犯罪学

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2009年8月4日 (火) 13:09の版
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しかし、ヨーロッパ大陸にはすでに類似する「刑事政策(犯罪対策)」という語があったため、犯罪学は狭い意味では、犯罪現象と犯罪原因に関する科学として用いられるようになったが、広い意味では、対策論も含んでいる。 しかし、ヨーロッパ大陸にはすでに類似する「刑事政策(犯罪対策)」という語があったため、犯罪学は狭い意味では、犯罪現象と犯罪原因に関する科学として用いられるようになったが、広い意味では、対策論も含んでいる。
-犯罪原因論には、その対象とする領域によって、犯罪生物学・精神医学的・心理学的・社会心理学的・社会学的原因論などがある。なかでもイタリアのロンブローゾは「生来的犯罪者説」を唱えて、犯罪の原因は犯罪者の生まれながらの異常性であるとする人類学、あるいは生物学、遺伝学にかかわる研究を行った。これが犯罪原因に関する、実証的研究の最初といわれている。これにより、ガロファロ、フェッリを加えたイタリア実証学派の研究はその実証性が犯罪学論議に大きな影響を与え、ロンブローゾは犯罪学の父と呼ばれている。+犯罪原因論には、その対象とする領域によって、犯罪生物学・精神医学的・心理学的・社会心理学的・社会学的原因論などがある。なかでもイタリアのロンブローゾは*「生来的犯罪者説」を唱えて、犯罪の原因は犯罪者の生まれながらの異常性であるとする人類学、あるいは生物学、遺伝学にかかわる研究を行った。これが犯罪原因に関する、実証的研究の最初といわれている。これにより、ガロファロ、フェッリを加えたイタリア実証学派の研究はその実証性が犯罪学論議に大きな影響を与え、ロンブローゾは犯罪学の父と呼ばれている。
-19世紀は主に犯罪学はヨーロッパで発展したが、20世紀に入るとアメリカで発展するようになった。そして今日ではアメリカは犯罪学研究の最大の先進国となっている。アメリカの犯罪学は、社会学に基礎を置いた犯罪原因論として発展し、種々の理論があげられた。+19世紀は主に犯罪学はヨーロッパで発展したが、20世紀に入るとアメリカで発展するようになった。そして今日ではアメリカは犯罪学研究の最大の先進国となっている。アメリカの犯罪学は、社会学に基礎を置いた犯罪原因論として発展し、種々の理論があげられた。ところが、戦後特に1970年になって犯罪原因論は衰退し始める。なぜなら、犯罪原因論は犯罪や非行を行った者を調査対象としてその原因を追求し、その者から原因を除去すれば将来の再犯予防につながると考えられてきたが、そのころ、刑務所や少年院の処遇は再犯防止には役に立っていないという見解(nothing works)が登場したからである。それに代わり、犯罪の原因はむしろ警察などの刑事司法機関にあるなどとする「ラべリング論」も生まれた。問題少年に「犯罪者・非行少年」のラベルを貼り、犯罪者として扱うことが、彼らをさらに本格的犯罪行動へ至らせる原因だとされた。また、犯罪原因論自体不要であるとする「社会統制理論」も主張された。そのもっとも有力な論者ハーシは、多くの人々は犯罪を行ってはおらず、むしろ「なぜ人は犯罪を行わないのか」が重要であると唱えた。すなわち、人は幼いときには物事の是非は判断できずに逸脱を起こす可能性があるが、家庭や学校、地域社会で社会化されることによって周りの環境との社会的ボンド(結びつき)が強められ、そこで規範を学習することにより犯罪を行わないのだと結論した。非行に走る少年は、まさにこの社会化が十分ではなかったことを示し、したがって、非行防止には社会化を十分に行う必要があると主張している。
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 +今日では、犯罪学は犯罪原因にとどまらず、様々な犯罪状況や犯罪予防に関する研究などを行い、もう一方で被害者や刑事司法のあり方に関する問題も扱うなど、どちらかというと犯罪・非行を扱う制度論、状況的対策論に向かう傾向がみられる。そこで犯罪学は、かつての犯罪原因論はもちろん、予防論なども守備範囲に含め、最終的には「犯罪のない快適な社会を目指す」総合科学となりつつある。
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 +'''*生来的犯罪者説'''
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 +1876年、ロンブローゾが出版した著書「犯罪者」では、犯罪を行う人間に「生まれつき」の欠陥を想定、個人的な「素因」を決定的に重視する立場を示している。19世紀末から20世紀初頭にかけて強い影響力をもった主張だったが、今日では完全に否定されている。
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 +== 参考文献 ==
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 +手にとるように犯罪学がわかる本   監修 西村春夫 著 現代犯罪学研究会 かんき出版    2003年2月24日発行
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 +図解犯罪心理分析マニュアル  古村龍也・雀部俊毅 同文書院  1997年8月19日発行
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犯罪学とは? 

端的に言うと、犯罪原因解明のために生まれた学問。「犯罪学」という言葉を最初に使ったのは、ガロファロという19世紀イタリアの実証学派である。

しかし、ヨーロッパ大陸にはすでに類似する「刑事政策(犯罪対策)」という語があったため、犯罪学は狭い意味では、犯罪現象と犯罪原因に関する科学として用いられるようになったが、広い意味では、対策論も含んでいる。

犯罪原因論には、その対象とする領域によって、犯罪生物学・精神医学的・心理学的・社会心理学的・社会学的原因論などがある。なかでもイタリアのロンブローゾは*「生来的犯罪者説」を唱えて、犯罪の原因は犯罪者の生まれながらの異常性であるとする人類学、あるいは生物学、遺伝学にかかわる研究を行った。これが犯罪原因に関する、実証的研究の最初といわれている。これにより、ガロファロ、フェッリを加えたイタリア実証学派の研究はその実証性が犯罪学論議に大きな影響を与え、ロンブローゾは犯罪学の父と呼ばれている。

19世紀は主に犯罪学はヨーロッパで発展したが、20世紀に入るとアメリカで発展するようになった。そして今日ではアメリカは犯罪学研究の最大の先進国となっている。アメリカの犯罪学は、社会学に基礎を置いた犯罪原因論として発展し、種々の理論があげられた。ところが、戦後特に1970年になって犯罪原因論は衰退し始める。なぜなら、犯罪原因論は犯罪や非行を行った者を調査対象としてその原因を追求し、その者から原因を除去すれば将来の再犯予防につながると考えられてきたが、そのころ、刑務所や少年院の処遇は再犯防止には役に立っていないという見解(nothing works)が登場したからである。それに代わり、犯罪の原因はむしろ警察などの刑事司法機関にあるなどとする「ラべリング論」も生まれた。問題少年に「犯罪者・非行少年」のラベルを貼り、犯罪者として扱うことが、彼らをさらに本格的犯罪行動へ至らせる原因だとされた。また、犯罪原因論自体不要であるとする「社会統制理論」も主張された。そのもっとも有力な論者ハーシは、多くの人々は犯罪を行ってはおらず、むしろ「なぜ人は犯罪を行わないのか」が重要であると唱えた。すなわち、人は幼いときには物事の是非は判断できずに逸脱を起こす可能性があるが、家庭や学校、地域社会で社会化されることによって周りの環境との社会的ボンド(結びつき)が強められ、そこで規範を学習することにより犯罪を行わないのだと結論した。非行に走る少年は、まさにこの社会化が十分ではなかったことを示し、したがって、非行防止には社会化を十分に行う必要があると主張している。

今日では、犯罪学は犯罪原因にとどまらず、様々な犯罪状況や犯罪予防に関する研究などを行い、もう一方で被害者や刑事司法のあり方に関する問題も扱うなど、どちらかというと犯罪・非行を扱う制度論、状況的対策論に向かう傾向がみられる。そこで犯罪学は、かつての犯罪原因論はもちろん、予防論なども守備範囲に含め、最終的には「犯罪のない快適な社会を目指す」総合科学となりつつある。


*生来的犯罪者説

1876年、ロンブローゾが出版した著書「犯罪者」では、犯罪を行う人間に「生まれつき」の欠陥を想定、個人的な「素因」を決定的に重視する立場を示している。19世紀末から20世紀初頭にかけて強い影響力をもった主張だったが、今日では完全に否定されている。



参考文献

手にとるように犯罪学がわかる本   監修 西村春夫 著 現代犯罪学研究会 かんき出版    2003年2月24日発行

図解犯罪心理分析マニュアル  古村龍也・雀部俊毅 同文書院  1997年8月19日発行





                    


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