奴隷制度
出典: Jinkawiki
2009年8月8日 (土) 22:05の版 Daijiten2009 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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地球の長大な歴史年表には、『奴隷』の名のつくイベントは多いようです。奴隷制度、奴隷市場、奴隷貿易・・・など。古代ギリシャやローマ帝国の奴隷制度は有名ですが、もっと古い時代にも奴隷制度はあった。というより、人類が出現した後、地球の歴史に奴隷制度がなかった時代はないのかもしれません。それほど、人間社会と奴隷制度は一体化しているのです。 | 地球の長大な歴史年表には、『奴隷』の名のつくイベントは多いようです。奴隷制度、奴隷市場、奴隷貿易・・・など。古代ギリシャやローマ帝国の奴隷制度は有名ですが、もっと古い時代にも奴隷制度はあった。というより、人類が出現した後、地球の歴史に奴隷制度がなかった時代はないのかもしれません。それほど、人間社会と奴隷制度は一体化しているのです。 | ||
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人間がつくりだした奴隷制度には大きく3つあます。第一に、自然発生的にできた奴隷制度です。古代ギリシャ、ローマ帝国、古代アフリカはこのタイプです。戦争の敗者、あるいは占領された国の民が、命を助けてもらう代わりに、奴隷となり、家事や労働を強いられたものです。非人道的ではありますが、命をとられるよりまし、という面もあります。いずれにせよ、戦争あっての話で、先ず奴隷市場ありき、ではないのです。つまり、恒常的に奴隷制度が存在したというわけではありません。ある意味、地球世界の大法則『弱肉強食』に直結しています。つまり、自然発生的なのです。 | 人間がつくりだした奴隷制度には大きく3つあます。第一に、自然発生的にできた奴隷制度です。古代ギリシャ、ローマ帝国、古代アフリカはこのタイプです。戦争の敗者、あるいは占領された国の民が、命を助けてもらう代わりに、奴隷となり、家事や労働を強いられたものです。非人道的ではありますが、命をとられるよりまし、という面もあります。いずれにせよ、戦争あっての話で、先ず奴隷市場ありき、ではないのです。つまり、恒常的に奴隷制度が存在したというわけではありません。ある意味、地球世界の大法則『弱肉強食』に直結しています。つまり、自然発生的なのです。 |
最新版
'奴隷制度とは? '
地球上に生きる生物は数百万種類、一説には一億種を超えるともいわれます。この無数の生物種の中で、根拠のない『格差』が存在するのは人間世界のみです。日本では、『格差』はすでに流行語にまでなっているが、中国ではさらに深刻です。また、成熟国家アメリカでさえ、格差は広がる一方です。人間平等を標榜しながら、世界中は『格差』で埋めつくされています。 『格差』と『違い』は本質的に異なります。『違い』は自然が創り出した物理的、本質的な差異であり、格差は人間の妄想が生み出した『差別意識』によります。そしてこれが、現実世界に実体化したものが『奴隷制度』なのです。
黒人奴隷たちが首を数珠(じゅず)状につながれ、裸で歩かされている絵があります。絵の中央には女奴隷もいます。母親と思われる女奴隷は哀しそうに下を向き、それを子供が不安そうに見上げています。小さな子供には、この行進が何を意味するか理解できませんが、その先に待っているのは恐ろしい奴隷船です。行列を誘導するのは、奴隷商人の手先で、得意げにムチをふるっています。その表情は、優越感、さげすみ、そして怒り…粗末な絵だが、これだけの情報が伝わってきます。
この地球世界の基本ルールは『食物連鎖=弱肉強食』にあり、力の優劣はいくらでも存在します。むしろ、この違いこそが、地球の豊かな多様性を生んでいます。例えば、ライオンと小動物には歴然とした『力の差=優劣』が存在します。だが、ライオンは相手が小動物であっても、全身全霊で打ち倒します。目的は捕食にあり、優越感を楽しむためではないからです。このような弱肉強食の具現は残酷ですが、自然であり、先の絵のような不快感はありません。やはり、『差別=格差』は、人間世界固有の産物なのです。そして、その象徴こそが『奴隷制度』なのです。
'3つの奴隷制度'
地球の長大な歴史年表には、『奴隷』の名のつくイベントは多いようです。奴隷制度、奴隷市場、奴隷貿易・・・など。古代ギリシャやローマ帝国の奴隷制度は有名ですが、もっと古い時代にも奴隷制度はあった。というより、人類が出現した後、地球の歴史に奴隷制度がなかった時代はないのかもしれません。それほど、人間社会と奴隷制度は一体化しているのです。
人間がつくりだした奴隷制度には大きく3つあます。第一に、自然発生的にできた奴隷制度です。古代ギリシャ、ローマ帝国、古代アフリカはこのタイプです。戦争の敗者、あるいは占領された国の民が、命を助けてもらう代わりに、奴隷となり、家事や労働を強いられたものです。非人道的ではありますが、命をとられるよりまし、という面もあります。いずれにせよ、戦争あっての話で、先ず奴隷市場ありき、ではないのです。つまり、恒常的に奴隷制度が存在したというわけではありません。ある意味、地球世界の大法則『弱肉強食』に直結しています。つまり、自然発生的なのです。
奴隷制度、第二のタイプは、思想や宗教に裏打ちされた奴隷制度です。たとえば、ヒンズー教のカースト制度。高校の世界史にも登場するこの有名な身分制度は、上から順に、バラモン(司祭者)、クシャトリア(王侯・武人)、ヴァイシャ(農業・工業・商業に従事する庶民)、シュードラ(奴隷)となります。特に、頂点に立つバラモンは、ブラフマンと同レベルの力を持つとされます。ブラフマンはヒンズー教の3神の一つで、この宇宙の創造主とされます。人間でありながら、宇宙の創造神から奴隷まで…恐ろしい格差です。同じ人間に見えても、それは肉体の話で、根源である魂には歴然とした差がある、という教義です。ヒンズー教は古代インドの聖典ヴェーダを起源として、3000年の歴史をもつ一大思想体系です。小学生でも知っている「人間を差別してはいけない」で、一刀両断にするにはそれなりの理論武装がいます。このタイプの奴隷制度は、奴隷が普遍的な社会制度として、自然に組み込まれているのが特徴です。
そして、第三の奴隷制度。アフリカの黒人が犠牲になった歴史上最も有名な奴隷制度です。この奴隷制度は、1492年、コロンブスのアメリカ大陸発見に始まりますが、最終的には奴隷市場と奴隷貿易は地球規模にまで拡大します。歴史の授業では、コロンブスが発見したのはアメリカ大陸ではなくバハマ諸島だと教えられますが、些末(さまつ)なこと。誰が発見して、それがどこかは大した問題ではありません。重要なのは、この時期、ヨーロッパのトレジャーハンターが南北アメリカをうろつきだしたことなのです。この大陸が発見されるのは時間の問題でした。
新大陸発見のニュースが伝わると、スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダから、黄金に目がくらんだ命知らずどもがおしよせました。そして、あてにしていた黄金が、すでに奪われたことを知ると、今度は、タバコ、砂糖、綿花の栽培で一儲けしようともくろんだのです。やがて、これらの産物は、ヨーロッパ世界に持ち込まれ、ヨーロッパ人たちの生活を大いに豊かにしました。
タバコをくゆらせるのが流行り、砂糖は紅茶やコーヒーの巨大な需要を生みました。ヨーロッパにはティータイムという洒落た習慣が生まれ、みなリッチな気分にひたれました。問題は、消費ではなく供給、つまり、遠く離れた新大陸で誰が生産するかです。消費に忙しいヨーロッパ人たちは、自分の骨をおるつもりなどありませんでした。これが、黒人奴隷制度の起源です。
本来、贅沢品だったこれらの産物は、やがて一般大衆の日常品となり、膨大な需要を生みました。問題は供給ですが、時代はまだ16世紀、機械化農業はまだなく、それに代わる労働力が必要でした。日が昇り、日が落ちるまで、グチ一つ言わず、黙々と働く機械のような奴隷。さらに、奴隷を安定して供給するための奴隷市場も必要でした。最初は、北米ではアメリカ インディアン、南米ではインディオ、つまり新大陸の先住民たちが奴隷として駆りだされました。ですが、彼らはヨーロッパ人の期待に応えることはできませんでした。
参考文献 <www.benedict.co.jp/Smalltalk/talk-92.htm>より引用