メディア・リテラシー

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-メディア・リテラシー(media literacy)とは+==メディア・リテラシー(media literacy)とは ==
-== 見出し ==+
さまざまなメディア(情報機器・情報媒体)を活用・批判・創出しながら、豊かなコミュニケーションを展開する能力のことであり、その能力を形成する営みのことである。 さまざまなメディア(情報機器・情報媒体)を活用・批判・創出しながら、豊かなコミュニケーションを展開する能力のことであり、その能力を形成する営みのことである。
-メディア。リテラシーにおいてもっとも重要な考え方とは、「メディアを利用して教えること」(teaching through media)と「メディアを教えること」(teaching about media)を区別することである。+メディア・リテラシーにおいてもっとも重要な考え方とは、「メディアを利用して教えること」(teaching through media)と「メディアを教えること」(teaching about media)を区別することである。
-メディア・リテラシー論によるメディアの機能+ 
-== 見出し ==+ 
 +== メディア・リテラシー論によるメディアの機能 ==
1 メディアは現実を構築する(事実そのものを表現する情報は幻想である)。 1 メディアは現実を構築する(事実そのものを表現する情報は幻想である)。
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2 メディアの提供する情報は価値づけられている(だれの利害からも中立である情報はない)。 2 メディアの提供する情報は価値づけられている(だれの利害からも中立である情報はない)。
-3 メディアの提供する情報は解釈されることでさらに価値づけられる(メディアはたんに伝えられるものではなく、受け  てが意味づけるもの)。+ 
 +3 メディアの提供する情報は解釈されることでさらに価値づけられる(メディアはたんに伝えられるものではなく、受けてが意味づけるもの)。
メディア・リテラシー論が語るメディアの機能は、基本的に言語の機能である。 メディア・リテラシー論が語るメディアの機能は、基本的に言語の機能である。
-参考+ 
-== 見出し ==+== カナダ==
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 +メディア・リテラシーを積極的にすすめているカナダ・オンタリオ州教育局は「メディア・リテラシーは、学生がマスメディアの本質・技法・作用を十分かつ批判的に理解することを援助することである。より限定していうなら、それは教育であり、その目的は学生がメディアによる働きかけの方法、メディアによる意味創出の方法、メディアの組織化の形態、メディアによる現実構成の方法をよりよく理解し活用することである。」(Ontario Minstry of Education 1989)
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 +・カナダは、メディア・リテラシー教育を世界ではじめて、義務教育の一環としてカリキュラムに取り入れた国。
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 +・'''校教育にメディア・リテラシーを取り入れるに至った背景'''
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 +学アメリカ文化の介入がある。アメリカより発信されるテレビ等の映像やメディアが頻繁にカナダ文化に介入してきた。
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 +・'''概念'''
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 +①過激な暴力シーンやきわどい性的描写が子どもへ悪影響を与えるのではないか。
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 +②カナダの文化そのものまでが侵されるのではないか。
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 +こうして、メディア・リテラシーはカナダのオンタリオ州に始まった。
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 +・'''流れ'''
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 +1978年、メディア・リテラシーの授業を試みていた教師たちが中心となって、メディア・リテラシー協会、AML(Association for Media Literacy)を組織させた。以後、10年余り、互いの経験を持ち寄って積極的に意見を交換し合い、研究を重ねてきた。20数人だったメンバーも、現在では1000人を超えるまでに拡大した。
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 +他の州でも同様の組織が設立され、1997年にはそれらを統合するネットワークができる。こうして、メディア・リテラシー教育はカナダ全域に広がりつつある。
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 +・'''授業方法'''
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 +実際の授業でメディア・リテラシーは、「Language」という教科、日本語で言う国語に組み込まれて、教師用ガイドに記載されている。そのガイドをもとに授業では親しみやすい映画や音楽を題材にして、子どもたちにメディア・リテラシーについて考えさせている。また、AMLはメディア教師としてワークショップ研修や本の出版を通し、自らの実践を若い世代に伝えている。
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 +・'''題材'''
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 +テレビ界におけるメディア・リテラシーへの関心度も高い。AMLも製作に携わる、メディア教育専門の番組が多数作られている。
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 +CHUMという放送会社では、メディア教育を専門とする部署、メディア・リテラシー教育部が新設されるにまで至って、CHUMとAMLが共同でメディア・リテラシーを視野に入れた番組制作をしている。
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 +その内容の例としては、映画を原作と見比べて映像化された時との違いを知ることなどがある。
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 +このことは、一つは、メディアの製作者の立場になって考えられるよう配慮されている。また、二つには、番組は教師が授業の教材として利用できるように製作されていて、インターネットを通じて資料提供なども行っている。教育に取り入れられたメディアの堅苦しさをなくすために、メディア・リテラシーを楽しく学べるように若者が興味を示しやすい映画や音楽といったメディアが題材になっている。
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 +・'''カナダの現状とアメリカの現状'''
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 +他国に比べてテレビを見る時間の長いカナダにおいて、その映像が子どもに及ぼす悪影響が懸念されていた。特にテレビに関して注目されているのが、ティム・コリンズ教授が発明したVチップ(Violence-chip)の導入。これは、子どもには見せない方がよいと考えられる過激な暴力あるいはきわどい性的映像等を格付け(レイティング)し、子どもの教育理念に合わせて送られてくる映像を遮断するというものである。幼少期に見た好ましくない映像が後の人格形成に影響を与えるのではないかと心配される一方で、映像の規制は製作者側の表現の自由という見地から簡単には踏み込めない領域であった。それを双方から可能にしたのがVチップである。Vチップはアメリカではすで実施されているが、カナダではレイティングまでは行っているもののVチップ導入には至っていない。その理由に国内でアメリカのCATVが視聴できるため、アメリカの制度が定まるまで実施を待っていたことが挙げられ、いずれはカナダにもVチップは導入されると考えられている。
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 +== 参考・引用文献 ==
「教育学がわかる事典 読みこなし使いこなし活用自在」 田中智志 「教育学がわかる事典 読みこなし使いこなし活用自在」 田中智志
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 +http://www.i.hosei.ac.jp/~sakamoto/student/1999/hosei/suetake/kanada.html

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目次

メディア・リテラシー(media literacy)とは

さまざまなメディア(情報機器・情報媒体)を活用・批判・創出しながら、豊かなコミュニケーションを展開する能力のことであり、その能力を形成する営みのことである。 メディア・リテラシーにおいてもっとも重要な考え方とは、「メディアを利用して教えること」(teaching through media)と「メディアを教えること」(teaching about media)を区別することである。


メディア・リテラシー論によるメディアの機能

1 メディアは現実を構築する(事実そのものを表現する情報は幻想である)。

2 メディアの提供する情報は価値づけられている(だれの利害からも中立である情報はない)。

3 メディアの提供する情報は解釈されることでさらに価値づけられる(メディアはたんに伝えられるものではなく、受けてが意味づけるもの)。

メディア・リテラシー論が語るメディアの機能は、基本的に言語の機能である。


カナダ

メディア・リテラシーを積極的にすすめているカナダ・オンタリオ州教育局は「メディア・リテラシーは、学生がマスメディアの本質・技法・作用を十分かつ批判的に理解することを援助することである。より限定していうなら、それは教育であり、その目的は学生がメディアによる働きかけの方法、メディアによる意味創出の方法、メディアの組織化の形態、メディアによる現実構成の方法をよりよく理解し活用することである。」(Ontario Minstry of Education 1989)


・カナダは、メディア・リテラシー教育を世界ではじめて、義務教育の一環としてカリキュラムに取り入れた国。


校教育にメディア・リテラシーを取り入れるに至った背景

学アメリカ文化の介入がある。アメリカより発信されるテレビ等の映像やメディアが頻繁にカナダ文化に介入してきた。

概念

①過激な暴力シーンやきわどい性的描写が子どもへ悪影響を与えるのではないか。

②カナダの文化そのものまでが侵されるのではないか。

こうして、メディア・リテラシーはカナダのオンタリオ州に始まった。


流れ

1978年、メディア・リテラシーの授業を試みていた教師たちが中心となって、メディア・リテラシー協会、AML(Association for Media Literacy)を組織させた。以後、10年余り、互いの経験を持ち寄って積極的に意見を交換し合い、研究を重ねてきた。20数人だったメンバーも、現在では1000人を超えるまでに拡大した。

他の州でも同様の組織が設立され、1997年にはそれらを統合するネットワークができる。こうして、メディア・リテラシー教育はカナダ全域に広がりつつある。

授業方法

実際の授業でメディア・リテラシーは、「Language」という教科、日本語で言う国語に組み込まれて、教師用ガイドに記載されている。そのガイドをもとに授業では親しみやすい映画や音楽を題材にして、子どもたちにメディア・リテラシーについて考えさせている。また、AMLはメディア教師としてワークショップ研修や本の出版を通し、自らの実践を若い世代に伝えている。

題材

テレビ界におけるメディア・リテラシーへの関心度も高い。AMLも製作に携わる、メディア教育専門の番組が多数作られている。

CHUMという放送会社では、メディア教育を専門とする部署、メディア・リテラシー教育部が新設されるにまで至って、CHUMとAMLが共同でメディア・リテラシーを視野に入れた番組制作をしている。

その内容の例としては、映画を原作と見比べて映像化された時との違いを知ることなどがある。

このことは、一つは、メディアの製作者の立場になって考えられるよう配慮されている。また、二つには、番組は教師が授業の教材として利用できるように製作されていて、インターネットを通じて資料提供なども行っている。教育に取り入れられたメディアの堅苦しさをなくすために、メディア・リテラシーを楽しく学べるように若者が興味を示しやすい映画や音楽といったメディアが題材になっている。

カナダの現状とアメリカの現状

他国に比べてテレビを見る時間の長いカナダにおいて、その映像が子どもに及ぼす悪影響が懸念されていた。特にテレビに関して注目されているのが、ティム・コリンズ教授が発明したVチップ(Violence-chip)の導入。これは、子どもには見せない方がよいと考えられる過激な暴力あるいはきわどい性的映像等を格付け(レイティング)し、子どもの教育理念に合わせて送られてくる映像を遮断するというものである。幼少期に見た好ましくない映像が後の人格形成に影響を与えるのではないかと心配される一方で、映像の規制は製作者側の表現の自由という見地から簡単には踏み込めない領域であった。それを双方から可能にしたのがVチップである。Vチップはアメリカではすで実施されているが、カナダではレイティングまでは行っているもののVチップ導入には至っていない。その理由に国内でアメリカのCATVが視聴できるため、アメリカの制度が定まるまで実施を待っていたことが挙げられ、いずれはカナダにもVチップは導入されると考えられている。


 

参考・引用文献

「教育学がわかる事典 読みこなし使いこなし活用自在」 田中智志

http://www.i.hosei.ac.jp/~sakamoto/student/1999/hosei/suetake/kanada.html


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