国政調査権
出典: Jinkawiki
2008年12月20日 (土) 11:23の版 Bunkyo-student2008 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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明治憲法には、憲法第62条に相当する規定はなかった。しかし、明治憲法の下でも議院に調査権はあると解されていた。もっとも、この調査権は、議院法によってさまざまな制約を受けており(旧議院法72条~75条)、全く実効性のない、名目的なものにすぎなかった。 | 明治憲法には、憲法第62条に相当する規定はなかった。しかし、明治憲法の下でも議院に調査権はあると解されていた。もっとも、この調査権は、議院法によってさまざまな制約を受けており(旧議院法72条~75条)、全く実効性のない、名目的なものにすぎなかった。 | ||
- | 憲法は、これに対し、国政調査権の行使のために、「証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」と規定したが、この規定は、その要求を受けた者がこれに応ずる義務があることを意味し、その義務違反に対しては、法律をもって適当な制裁を定めることが許される趣旨を示していると解されている。このように、日本国憲法の認める議院の調査権は、実効性を伴った本来の調査権である。 | + | 憲法は、これに対し、国政調査権の行使のために、「証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」と規定したが、この規定は、その要求を受けた者がこれに応ずる義務があることを意味し、その義務違反に対しては、法律をもって適当な制裁を定めることが許される趣旨を示していると解されている。このように、日本国憲法の認める議院の調査権は、実効性を伴った本来の調査権である。 この国政調査権は憲法と他の条項によって国家・議員に与えられた諸機能を有効適切に行使させるために認められた補助的機能であるとする説(補助的機能説)が通説となっている。 |
- | 参考文献 『新・国会事典』浅野一郎・河野久編著,有斐閣,2008年 | + | == 国政調査権の範囲と限界 == |
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+ | 国政調査権は、議員に与えられた権限有効、適切に行使するために認められた補助的機能であるから、その目的は、立法、予算審議、行政監督、議員の自律権に関する事項など、議員がもっている機能を実効的に行使するためのものでなければならない。 | ||
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+ | 調査の対象・方法についても権力分立と人権尊重の原則から次のような制約が考えられる。 | ||
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+ | ①司法権との関係 | ||
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+ | 議院は司法に関する立法や予算の審議等のため、必要があると認められるときは、判決や裁判手続きなどについても国勢調査の対象とすることができる。しかし、司法権の独立を侵すような調査は認められていない。 | ||
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+ | ②行政権(検察権)との関係 | ||
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+ | 検察事務は、行政権の作用であるから国政調査権の対象となるが、検察作用は、裁判と密接にかかわる準司法的作用として、司法権独立のための一定の限界が認められている。 | ||
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+ | == 参考文献== | ||
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+ | 『新・国会事典』浅野一郎・河野久編著,有斐閣,2008年 | ||
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+ | 『誰でもわかる憲法入門』戸田泉著,エクスメディア,2007年 |
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憲法は「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」(62条)と規定し、議院に「国政調査権」を認めている。これは、議院がその機能を行使するために必要な情報・事実を獲得するために、また、それを通じて国民の知る権利に応えるために認められた権利である。
明治憲法には、憲法第62条に相当する規定はなかった。しかし、明治憲法の下でも議院に調査権はあると解されていた。もっとも、この調査権は、議院法によってさまざまな制約を受けており(旧議院法72条~75条)、全く実効性のない、名目的なものにすぎなかった。
憲法は、これに対し、国政調査権の行使のために、「証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」と規定したが、この規定は、その要求を受けた者がこれに応ずる義務があることを意味し、その義務違反に対しては、法律をもって適当な制裁を定めることが許される趣旨を示していると解されている。このように、日本国憲法の認める議院の調査権は、実効性を伴った本来の調査権である。 この国政調査権は憲法と他の条項によって国家・議員に与えられた諸機能を有効適切に行使させるために認められた補助的機能であるとする説(補助的機能説)が通説となっている。
国政調査権の範囲と限界
国政調査権は、議員に与えられた権限有効、適切に行使するために認められた補助的機能であるから、その目的は、立法、予算審議、行政監督、議員の自律権に関する事項など、議員がもっている機能を実効的に行使するためのものでなければならない。
調査の対象・方法についても権力分立と人権尊重の原則から次のような制約が考えられる。
①司法権との関係
議院は司法に関する立法や予算の審議等のため、必要があると認められるときは、判決や裁判手続きなどについても国勢調査の対象とすることができる。しかし、司法権の独立を侵すような調査は認められていない。
②行政権(検察権)との関係
検察事務は、行政権の作用であるから国政調査権の対象となるが、検察作用は、裁判と密接にかかわる準司法的作用として、司法権独立のための一定の限界が認められている。
参考文献
『新・国会事典』浅野一郎・河野久編著,有斐閣,2008年
『誰でもわかる憲法入門』戸田泉著,エクスメディア,2007年