白神山地

出典: Jinkawiki

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2009年1月27日 (火) 17:06の版
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一方、間氷期には暖かい海流の影響で南方系の植物の生育が可能となった。日本の常緑広葉樹林の代表的なタブノキは、沖縄や中国大陸南部まで分布する亜熱帯・暖温帯林の構成種の1つであるが、その北限は青森県西津軽郡岩崎村、現在の白神山地の麓にまで及ぶ。また、ヤブツバキや先駆種でもカラスザンショウのような南方系の樹木が出現する。山地では暖流がもたらす大量の水蒸気が厚い積雪になり、その恩恵を受けて広大なブナ林が広がる。 一方、間氷期には暖かい海流の影響で南方系の植物の生育が可能となった。日本の常緑広葉樹林の代表的なタブノキは、沖縄や中国大陸南部まで分布する亜熱帯・暖温帯林の構成種の1つであるが、その北限は青森県西津軽郡岩崎村、現在の白神山地の麓にまで及ぶ。また、ヤブツバキや先駆種でもカラスザンショウのような南方系の樹木が出現する。山地では暖流がもたらす大量の水蒸気が厚い積雪になり、その恩恵を受けて広大なブナ林が広がる。
-日本のブナ林は太平洋側と日本海側とで2つのタイプにわけられる。太平洋側では、ブナが単独で優占することはあまりなく、常緑広葉樹や針葉樹と混交することが多い。それに対して、白神山地のブナ林はほとんどブナだけが林冠を形成し、単純である。このブナ林の構造の違いには、暖かく湿った日本海がもたらす大量の積雪が大きく影響しており、ブナが雪圧に強いという性質が効いている。+ 
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 + 日本のブナ林は太平洋側と日本海側とで2つのタイプにわけられる。太平洋側では、ブナが単独で優占することはあまりなく、常緑広葉樹や針葉樹と混交することが多い。それに対して、白神山地のブナ林はほとんどブナだけが林冠を形成し、単純である。このブナ林の構造の違いには、暖かく湿った日本海がもたらす大量の積雪が大きく影響しており、ブナが雪圧に強いという性質が効いている。
また、林床に南方の常緑広葉樹林と共通する多くの常緑樹が丈を低く保ち、雪の下に生えることで、冬の寒さの影響を受けずに進入しているという特徴もある。 また、林床に南方の常緑広葉樹林と共通する多くの常緑樹が丈を低く保ち、雪の下に生えることで、冬の寒さの影響を受けずに進入しているという特徴もある。
 +かつてブナ林は、東北地方を中心に全国の産地に広く分布していた。しかし、戦後の木材需要の増大に伴い、生産性を重視した結果、全国の自然林を伐採し、針葉樹の植樹を進める政策(拡大造林)が行われた。それにより、東北地方でも多くのブナ林が伐採され、ブナ林は急激に減少してしまった。現存するブナ林も、政策が行われる前と比較して、ずっと小面積になってしまった。

2009年1月27日 (火) 17:13の版

 白神山地とは、北緯40.5度、青森県と秋田県の境界に位置する、13000平方㎞に及ぶ山地のことである。

出羽山地の北部にあたり、米代川によって出羽山地の主要部とは分断されている。 また、岩木川水系湯の沢川以東の部分は大鰐山地と呼ぶ。


 新第三紀中新世の海底堆積層が、800万年前頃から隆起をはじめ、標高1243mの向白神岳を最高峰とする白神山地一帯の山体を作り上げた。 一部には古生層や花崗岩、石英安山岩も見られ、いわゆるグリーンタフ(緑色凝灰岩)地域に含まれる。 隆起速度は、年に数mmにも達する速さで、主要部は起状量600m以上の大起状山地である。侵食も活発であり、追良瀬川、赤石川、岩木川、笹内川などの谷は深く刻まれ、多くの見事な滝を作り上げている。その一方、尾根にたどり着くとなだらかな稜線が連なり、視界が開ける。 山腹の急な斜面は、冬になると雪が流れ落ちるため凍りつき、危険な斜面となる。 斜面崩壊が起こりやすいこと、地滑り地形が多いことが、急速に隆起している白神山地の特徴でもある。

   1993年にユネスコの世界遺産(自然遺産)として、青森県側の43.44平方㎞、秋田県側の169.71平方㎞が登録された。 白神山地は、人の手が加えられていないブナの原生林からなる地域であり、世界遺産登録以前には弘西山地とも呼ばれていた。

 世界遺産は、世界に普遍的な価値を認められた資産として至高の評価が与えられたものであり、自然遺産と文化遺産とにわけられる。 自然遺産は、鑑賞上・学術上・保存上、顕著な普遍的価値を有している地形・生物・景観などを含むものや地域を指定するものである。 なお、同じ1993年に、法隆寺地域の仏教建設物(文化遺産)、姫路城(文化遺産)、屋久島(自然遺産)が世界遺産として登録された。


 白神山地は海岸に立つ壁のように存在し、日本海との関係は切り離して考えることはできない。 大量の積雪をもたらす水分の供給源は、日本海の対馬暖流によるものだからである。日本海は氷期には北の出口が凍結し、南からの流入量が減って東北地方に乾燥をもたらした。現在、山頂部に分布する高山植物のうち、乾燥したいわばなどに生える固有種のアオモリマンテマ、ツガルミセバヤなどはこの時期に侵入した、または分化したと考えられている。いずれにしても白神山地に固有・準固有の種であるこれらの植物は日本に限らず、世界にも近縁の種が見当たらない、珍しい株である。

一方、間氷期には暖かい海流の影響で南方系の植物の生育が可能となった。日本の常緑広葉樹林の代表的なタブノキは、沖縄や中国大陸南部まで分布する亜熱帯・暖温帯林の構成種の1つであるが、その北限は青森県西津軽郡岩崎村、現在の白神山地の麓にまで及ぶ。また、ヤブツバキや先駆種でもカラスザンショウのような南方系の樹木が出現する。山地では暖流がもたらす大量の水蒸気が厚い積雪になり、その恩恵を受けて広大なブナ林が広がる。


 日本のブナ林は太平洋側と日本海側とで2つのタイプにわけられる。太平洋側では、ブナが単独で優占することはあまりなく、常緑広葉樹や針葉樹と混交することが多い。それに対して、白神山地のブナ林はほとんどブナだけが林冠を形成し、単純である。このブナ林の構造の違いには、暖かく湿った日本海がもたらす大量の積雪が大きく影響しており、ブナが雪圧に強いという性質が効いている。 また、林床に南方の常緑広葉樹林と共通する多くの常緑樹が丈を低く保ち、雪の下に生えることで、冬の寒さの影響を受けずに進入しているという特徴もある。 かつてブナ林は、東北地方を中心に全国の産地に広く分布していた。しかし、戦後の木材需要の増大に伴い、生産性を重視した結果、全国の自然林を伐採し、針葉樹の植樹を進める政策(拡大造林)が行われた。それにより、東北地方でも多くのブナ林が伐採され、ブナ林は急激に減少してしまった。現存するブナ林も、政策が行われる前と比較して、ずっと小面積になってしまった。



参考文献

奈良大学文学部世界遺産を考える会(編) 鎌田道隆(著) 2000 世界遺産学を学ぶ人のために 世界思想社

渡邊静夫(編) 瀬川秀良(著) 1988 日本大百科全書12 小学館

ユネスコ世界遺産センター(監修) 1998 ユネスコ世界遺産4―東アジア・ロシア 講談社


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