教育を受ける権利
出典: Jinkawiki
2008年12月22日 (月) 15:27の版 Bunkyo-student2008 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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- | 日本国憲法は26条で「すべての国民は、……その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」とし、国民に教育を受ける権利を保障した。「発達可能態」としての子どもには、もともと人格的に成長・発達する権利(発達権)があり、これを充足するためには子どもの学習権を保障しなくてはならない。また、将来、自律して行動できるような成人・主権者になるために教育が必要であり、子どもに教育を受ける権利を保障する必要性が出てくる。 | + | 教育を受ける権利は社会権の一つである。日本国憲法は26条は1項で「すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」、2項で「すべての国民は法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする」とし、国民に教育を受ける権利を保障した。 |
- | しかし、子どもの教育権は自ら行使するには限界がある。そこで第一義的には、子どもの権利に対して親など保護者・親権者・後見人が子どもを教育する義務を負い、同時に親などの教育権が保障されなければならない。ただし、先に見たように教育が私事であれば不平等な状態が生ずる。そこで、国民の教育権を保障するために親などに代わり国家が教育制度を整備することとなる(旧教育基本法10条。2006年からの新教育基本法16条では、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり」という文言を挿入することで、法律さえ制定すればその法律により国家及び地方公共団体が教育を統制しかねない仕組みに変えた)。この下で、専門職としての教師が親などから信託されて子どもの教育にあたると共に、教師の教育権を保障することとなった。 | + | == 教育を受ける権利と教育する義務== |
+ | 「発達可能態」としての子どもには、もともと人格的に成長・発達する権利(発達権)があり、これを充足するためには子どもの学習権を保障しなくてはならない。また、将来、自律して行動できるような成人・主権者になるために教育が必要であり、子どもに教育を受ける権利を保障する必要性が出てくる。 | ||
- | 参考文献 『わかりやすい憲法』緒方章宏編著,文化書房博文社,2008 | + | しかし、子どもの教育権は自ら行使するには限界がある。そこで第一義的には、子どもの権利に対して親など保護者・親権者・後見人が子どもを教育する義務を負い、同時に親などの教育権が保障されなければならない。ただし、教育が私事であれば不平等な状態が生ずる。そこで、国民の教育権を保障するために親などに代わり国家が教育制度を整備することとなる(旧教育基本法10条。2006年からの新教育基本法16条では、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり」という文言を挿入することで、法律さえ制定すればその法律により国家及び地方公共団体が教育を統制しかねない仕組みに変えた)。この下で、専門職としての教師が親などから信託されて子どもの教育にあたると共に、教師の教育権を保障することとなった。 |
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+ | == 教育基本法 == | ||
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+ | 親などの信託を受けて定められているのが、教育基本法や学校教育法などである。教育基本法は、教育の目的や方針などについて定めており、まさに教育の基本を定める法律である。国に対してすべきことや、してはならないことを義務ずけている点で、憲法に準じた性格を持つ。 | ||
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+ | 教育基本法は、社会の変化や子どもの学力低下などの教育問題に対応するため、平成18年に全面改正された。 | ||
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+ | == 参考文献== | ||
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+ | 『わかりやすい憲法』緒方章宏編著,文化書房博文社,2008 | ||
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+ | 『誰でもわかる憲法入門』戸田泉著,エクスメディア,2007 |
最新版
教育を受ける権利は社会権の一つである。日本国憲法は26条は1項で「すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」、2項で「すべての国民は法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする」とし、国民に教育を受ける権利を保障した。
教育を受ける権利と教育する義務
「発達可能態」としての子どもには、もともと人格的に成長・発達する権利(発達権)があり、これを充足するためには子どもの学習権を保障しなくてはならない。また、将来、自律して行動できるような成人・主権者になるために教育が必要であり、子どもに教育を受ける権利を保障する必要性が出てくる。
しかし、子どもの教育権は自ら行使するには限界がある。そこで第一義的には、子どもの権利に対して親など保護者・親権者・後見人が子どもを教育する義務を負い、同時に親などの教育権が保障されなければならない。ただし、教育が私事であれば不平等な状態が生ずる。そこで、国民の教育権を保障するために親などに代わり国家が教育制度を整備することとなる(旧教育基本法10条。2006年からの新教育基本法16条では、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり」という文言を挿入することで、法律さえ制定すればその法律により国家及び地方公共団体が教育を統制しかねない仕組みに変えた)。この下で、専門職としての教師が親などから信託されて子どもの教育にあたると共に、教師の教育権を保障することとなった。
教育基本法
親などの信託を受けて定められているのが、教育基本法や学校教育法などである。教育基本法は、教育の目的や方針などについて定めており、まさに教育の基本を定める法律である。国に対してすべきことや、してはならないことを義務ずけている点で、憲法に準じた性格を持つ。
教育基本法は、社会の変化や子どもの学力低下などの教育問題に対応するため、平成18年に全面改正された。
参考文献
『わかりやすい憲法』緒方章宏編著,文化書房博文社,2008
『誰でもわかる憲法入門』戸田泉著,エクスメディア,2007