「共産党宣言」
出典: Jinkawiki
2009年1月29日 (木) 12:16の版 Bunkyo-student2008 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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『共産党宣言』は、革命の筋道について「プロレタリアートは、ブルジョアジーからすべての資本をつぎつぎに奪い取り、すべての生産用具を国家の手に、すなわち支配階級として組織されたプロレタリアートの手に集中して、大量の生産諸力をできるだけ急速に増大させるために、自分の政治的支配を利用するであろう」と、民主主義を闘いとることを通じて、労働者階級の権力を実現することの重要性を指摘している。そして、生産手段を社会の手に移すことによって、物質的生産力の飛躍的な発展を実現するとした。 | 『共産党宣言』は、革命の筋道について「プロレタリアートは、ブルジョアジーからすべての資本をつぎつぎに奪い取り、すべての生産用具を国家の手に、すなわち支配階級として組織されたプロレタリアートの手に集中して、大量の生産諸力をできるだけ急速に増大させるために、自分の政治的支配を利用するであろう」と、民主主義を闘いとることを通じて、労働者階級の権力を実現することの重要性を指摘している。そして、生産手段を社会の手に移すことによって、物質的生産力の飛躍的な発展を実現するとした。 | ||
革命によって実現される未来社会については、「発展の過程で、階級の差異が消滅し、すべての生産が連合した諸個人の手に集中されると、公的権力は政冶的性格を失う」、支配階級となった労働者階級が「強力的に古い生産諸関係を廃止するとき、プロレタリアートは、この生産諸関係とともに、階級対立の、諸階級そのものの存在諸条件を、したがって階級としてのそれ目身の支配を廃止する」と、将来における階級対立の消滅と国家の死滅という展望が明らかにされている。そして将来の共産主義社会が「各人の自由な発展が、万人の自由な発展のための条件である連合体」であると指摘している。 | 革命によって実現される未来社会については、「発展の過程で、階級の差異が消滅し、すべての生産が連合した諸個人の手に集中されると、公的権力は政冶的性格を失う」、支配階級となった労働者階級が「強力的に古い生産諸関係を廃止するとき、プロレタリアートは、この生産諸関係とともに、階級対立の、諸階級そのものの存在諸条件を、したがって階級としてのそれ目身の支配を廃止する」と、将来における階級対立の消滅と国家の死滅という展望が明らかにされている。そして将来の共産主義社会が「各人の自由な発展が、万人の自由な発展のための条件である連合体」であると指摘している。 | ||
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+ | ==第3章== | ||
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+ | 第3章はさらに次の3つの節に分かれて構成されている。 | ||
+ | 第1節「反動的社会主義」 | ||
+ | 第2節「保守的社会主義またはブルジョア社会主義」 | ||
+ | 第3節「批判的ユートピア的社会主義および共産主義」 | ||
+ | 「社会主義」や「共産主義」のかたちをとった各種のイデオロギーを、3つにわけて、それがどの階級的立場を表わしたものか、またどんな役割を果たすかを明らかにして批判している。その中には超階級的な「人間一般の利益」を主張する「真正社会主義」に対する批判も含まれている。主な検討・批判の対象はドイツの真正社会主義である。またその他、サン=シモン、フーリエ、プルードン等が批判的に論じられる。 | ||
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+ | ==第4章== | ||
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+ | 第4章は、共産主義者ではない政治勢力に対する共産主義者の政治スタンスのとり方である。共産党が各国で当面する革命運動を進めるために、誰と手を組み、誰を敵として闘うかを明らかにしている。「一言で言えば、共産主義者は、いたるところで現に存在する社会的・政治的状態に対するどの革命運動をも支持する」とあるように、ブルジョアジーが中心の運動であってもそれが社会発展にかなっていれば支持をすべきだ、という立場を表明した。つまりここでは「ドイツがブルジョア革命の前夜にある」とした上で、共産主義者はドイツに対してプロレタリア革命ではなく、ブルジョア革命を展望すべきとしているのである。末文は「プロレタリアはこの革命において鉄鎖のほかに失う何ものをも持たない。彼らが獲得するものは世界である。万国の労働者、団結せよ」という章句で閉じられる。 |
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目次 |
「共産党宣言」の経緯
18世紀末から19世紀はじめにかけてイギリスでおこった産業革命は、その後ヨーロッパにひろまり、各国で機械制大工業にもとづいた資本主義が発展しはじめていた。フランスでは、1789年の大革命でブルジョアジーが支配階級になったが、ドイツはなお絶対君主の支配のもとにあった。 資本主義の発展とともに、1831年のリヨンでの労働者の蜂起をはじめ、労働者階級の闘いが起こっていた。その一方で、サン・シモン、フーリエ、才ーエンなどの空想的社会主義者が登場していた。そして1847年の恐慌をきっかけに、ヨーロッパは革命的情勢に直面した。こうしたときに、労働者階級の闘いの指針となったのが『共産党宣言』であった。 『宣言』をだした「共産主義者同盟」は、もともとドイツ人労働者の亡命者たちが1836年にパリでつくった秘密組織「正義者同盟」であった。正義者同盟は、その後ロンドンに本拠を移し、それとともに国際的な組織となったが、そのころ影響力をもっていたのは、空想的な共産主義理論だった。 他方、マルクスとエンゲルスは、1844年にはじめてパリで出会ったとき科学的社会主義理論の基本的見地で一致し、『聖家族』『ドイツ・イデオロギー』などの著作でそれを明らかにするとともに、各地の活動家にたいし理論的にも組織的にも積極的なはたらきかけを開始していた。 当時、正義者同盟の内部では、共産主義社会をどのようにして実現するかをめぐって活発な議論がおこなわれていた。そうしたなかで、マルクスとエンゲルスのもとに、二人の加盟と協力を要請する密使がおくられ、二人は同盟に加わった。1847年6月に正義者同盟は大会をひらき、名称を「共産主義者同盟」に改めた。そして同年11月の第2回大会において、徹底した討論をへてマルクス、エンゲルスの示した原則が承認され、綱領の起草が二人に委託された。そうしてできたのが『共産党宣言』である。
概略
本書は四つの章から成る。 第1章「ブルジョアとプロレタリア」 第2章「プロレタリアと共産主義者」 第3章「社会主義的および共産主義的文献」 第4章「種々の反対党に対する共産主義者の立場」 エンゲルスは「『宣言』を貫く根本思想」として以下の諸点を挙げた。 ・経済が社会の土台であること ・歴史は階級闘争の歴史であること ・プロレタリア革命は一階級の解放でなく人類全体の解放であること マルクスは、ローレンツ・フォン・シュタインの著作『今日のフランスにおける社会主義と共産主義』を読んでおり、『宣言』にはシュタインの著作に影響を受けた共産主義者同盟の革命家たちの政治的な意識や見地が反映されている。 『共産党宣言』は、労働者階級のたたかいが発展していくさまざまな段階を、「はじめには個々の労働者が、つぎには工場の労働者が、そのつぎには一つの地域の一労働部門の労働者が、彼らを直接に搾取する個々のブルジョアにたいしてたたかう」、「個々の労働者と個々のブルジョアとのあいだの諸衝突は、圭すます二つの階級のあいだの諸衝突という性格をおびてくる。労働者たちは、ブルジョアに対抗する同盟をつくりはじめる」と説明するとともに、労働者階級の「闘争の本来の成果」は「労働者たちかますます広く自分たちのまわりにひろげてゆく団結である」ことを明らかにしている。これらは、「プロレタリアの階級への、したがって政党へのこの組織化」という指摘とともに、労働者階級の階級的組織の拡大とそれを先頭に立って推進する共産党の役割を明らかにしたものといえる。 また、社会主義革命における労働者階級の指導的役割を、「こんにちブルジョアジーに対立しているすべての階級のうち、ただプロレタリアートだけが真に革命的な階級である」と指摘している。
第1章
第1章は、「これまでの社会のすべての歴史は階級闘争の歴史である」という文で始まり、ブルジョアジーの時代は生産と社会をどう変えてしまったかを述べ、現代は生産力と生産関係の矛盾が激化した社会革命の時代であるとして、プロレタリアートという勢力がその革命を担う、という内容を述べている。そして、労働者階級の闘いが、階級対立そのものを廃止するという世界史的役割をもっていることや、大多数者の利益のための大多数者の運動であること、そして労働者階級の闘いが国際的な内容をもつとともに、まずは各国で自国の革命を達成しなければならないことを明らかにしている。さらに社会的諸関係の変化から、一個の“商品”として現れる労働力の存在へと議論が発展していく。
第2章
第2章は、労働者階級と共産党との関係、党の目的と任務を明らかにするとともに、各種の反共攻撃に反撃している。そこでは、共産党は労働者階級の闘争に「特殊な諸原則」を押しつけようとするものではなく、「プロレタリアートの階級への形成、ブルジョアジー支配の転覆、プロレタリアートによる政治権力の獲得」がその目的であることを明らかにしている。 反共攻撃への反論には、共産党は財産を取りしげようとしているといった、今日にも共通する攻撃にたいするものもある。 『共産党宣言』は、革命の筋道について「プロレタリアートは、ブルジョアジーからすべての資本をつぎつぎに奪い取り、すべての生産用具を国家の手に、すなわち支配階級として組織されたプロレタリアートの手に集中して、大量の生産諸力をできるだけ急速に増大させるために、自分の政治的支配を利用するであろう」と、民主主義を闘いとることを通じて、労働者階級の権力を実現することの重要性を指摘している。そして、生産手段を社会の手に移すことによって、物質的生産力の飛躍的な発展を実現するとした。 革命によって実現される未来社会については、「発展の過程で、階級の差異が消滅し、すべての生産が連合した諸個人の手に集中されると、公的権力は政冶的性格を失う」、支配階級となった労働者階級が「強力的に古い生産諸関係を廃止するとき、プロレタリアートは、この生産諸関係とともに、階級対立の、諸階級そのものの存在諸条件を、したがって階級としてのそれ目身の支配を廃止する」と、将来における階級対立の消滅と国家の死滅という展望が明らかにされている。そして将来の共産主義社会が「各人の自由な発展が、万人の自由な発展のための条件である連合体」であると指摘している。
第3章
第3章はさらに次の3つの節に分かれて構成されている。 第1節「反動的社会主義」 第2節「保守的社会主義またはブルジョア社会主義」 第3節「批判的ユートピア的社会主義および共産主義」 「社会主義」や「共産主義」のかたちをとった各種のイデオロギーを、3つにわけて、それがどの階級的立場を表わしたものか、またどんな役割を果たすかを明らかにして批判している。その中には超階級的な「人間一般の利益」を主張する「真正社会主義」に対する批判も含まれている。主な検討・批判の対象はドイツの真正社会主義である。またその他、サン=シモン、フーリエ、プルードン等が批判的に論じられる。
第4章
第4章は、共産主義者ではない政治勢力に対する共産主義者の政治スタンスのとり方である。共産党が各国で当面する革命運動を進めるために、誰と手を組み、誰を敵として闘うかを明らかにしている。「一言で言えば、共産主義者は、いたるところで現に存在する社会的・政治的状態に対するどの革命運動をも支持する」とあるように、ブルジョアジーが中心の運動であってもそれが社会発展にかなっていれば支持をすべきだ、という立場を表明した。つまりここでは「ドイツがブルジョア革命の前夜にある」とした上で、共産主義者はドイツに対してプロレタリア革命ではなく、ブルジョア革命を展望すべきとしているのである。末文は「プロレタリアはこの革命において鉄鎖のほかに失う何ものをも持たない。彼らが獲得するものは世界である。万国の労働者、団結せよ」という章句で閉じられる。