につき衆議院の優越を認めている。なぜなら任期が短く、解散制度のある衆議院のほうが民意を反映した議員であり、国政の円滑な運用を図る必要があるからである。 | ||
+ | 法律案は、衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした場合、衆議院の出席議員の3分の2以上で再び可決すれば法津となり、予算・条約・内閣総理大臣の指名について、両院協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が一定期間(予算・条約については休会の期間除いて30日、内閣総理大臣の指名につては、休会の期間を除いて10日)内に議決しないときは、衆議院の意思だけで国会の意見が成立する可能性が認められている。また、予算は、衆議院先議とされ、内閣に対する信任、不信任の決議権は、衆議院のみがもっている。 | ||
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+ | == 参考文献 == | ||
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+ | 『誰でもわかる憲法入門』戸田泉著、エクスメディア、2007年 | ||
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+ | 『新・国会事典』浅野一郎・河野久編著、有斐閣、2008年 | ||
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最新版
議会が二つの合議体からなる複合機関である場合に、これを二院制という。二院制は各国に普及したが、その形態と運用は各国の歴史的、政治的、社会的諸条件によって規定されさまざまである。何にしろ、双方違った方法で選出されて構成される議院が存在することによって、様々な角度からの意見が反映されていくことでより深い議論が出来るというものである。また「議会の多数派による専制の阻止」「どちらかの議院が存在する安定した議会政治」といった効果も生み出す。
二院制の形態とその存在理由
二院制の形態は、上院の構成の相違によって、次のように分類される。
①貴族院型 非公選の貴族や僧侶などで上院を組織する制度(イギリス、明治憲法下の日本)
②連邦代表型 連邦を構成する州の代表者で上院を組織する制度(アメリカ合衆国、ドイツ、オーストラリア)
③民選議員型 下院と同じく公選された議員で上院を組織する制度(現在の日本、ベルギー、イタリア)
国民の意思は、全国民から選挙された議員から構成される国会に反映される。そうすると、国民の意思を決定するには、一つの議会が存在すれば十分で、二つの議院に分ける意味がないとも思われる。 しかし、二院制には、以下のような存在理由がある。
(1)議会の専制の防止
(2)民意の忠実な反映
(3)下院と政府の衝突の緩和
(4)下院の軽率な行動の抑制
このように、議会を二つに分けることは意味がないとはいえず、むしろ積極的な意義を見出すことができる。
わが国の二院制
日本国憲法は、憲法第42条により、衆議院と参議院からなる二院制を採用していることは明らかであり、両院ともに公選による議員で組織される民主的第二次院型である。衆議院議員の定数は480人(小選挙区選出300人、比例選挙区選出180人)、参議院議員の定数は242人(比例代表選出96人、選挙区選出146人)とされている。衆議院議員の任期は4年である。しかし、解散した場合には任期満了前でも任期は終了する。参議院議員の任期は6年で、3年ごとに議員の半数が改選される。両議院の議員及び選挙人の資格、即ち被選挙権と選挙権については、選挙権は、日本国民で年齢満20年以上の者に付与され、被選挙権は衆議院議員については満25年以上の者、参議院議員については満30年以上の者としている。 衆議院と参議院は、それぞれ同時に独立して活動して活動し、独立して意思決定を行う。例外として両院協議会と合同審査会が開かれることがある。
もっとも、わが国の両院制は、多くの事項につき衆議院の優越を認めている。なぜなら任期が短く、解散制度のある衆議院のほうが民意を反映した議員であり、国政の円滑な運用を図る必要があるからである。 法律案は、衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした場合、衆議院の出席議員の3分の2以上で再び可決すれば法津となり、予算・条約・内閣総理大臣の指名について、両院協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が一定期間(予算・条約については休会の期間除いて30日、内閣総理大臣の指名につては、休会の期間を除いて10日)内に議決しないときは、衆議院の意思だけで国会の意見が成立する可能性が認められている。また、予算は、衆議院先議とされ、内閣に対する信任、不信任の決議権は、衆議院のみがもっている。
参考文献
『誰でもわかる憲法入門』戸田泉著、エクスメディア、2007年
『新・国会事典』浅野一郎・河野久編著、有斐閣、2008年