デュアルシステム
出典: Jinkawiki
2009年1月24日 (土) 11:42の版 Bunkyo-student2008 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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ドイツの学校制度はいわゆる分岐型になっており、初等教育段階である4年間の基礎学校(小学校)の終了後、生徒は前期中等教育段階である、大学進学を目指す9年制ギムナジウム(一部の州では8年制)、中級技術者を目指す6年制実科学校、職人や専門労働者を目指す5年制ハウプトシューレの3つの進路のうちいずれかに分かれる。 | ドイツの学校制度はいわゆる分岐型になっており、初等教育段階である4年間の基礎学校(小学校)の終了後、生徒は前期中等教育段階である、大学進学を目指す9年制ギムナジウム(一部の州では8年制)、中級技術者を目指す6年制実科学校、職人や専門労働者を目指す5年制ハウプトシューレの3つの進路のうちいずれかに分かれる。 | ||
この前期中等教育終了後、定時制職業学校に通学しながら企業での職業訓練を行うことができるシステムをデュアルシステムと呼ぶ。 | この前期中等教育終了後、定時制職業学校に通学しながら企業での職業訓練を行うことができるシステムをデュアルシステムと呼ぶ。 | ||
しかし、このシステムは企業での訓練を希望し申し込めば出来るというものではなく、企業が用意した訓練席を、選抜試験を受けて確保しなければならない。 | しかし、このシステムは企業での訓練を希望し申し込めば出来るというものではなく、企業が用意した訓練席を、選抜試験を受けて確保しなければならない。 | ||
- | だが、このデュアルシステムによる職業訓練を試験に合格して修了すると、「専門労働者」や「職人」といった職業資格もった労働者として働くことができる。 | + | だが、このデュアルシステムによる職業訓練を試験に合格して修了すると、「専門労働者」や「職人」といった職業資格もった労働者として働くことができる。 また企業での職業訓練には連邦レベルでその要綱内容が決められており、職業学校は各州の文部省所菅とされている。 |
- | また企業での職業訓練には連邦レベルでその要綱内容が決められており、職業学校は各州の文部省所菅とされている。 | + | |
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目次 |
概要
ドイツの学校制度はいわゆる分岐型になっており、初等教育段階である4年間の基礎学校(小学校)の終了後、生徒は前期中等教育段階である、大学進学を目指す9年制ギムナジウム(一部の州では8年制)、中級技術者を目指す6年制実科学校、職人や専門労働者を目指す5年制ハウプトシューレの3つの進路のうちいずれかに分かれる。 この前期中等教育終了後、定時制職業学校に通学しながら企業での職業訓練を行うことができるシステムをデュアルシステムと呼ぶ。 しかし、このシステムは企業での訓練を希望し申し込めば出来るというものではなく、企業が用意した訓練席を、選抜試験を受けて確保しなければならない。 だが、このデュアルシステムによる職業訓練を試験に合格して修了すると、「専門労働者」や「職人」といった職業資格もった労働者として働くことができる。 また企業での職業訓練には連邦レベルでその要綱内容が決められており、職業学校は各州の文部省所菅とされている。
起源
デュアルシステムによる職業訓練は、中世の徒弟訓練が発端であるといえる。徒弟とは弟子のことで、師の下で修業を積み、一人前の職人となり、更に精進することで、最後に親方となり、今度は教える側の立場にたつという職業訓練モデルである。ワイマール時代には企業訓練と職業学校との二元的な職業教育・訓練制度となり、第二次世界大戦後もこうした制度が維持され、今日に至っている。
詳細
週3日程度の企業内職業訓練と、週2日程度の職業訓練学校における普通教育と専門理論教育の授業が組み合わされる。職業訓練や教育期間は職種によって異なるが、多くが3年半とされており、訓練生は中間試験を経て、修了試験に合格することで、職人(おもに手工業領域担当)、専門労働者(工業領域)、アシスタント(サービス領域)といった名称を得ることができ。その後経験を積むことで、親方(マイスター)試験を受けることができる。 修了試験を実施するのは、その訓練職種を認定する所轄機関である商工会議所や手工業会議所等である(会議所とは、市など一定地区内の商工業者によって組織される自由会員制の非営利法人)。費用は訓練企業が負担し、訓練生は受験費用を払う必要はない。試験は年に1~2回程度行われる。 試験内容は受験者が必要な技術を習得し、必要な実践的・理論的知識をもち、職業学校で教えられた教材を習熟しているのかが問われており、内容水準は訓練規定によって定められている。 試験委員会は、最低3名から構成されるが、そこには雇用者代表と労働者代表が同数と、最低1名の職業学校の教員が含まれてなければならないとされる。 訓練を修了した後は、訓練を受けた企業に就職しなければならないということはなく、別の企業を選択することができる。
問題点
このシステムは景気によって大きく左右されると言っていい。訓練にかかるコスト(指導員の割り当て、施設等の利用費、訓練生の手当てなど)は全部企業側が負担することになる。にもかかわらず、上記で述べたように、訓練生が他の企業に引き抜かれる可能性もある上に、近年の国際市場における競争の激化によって企業もコストを減らす傾向にむかっており、訓練席を減らす・用意しないといった動きを見せている。