障害者自立支援法
出典: Jinkawiki
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障害者自立支援法は平成17年11月に公布され、障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、これまで障害種別ごとで異なる法律に基づいて提供されてきた福祉サービス、公費負担医療等について、共通の制度のもとで一元的に提供する仕組みに改めたものである。 | 障害者自立支援法は平成17年11月に公布され、障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、これまで障害種別ごとで異なる法律に基づいて提供されてきた福祉サービス、公費負担医療等について、共通の制度のもとで一元的に提供する仕組みに改めたものである。 | ||
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+ | == 理念と背景 == | ||
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+ | 2004年10月12日、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部は「今後の障害保健施策について」の副題を「改革のグランドデザイン案」(以下、グランドデザイン)として公表した。この案は、地域の基盤や実施体制の整備に一定の準備期間を要する項目や、制度の維持可能性の確保の観点から速やかに実施すべき項目等に区分して、実施スケジュールを整理するとし、障害者固有の問題については「精神保健医療福祉の改革ビジョン」にもとづき改革を進めるとしている。このグランドデザインを示した国は、同年12月まで介護保険サービスの障害者への拡充を模索しつづけ、財源確保問題も解決しようとしていた。しかしその実現が困難となり、障害者福祉施策の統合をめざして2005年2月、通常国会に「障害者自立支援法案」を上程した。 | ||
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+ | この障害者自立支援法(以下、自立支援法)は、身体、知的、精神の三障害を統合し、生まれてから死ぬまでのライフサイクルに対応させた‘総合’の理念と、施設福祉から地域ケアへの移行という‘脱施設化’と、制度が持続可能な財源確保を行うという理念のもとに作られた。これは、数十年続いてきた日本の障害保健福祉政策において最も大きな改革といえる。身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法をまとめた法律となっている。 | ||
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+ | しかし日本は、各法律で示している障害者の定義が不明確であり、その判定基準は医学的判断が強い。世界の多くの国はICF(国際生活機能分類)の考え方を採用しており、障害者数において日本と明確な相違が認められる。また、障害者施策の根幹はなんといっても財源であるが、国民総生産に対する障害者福祉施策の財源の比率を2001年度で見ると、日本は0.66%、米国がその2倍、ドイツは5倍、スウェーデンはその9倍の予算を使っている。さらに脱施設化に関しても、施設に入所している知的障害者の数において米国は日本の4分の1以下、スウェーデンに至っては10分の1以下であり、ほとんどが地域生活に移行している。精神障害でも同じことが以前から指摘されつづけている。先進諸国の中で日本だけ精神病床が2~7倍と多く、入院期間も桁外れに長いことからも、いかに日本の障害者施策が貧困であるかは明白である。この状況の打開に少しでも役立つことを期待して、自立支援法が成立されたのである。 |
2010年2月2日 (火) 10:17の版
障害者自立支援法は平成17年11月に公布され、障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、これまで障害種別ごとで異なる法律に基づいて提供されてきた福祉サービス、公費負担医療等について、共通の制度のもとで一元的に提供する仕組みに改めたものである。
理念と背景
2004年10月12日、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部は「今後の障害保健施策について」の副題を「改革のグランドデザイン案」(以下、グランドデザイン)として公表した。この案は、地域の基盤や実施体制の整備に一定の準備期間を要する項目や、制度の維持可能性の確保の観点から速やかに実施すべき項目等に区分して、実施スケジュールを整理するとし、障害者固有の問題については「精神保健医療福祉の改革ビジョン」にもとづき改革を進めるとしている。このグランドデザインを示した国は、同年12月まで介護保険サービスの障害者への拡充を模索しつづけ、財源確保問題も解決しようとしていた。しかしその実現が困難となり、障害者福祉施策の統合をめざして2005年2月、通常国会に「障害者自立支援法案」を上程した。
この障害者自立支援法(以下、自立支援法)は、身体、知的、精神の三障害を統合し、生まれてから死ぬまでのライフサイクルに対応させた‘総合’の理念と、施設福祉から地域ケアへの移行という‘脱施設化’と、制度が持続可能な財源確保を行うという理念のもとに作られた。これは、数十年続いてきた日本の障害保健福祉政策において最も大きな改革といえる。身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法をまとめた法律となっている。
しかし日本は、各法律で示している障害者の定義が不明確であり、その判定基準は医学的判断が強い。世界の多くの国はICF(国際生活機能分類)の考え方を採用しており、障害者数において日本と明確な相違が認められる。また、障害者施策の根幹はなんといっても財源であるが、国民総生産に対する障害者福祉施策の財源の比率を2001年度で見ると、日本は0.66%、米国がその2倍、ドイツは5倍、スウェーデンはその9倍の予算を使っている。さらに脱施設化に関しても、施設に入所している知的障害者の数において米国は日本の4分の1以下、スウェーデンに至っては10分の1以下であり、ほとんどが地域生活に移行している。精神障害でも同じことが以前から指摘されつづけている。先進諸国の中で日本だけ精神病床が2~7倍と多く、入院期間も桁外れに長いことからも、いかに日本の障害者施策が貧困であるかは明白である。この状況の打開に少しでも役立つことを期待して、自立支援法が成立されたのである。