予算

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- 予算とは、一会計年度のおける国の歳入歳出の見積もりを内容とする財政行為の準則をいう。憲法86条は、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」と規定し、財政民主主義の観点から、予算による財政チェックを要請している。予算の作成・提出権は内閣に専属し(73条5号)、国会の議決にあたっては衆議院先議のほか、衆議院の優越も認められている(60条)+ 予算とは、一会計年度のおける国の歳入歳出の見積もりを内容とする財政行為の準則をいう。憲法86条は、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」と規定し、財政民主主義の観点から、予算による財政チェックを要請している。予算の作成・提出権は内閣に専属し(73条5号)、国会の議決にあたっては衆議院先議のほか、衆議院の優越も認められている(60条)。国の予算は、もっとも基本的な予算である一般会計、特定の事業をおこなう特別会計、政府関係機関予算にわけられる。
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③ 予算法形式説…予算に法的性格は認めるが、法律とは異なった国法の一形式であるとする。 ③ 予算法形式説…予算に法的性格は認めるが、法律とは異なった国法の一形式であるとする。
   
- 予算行政説は財政民主主義の原則と矛盾し妥当ではない。また、予算法律説は、予算は政府を拘束するのみで、一般国民を拘束せず、法律と異なる問い扱いが定められていること(60条1項、73条5号、86条)から、予算と法律を同等に扱うことは妥当ではない。したがって、予算法形式説が通説であると解されている。+ 
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 +予算行政説は財政民主主義の原則と矛盾し妥当ではない。また、予算法律説は、予算は政府を拘束するのみで、一般国民を拘束せず、法律と異なる問い扱いが定められていること(60条1項、73条5号、86条)から、予算と法律を同等に扱うことは妥当ではない。したがって、予算法形式説が通説であると解されている。
== 予算と法律の不一致 == == 予算と法律の不一致 ==
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 予算法形式説を前提とすると、予算と法律の不一致が問題になる。具体的には、①法律は成立しているが、法律の執行するに要する予算が不成立の場合、②予算は成立しているが、予算を執行する法律が不成立の場合が考えられる。  予算法形式説を前提とすると、予算と法律の不一致が問題になる。具体的には、①法律は成立しているが、法律の執行するに要する予算が不成立の場合、②予算は成立しているが、予算を執行する法律が不成立の場合が考えられる。
-の場合は、内閣は、法律に合わせて予算の手当てをして法律を執行する義務を負うが、国会は、唯一の立法機関としての立場から予算の不成立を理由に、当該法律を改廃すべき法的義務は生じない。次に、②の場合は、内閣は、法律案を提出し国会の議決を求めるしかないが、国会は、予算に合わせて法律を制定する義務はない。+①の場合は、内閣は、法律に合わせて予算の手当てをして法律を執行する義務を負うが、国会は、唯一の立法機関としての立場から予算の不成立を理由に、当該法律を改廃すべき法的義務は生じない。次に、②の場合は、内閣は、法律案を提出し国会の議決を求めるしかないが、国会は、予算に合わせて法律を制定する義務はない。
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 予算の減額修正については、憲法において減額修正に関する制約は設けておらず、また、財政民主主義の原則より、少なくとも、国会の修正権に制限がないと考えられる。  予算の減額修正については、憲法において減額修正に関する制約は設けておらず、また、財政民主主義の原則より、少なくとも、国会の修正権に制限がないと考えられる。
 一方、予算の増額修正については、国会が財政処理の最高議決機関であることから一定程度の増額修正は可能であるが、予算発議権を内閣に専属させていることから、予算の同一性を損なう大修正は認められていないと考えられる。  一方、予算の増額修正については、国会が財政処理の最高議決機関であることから一定程度の増額修正は可能であるが、予算発議権を内閣に専属させていることから、予算の同一性を損なう大修正は認められていないと考えられる。
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 +== 参考文献 ==
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 +『プライム法学◆憲法』後藤光男・北原仁編著、敬文堂、2007年
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 +『高等学校 政治・経済』筒井若水編著,数研出版,平成9年

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目次

予算の定義

 予算とは、一会計年度のおける国の歳入歳出の見積もりを内容とする財政行為の準則をいう。憲法86条は、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」と規定し、財政民主主義の観点から、予算による財政チェックを要請している。予算の作成・提出権は内閣に専属し(73条5号)、国会の議決にあたっては衆議院先議のほか、衆議院の優越も認められている(60条)。国の予算は、もっとも基本的な予算である一般会計、特定の事業をおこなう特別会計、政府関係機関予算にわけられる。


予算の法的性格

予算の法的性格について学説は3つに分かれる。

① 予算行政説…予算は国会が政府に対して一年間の財政計画を承認する意思表示であるとする。

② 予算法律説…予算は法律それ自体であるとする。

③ 予算法形式説…予算に法的性格は認めるが、法律とは異なった国法の一形式であるとする。    

予算行政説は財政民主主義の原則と矛盾し妥当ではない。また、予算法律説は、予算は政府を拘束するのみで、一般国民を拘束せず、法律と異なる問い扱いが定められていること(60条1項、73条5号、86条)から、予算と法律を同等に扱うことは妥当ではない。したがって、予算法形式説が通説であると解されている。

予算と法律の不一致

 予算法形式説を前提とすると、予算と法律の不一致が問題になる。具体的には、①法律は成立しているが、法律の執行するに要する予算が不成立の場合、②予算は成立しているが、予算を執行する法律が不成立の場合が考えられる。 ①の場合は、内閣は、法律に合わせて予算の手当てをして法律を執行する義務を負うが、国会は、唯一の立法機関としての立場から予算の不成立を理由に、当該法律を改廃すべき法的義務は生じない。次に、②の場合は、内閣は、法律案を提出し国会の議決を求めるしかないが、国会は、予算に合わせて法律を制定する義務はない。


予算の修正

 予算の減額修正については、憲法において減額修正に関する制約は設けておらず、また、財政民主主義の原則より、少なくとも、国会の修正権に制限がないと考えられる。  一方、予算の増額修正については、国会が財政処理の最高議決機関であることから一定程度の増額修正は可能であるが、予算発議権を内閣に専属させていることから、予算の同一性を損なう大修正は認められていないと考えられる。


参考文献

『プライム法学◆憲法』後藤光男・北原仁編著、敬文堂、2007年

『高等学校 政治・経済』筒井若水編著,数研出版,平成9年


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